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キンブリー短編集本 装丁

2024年春コミで発行したキンブリー短編集の装丁備忘録です。
今回の本の印刷仕様やデザインについて、思い出したことを書いていきます。



印刷仕様

サイズ:A5/70p
表紙用紙:ファンタス 赤 200K
表紙加工:マットPP、箔押し(黒箔)
遊び紙:ハンマートーンGA 赤 100K(前後に追加)
本文用紙:オペラホワイトマックス 73K
印刷所:STAR BOOKS

やりたかったこと

  • ぱっと見、白い印象の本にしたい

  • マットPPかけてみたい

  • できれば印刷所の標準仕様内でできることに収めたい

  • 箔押しをさせてくれ!!!!!

キンブリーが主役の本のため、メンカラー(メンカラー?)の白を基調にした表紙にしたいなあ、というのが一番最初の構想でした。
「できれば印刷所の標準仕様内でできることに収めたい」については久々に本を作るし、要するに時間のかかりそうなことは今回はやめておこう…という判断です。
マットPPはそういえばやったことがなかったのでできれば試してみたかったのと、箔押しはいつもの発作です。


表1-4 イラスト

本の内容が、殲滅戦前後〜約束の日と時系列に沿う形の短編集になりました。そこで表紙のコンセプトを「人生駆け抜けました!キンブリー劇場閉幕!!!」に定め、カーテンコールをイメージしたイラストを描くことにしました。
舞台美術を意識してステージ上にある小道具のイメージでキンブリーにまつわる小物(帽子・軍服・イシュヴァール風の柱・賢者の石)を追加。ほんのり舞台要素と、背景の白の面積が多くなることから画面に色の締まりが欲しくて緞帳を下に敷きました。とはいえ踏ませたのは罪悪感が、ある。
キンブリーは原作最後に登場した際のコートにベスト姿の約束の日時点の衣装です。実は同人誌本文では登場していない衣装でした。
ポーズはカテコといえば…のお辞儀です。鈴木勝吾さん演じるハガステキンブリーの、カテコでのあまりにも華麗なボウアンドスクレイプに多大な影響を受けています。(第2弾楽しみですね)

表4(裏表紙)は客席側です。キンブリーのカテコを見ている皆さんサイドです。
この時点で時間がなさすぎて表4はイラストなしの案も考え始めていましたが、文字メインのデザインは思ったよりインパクトが強く、落ち着いた雰囲気でまとまりそうなイラスト案が復活しました。誰が出ているか一目瞭然になるのと、キンブリーと関わった様々な人たち、という内容にはやはりこの人数が必要だったと思うので結果オーライではありました。作業が増えた影響でオタクの首は絞まりましたが。

座席順はセンブロドセン(最前ではない)大佐と、劇場スタッフさん騒然の座りポーズエンヴィーが最前が先に決まりました。あとはそれに合わせてそれぞれ配置していきました。
アームストロング少佐は今回の漫画では内乱前の姿を描いていたので、ここぞとばかりにヒゲを描きました!
マイルズ少佐は最初席を立って去っていく後ろ姿を描きたかったのですが、スペース的に通路を描くのが厳しかったため、顔を背ける形になりました。見たくないもん見させちゃってマジごめんマイルズ少佐

裏表紙没案その1 思いっきり誤字がある
裏表紙没案その2


表1-4 デザインまわり

文字と背景の色

文字の白と背景の白に微妙な差をつけて、全体的には白く見える本にする!が今回の本の一番大きなこだわりでした。
当初、薄めのアイボリー系の特殊紙(第一候補:竹あやGAはいじろ)に白箔で差を出そうと鼻息を荒くしていたのですが、いやそうするとキンブリーのスーツめっちゃ紙の色の影響受けるな…ということに気付き没に…。全身白男だったばっかりに……特殊紙使ったら標準仕様で収まらなかったから結果的にはよかったのですが。でも白い紙に白箔、いつかはやってみたいですね…。
気を取り直して白の差は4Cで表現することにしました。タイトル文字がK0%、背景色がC2_M4_Y2_K0%です。背景色を決めるのに大層苦労しました…!濃くすると文字は見やすくなるものの「白い本」という印象ではなくなってしまう…!文字の見やすさと全体の白っぽさのバランスがよきところの数値、本当に誰か教えて欲しい。


【反省】
刷り上がりは文字と背景の白の差はクリアしていましたが、PPか用紙の影響か、少しMが強く出た印象でした。自己満の部類ですが…。
とにかく素人のデータ調整では限界がある!微妙な色を刷りたい時は印刷所に相談するのが吉!!!!



箔押し

ちょっとばかり装飾がてら黒を入れたいな〜という考えで英字部分に黒箔を押しました。
唐突な英字追加はキンブリーの本!ですので、キンブリーの書いたサインのイメージでした。少しでもキンブリーを感じられる要素を増やしたい。
黒箔のテリ感にちょうど生乾きのインクっぽさがあり、予想以上の出来になりました!細い線も抜きも綺麗に出ていて、ありがたいかぎりです。マットPPとの相性もいいです!箔押し楽しい~~~~~~~

光による微妙な変化をお楽しみください


表2-3と遊び紙

表紙用紙はスタブさんで取り扱いのある表紙の中からファンタスを選びました。前述の通り特殊紙をやめたかわりに候補に上がったのが表2-3で遊べるみんな大好きファンタスです!外側が白で内側が赤って…いいのでは!?の路線変更です。賢者の石と劇場のイメージの赤でもあります。
本を開いて赤が一面目に飛び込むようにしたかったので遊び紙も赤い紙を選びました。ファンタスが鏡面で似た色を探すのがなかなか難しいのですが、濃さと鮮やかさが近く、エンボスも高級感があっていいハンマートーンGA赤にしました。
タントとかNTラシャとか、色数のある紙から近いものを探すのも考えましたが、色も紙の風合いも今回の本に合うハンマートーンが結局一番良かったと思います。

※ハンマートーンGA赤はスタブさんで常備されている遊び紙用紙ではないため、使いたい時は要在庫確認!

写真だと分かりにくいですが、ハンマーで叩いたようなエンボスがかかっています
タントなどと比べるとエンボスは大きめ


本文

前にクリームを使ったので今回はホワイトを選んでみました。
触り心地は上質に近いですが、見た目はラフ感があります。白色度が高くていい感じです。


まとめ

紆余曲折ありましたがやりたいことは全部できたので個人的には大成功でした。心残りがあるとすればタイトルロゴを作字する暇がなかった。ぐらいですかね…次は頑張りたいです。
久々に…本当に…5年ぶりぐらい?怖……とにかく装丁考えながら本を作るのってやっぱおもしろいな〜〜〜と再確認しました。箔押しはいかなる場合でもテンションが上がる。
なにより自分がキンブリーに抱いているイメージを装丁に落とし込む作業が楽しかったですね。次はミランダにマットPPかベルベットPPかけたいです。


以下、載せきれなかった写真ギャラリーです。