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『ジャングルの夜』第九話
レンジャーのような格好をした女性スタッフがひとりでいて、あいさつを交わしたあと、キャビンに模した施設内のカフェのテラス席で待つようにうながされた。
そこにトレッキング用の長靴が一足だけ用意されているのを見て、千多は参加者が自分だけだと悟った。嵐になるかも知れなかった晩にジャングルを歩こうなんて人間はそうそういない。
危険事項に関する同意書にサインしている間に、副社長から電話が掛かって
『ジャングルの夜』第六話
何度か道に迷い遠回りして、ヒヤッとする場面もありながら、最初に予定していた到着時刻より二時間も遅れておきなわワールドまで辿り着いた。 チケット売り場で親切なスタッフのおばちゃんがエイサーやハブとマングースのショーなど上演時刻が決められているイベントの時間割を書いたパンフレットを指しながら、「こういう風に動くといい」と千多のタイムスケジュールを決めてくれた。
素直にそれにしたがって、千多はま
『ジャングルの夜』第四話
電動アシストのついた自転車は、小型な見た目に似合わず快適だった。三線教室まではあっという間についた。そこで一時間みっちり教えてもらった結果、自分は音痴だということを改めて確認したのち、北へ向った。
途中、雨が降ったり止んだりしたが、小雨だったので大して気にならなかった。それよりも、自転車のバッテリーが思いのほか早く減ることが気になった。この分だと帰りは持たないなと思い、途中から上り坂以外は