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その4,000円、安い or 高い?



目の前に手のひらサイズの精巧なぬいぐるみと、横40~50㎝ほどの金属製壁掛け(葉モチーフ)があったとする。


そのどちらもが4,000円だったとき、あなたはどちらを買うだろうか。
それとも同じ4,000円なら別のものが欲しいと思うだろうか。



私が先日実感したのは、そのジャンルにどれくらい詳しいかによって回答は変わるだろうということである。

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そのカフェは隣接する花屋さんが経営しているようで、店内の壁は深緑、床や家具類は木の風合いがシック。至る所にドライフラワーが飾られ、ボタニカルな空間になっていた。

壁と向かい合う形の席に座り、ふと斜め上を見上げる。
するとそこには壁掛けがおしゃれな間隔で3つほど並んでいた。

よく見ると小さな四角い紙がぴろんと付いており、そこには数字が書いている。どうやら気に入ったら即購入できるらしい。



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値段を見つけると確認せずにはいられない性質なので、視界は小さな紙へと一気に狭まった。

3つのうち最も存在感のある、緑の葉モチーフの大きな金属製壁かけ。40~50㎝ほどあるだろうか。どこに置いても馴染みそうなデザインである。

しかしそれに4,000円弱の価格がつけられていることを知った時、失礼ながらも驚愕してしまった。よ、よんせんえんもするのか。


そしてさらに失礼かもしれないが、「ならば”あの”ぬいぐるみ買うかな……」と思ってしまった。”あの”ぬいぐるみというのは、私の推しがいるコンテンツで絶賛予約受付中のぬいぐるみである。手のひらサイズで4,000円弱。

サイズと価格は必ずしも比例しない。実際、各キャラの特徴を非常によく掴んだまま可愛いデフォルメに成功しており、髪の毛の造形も細かい。身に着けている白熊の着ぐるみもふわふわで、着脱可能なのも魅力的。これができるまでに経た過程や人々のことを考えれば、4,000円と言うのも納得せざるを得ない。


つまり、私は自由に使える4,000円を得たとしたら迷わずぬいぐるみを買うという選択をする。推しをお迎えしたいからという思いもあるが、ただそれだけであれば「4,000円なんて高すぎる!ぼったくりだ!!」と言っていたかもしれない。


しかし、ぬいぐるみを自作したことで背景を想像しやすくなった。

まず、手触りや発色を追求するなら良い素材を選ばなければならないし、それぞれの行程で必要な備品が出てくる。


例えば、12束100円と1束140円では見栄えがまったく違う。絶妙な色加減も再現できるし、発色や艶も全然違う。

そのため私は2体目以降必ず後者の糸を使用しているが、目だけで5色、その他にも数色使っているため、その価格差……いや、考えないことにしよう。それに1回で使い切るわけじゃないから、作れば作るほど安くなるのだ。そうだそうだ。


素体の型紙は既存のものを使用するが、表情や前髪は自分で書くことが多い。そして準備した素材たちを切って縫って刺繍して……。空いた時間にやっていたのもあるが、一朝一夕で完成するものではなく、自給換算したら人件費だけでも4,000円では済まない。


もちろん予約受付中のものは工場製品なのでそのまま当てはめるわけにはいかない。しかし機械代は当然かかるし、企画やデザイン、製造に販売、そして広報など、非常に多くの人が関わっているはずだ。

それを考えると、4,000円は安いと言わざるを得ない。だからと言って払えるわけではないのが残念なところなのだが。数字としては高い、しかし労力等の対価としては安い……といったところだろうか。


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あの壁掛けも、きっと詳しい人にとっては妥当、あるいは安いと思えるものなのだろう。そういう人が購入したり、私のように「高い、けど安い、欲しいけど……ぐぬぬ」と嘆くのだろう。


そんなことをしみじみと思いながら、到着したばかりのミルクティーを一口飲んだのだった。









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