ザリ(やまぐち)

自分の思考の整理のために文章を書いています。

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「可能性」の価値とその光について〜二人のプロ野球選手から〜

    前置き    2023年11月6日。ついひと月前のことです。皆さんは何を思い浮かべますか。この数字を聞いただけで、ある球団の野球ファンはその興奮を抑えきれることはできないはずです。・・・そうです、阪神タイガースが38年ぶりに日本一になったあの日(アレのアレ)のことです。冒頭から勿体ぶるようなもの言いをしましたが、この程度のことなら阪神ファンの方でなくとも、野球ファンならばご存知の方も多いでしょう。では、その2023年11月6日、この時の阪神タイガースの先発投手を

    • 漆原友紀『水域』から改めて考える、「故郷」という忘れられない存在について

      前置き  時の流れはあまりにも早く、人生80年程度ならばあっという間に終わってしまうのではないかと感じてしまうこの頃です。私が年を取ったことも大きいのでしょうが、何よりも年始から7月初旬までの海外でのリトリートの影響だということは間違いないでしょう。朝の読経から始まり瞑想をしていると気づけばもう夜になっており、「こんな生活を続けていれば、人生なんてあっという間に終わるのだろうな」と思う一方、苦しい時間というのは無限の牢獄にいるようにも感じられ、私たちの不思議な時間感覚に思い

      • 『葬送のフリーレン』感想(下)

          導入(遊民和尚のnoteを契機にして)   葬送のフリーレンという作品の魅力については、前半のnoteで述べた通りなのですが、28話を観て思わず私も自らの個人的な体験を想起し、そこから自らの中にある体験を落とし込む経験(「私」の「物語」の「再解釈」)をしたので、個人的な話になりますが、最後にそのことについて少し文章にしてみます。  事前に断っておきたいことがあります。今回インターネットでは何よりも嫌われる自分語りをしようと思えたのは、何よりも仏教徒ちゃんこと堀部遊民

        • 『葬送のフリーレン』の感想(上)

           久しぶりに森から街に出てきたせいか、「そうか、私は年始からずっと南国にいるんだったな」、と今更になって痛感しています。今まさにリゾート地にいることが大きな原因でしょうが、夏には夏の歌が聴きたくなります。        そんなわけで先日2024年GW摂心告知動画とセットでされた、仏教徒ちゃんこと堀部遊民和尚、仏教のアレ編集部のお二人、Vupasamaさんによる『葬送のフリーレン』の動画が大変すばらしく、さらに先日視聴したアニメ28話が余りにも個人的に刺さるものがあったので、

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        「可能性」の価値とその光について〜二人のプロ野球選手から〜

          最近切に思うことについて

           年始から世の喧騒から離れて、タイの森林でただひたすら瞑想する生活(リトリート)を過ごし、あっという間に3カ月が経ってしまった。嫌味でもなんでもなく、こうした生活を経て世俗に出る度に、私たちの日常生活がいかにタスクで埋められているか、と痛感させられます。また、私たちが普段やらなければいけないこと思っていることの多くが、「実は、単なる思い込みに過ぎない」ことも、こうした静かな環境に身を置くことで、感じ入るものです。    そして、上のVupasama(@pannindriy

          最近切に思うことについて

          『lemon』と『君の膵臓をたべたい』感想の補足、他者との共存について

           昨年末、坐禅関係で知り合った尊敬する友人と話している時に、話題の中でnoteにできそうなテーマが思い浮かんだので、今回は『君の膵臓をたべたい』のnoteで書き残したことについて『lemon』を中心に補足します。 まずは、2010年代トップJ-popのひとつに間違いなく入る名曲、米津玄師『lemon』を手掛かりに話をすすめていきましょう。  私は米津玄師さんに特別詳しいわけではないのですが(「げんし」と呼んで「けんし」と訂正されてしまったこともある)、何曲か聴いてみて、J-

          『lemon』と『君の膵臓をたべたい』感想の補足、他者との共存について

          年末最後の大爆弾

           とんでもないnoteを読んでしまった。それが私がこのnoteを読んだ第一印象だった。いやおそらく、これは自らの問題を解決した人(すでにそれが問題ではなくなった人)が読めば、大変微笑ましく読めるものだろうし、坐禅のモチベーションも上がるすばらしいnoteである。しかし、私にとっては鈍器で後頭部を殴られたかのような衝撃だった。いくつか名言を取り上げてみる。  前半ふたつについて、特に現代の党派性に基づいた戦争状態のSNS(当然「現実社会」も含む)を見れば、こうした問題意識を持

          年末最後の大爆弾

          あだち充『H2』から思い出した「心からの喜び」とその価値について

           もうすぐ冬がくるというのに、夏に読んだ『H2』を思い出し色々と思うことがあったので、今回はそのことについて少し書いてみようと思います。本題に入る前に、今回少し面白かったのが、物語の途中でコメント欄(サンデーうぇぶりは毎話コメントが可能)が一部界隈の人たちにより占拠され強烈に批判されていたことです。これについて一言だけコメントをすると、『H2』の連載期間が1992年~1999年であり、当時においてありふれていた少年少女の恋愛の失敗というのは、今ではもう、たとえその時代を映すも

          あだち充『H2』から思い出した「心からの喜び」とその価値について

          曹流寺プチ摂心(2023/11/3~11/5)の感想

          プチ摂心に参加する背景     今回、およそ1年ぶりに曹流寺さんのプチ摂心に参禅しました。このプチ摂心に参禅することも迷っていたのですが(今思えば、これは本当に愚かで傲慢なことであり、反省するばかりなのですが・・・)、仏教のアレ編集部(@honnebose)の遊心さんのnoteを読んだことで頭を叩かれた気分となり、慌てて申し込みしました。今回、摂心前日にも読み直したのですが、いい文章というのは読むたびに新たな発見の種がありますし、染みこんでくるものです。これが今回の摂心

          曹流寺プチ摂心(2023/11/3~11/5)の感想

          『君の膵臓をたべたい』(実写映画版)感想と人格を尊重することについて

           今年の8月にたまたま人と創作物の話題になり、色々と人からお勧めしていただいたのですが、私が自信をもって人に勧められる作品は何かないかなと思っていたところ、ふと『君の膵臓をたべたい』(実写映画版)の存在を思い出しました。「久しぶりに観てみようかな」と思ったところNetFlixやAmazon primeにもなく、しょんぼりしていましたが、少し調べた結果、1カ月無料体験が可能であるU-NEXTで視聴可能であることを知り、さっそく登録して視聴したところ、やはりいい作品でした。本作は

          『君の膵臓をたべたい』(実写映画版)感想と人格を尊重することについて

          己の怠惰さと他者の存在、坐禅会(曹流寺)の感想

           先日、Tiktok界の超有名人である仏教徒ちゃん(以後、遊民和尚)が副住職を務める曹流寺さんの坐禅会に参禅してきました。坐禅会は午前と午後の2部制となっており、午前は連続で4柱(1炷:40分坐禅、10分経行(歩行瞑想)、10分抽解(休憩、次の坐禅の準備))の経験者向け坐禅会、午後は坐禅の説明を中心とした短時間の坐禅(5分)を中心とした、参加者との感想を共有しながら坐禅をする初心者向け坐禅会でした。  正直な話、この坐禅会の案内があった時は参加するつもりはありませんでした。

          己の怠惰さと他者の存在、坐禅会(曹流寺)の感想

          『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』3話と「損得を超越したもの」について

          『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、この名前を聞いたことがない現代のアニメ好きはまずいないだろう、というほどの超有名作品であり、あの京アニを代表する作品のひとつである。また、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は大人でも泣ける感動作品として知られており、中でも第10話は「涙なしでは視聴できない!」と多くの人が語るほどである。とは言うものの正直、大人になってからこの手の泣ける系の作品を観るのはかなりしんどいと思っていた自分がいたが、友人の強い勧めもあって視聴したところ、無事(

          『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』3話と「損得を超越したもの」について

          渡辺美里『My Revolution』を改めて聴いて考えたことについて

           先日たまたま渡辺美里『My Revolution』をYoutubeで聴いたときに改めて素晴らしい曲であることを痛感し、これはnoteで語るだけの内容のある曲だ、ということを実感したので、今回は『My Revolution』とそこから連想したことについて少し語ってみたい。40年近く前のJ-popを今更語るのは私ぐらいであろうが、時代の流れとは関係なく、「いいものはいのだ」という精神で文章にしてみたい。なお、音楽についてはド素人であるため、専門的な解説は一切ないのでそこについて

          渡辺美里『My Revolution』を改めて聴いて考えたことについて

          私のMP(メンタル・ポイント)を回復させてくれる存在

           普段からほとんど文章を書くことのない私のような人間にとって、一万字を超える文章を書くと、途端に文章が荒れてくるのでやはり定期的に長文を書く必要があるな、と痛感するこの頃です。とはいえ、前回のnoteでは気合を入れすぎて約二万五千字もの長文エントリーを書いてしまい、とても疲れてしまったので今回は簡潔な内容にしたいと思います。元々、前回も一万字越え程度でまとめる予定だったのですが、文章を書いているうちに、書きたいことがどんどん増えていき、予定より文章が長くなってしまうという文章

          私のMP(メンタル・ポイント)を回復させてくれる存在

          『マネーボール』~俗世で生きる苦悩とその喜び~

           いきなりだが、皆さんは映画『マネーボール』をご存知だろうか? この映画は今や野球ファンにとってはおなじみのセイバー・メトリクス理論(ひと言でいえば、統計を駆使して勝利の確率の高い選手・戦法を使う戦略のこと)を用いて、弱小金欠球団であるオークランド・アスレチックスのGM(ゼネラルマネージャー)である主人公ビリー・ビーンが当時のMLB記録となる20連勝を達成し、リーグ優勝するさまを描いたドキュメンタリーベースの映像作品である。このように語られることが多い本作であるが、しかし、こ

          『マネーボール』~俗世で生きる苦悩とその喜び~

          『そこのみにて光輝く』感想

           世間でサブスクが流行し始めた頃、ちょうどAmazon prime会員だった私はせっかくの機会だと色々と映画を視聴してみたものの、いつも15分程度で視聴を断念してしまうことが多かった。そんなとき、一人で最後まで映画を観ることができない映画難民だった私が、たまたま人から勧められた映画が『そこのみにて光輝く』だった。いつも通り、何となく視聴を開始したものの、開始10分くらいで物語に引き込まれ一度も中断する事なく最後まで試聴したことを今でも覚えている。そもそも私のような映画難民にと

          『そこのみにて光輝く』感想