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スリープツーリズム最前線とこれから求められる姿

 私たちZAKONE(ザコネ)は、睡眠業界を盛り上げるために生まれた企業や個人を繋ぐコミュニティです。こんにちは、ライターの梅田です。
 最近盛り上がりつつあるスリープツーリズムについて、最新状況や2つの睡眠資格を持ち、監修などを実施させていただいている私なりに、これから求められるスリープツーリズムのあり方を考えてみました。
 ぜひ、スリープツーリズムビジネス化やホテルや観光の新たな価値創造の参考にしていただければと思います。


1.スリープツーリズム市場規模と広がる理由

世界の市場規模が凄まじいスリープツーリズム

 スリープツーリズムは2024年4月30日の日本経済新聞の記事で、世界市場規模が96兆円(ウェルネスツーリズムと混同している気もするが)と報じられています。詳しくは下記を確認ください。(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC240Q50U4A420C2000000/)
 日本自体の市場規模については公開されていませんが、今後かなりの規模になることが予想されています。この流れは睡眠だけでなく、ウェルネス全体で広がっており、ウェルネス(ヘルス)ツーリズムは日本市場だけでも2025年に4兆960億円とも言われ始めている一大産業となりつつあります。
 ウェルネスツーリズムEXPOまで始まってる盛況ぶり、期待値が高まってきています。

スリープツーリズムが広がっている理由?

 ウェルネスツーリズムが広がる理由として、旅行に対する価値の変化が大きいと言われており、そこでしか味わえない貴重な体験価値が求められつつあります。
 これは私の所感もありますが、多くの人は有名観光地や観光スポットは行ったことがあり新鮮さや新しい体験価値が減っていっている?さらにオーバーツーリズム問題(紅葉シーズンの京都など観光客が溢れ交通やゴミなどの問題発生)などもあり、これまでの観光の形から新しい観光の形にシフトしつつあるように思っています。

地方こそチャンス!?

 ウェルネス、スリープツーリズムは新しい観光の形、価値としてこれからさらに広がっていくことが期待されますし、この流れはこれまでの首都圏や有名観光地に集まっていた観光客が、地方にしかない独自の体験価値を求め地域に足を運ぶようにもなる、地域活性化の鍵だとも思っています。
 地域復興に悩んでいる地方は、地域独自の価値を活かした新たな観光の形を作っていくチャンスですよ。最後の方にそのチャンスを活かすためのポイントと思う点を記載しますね。ぜひ見ていってください。


2.スリープツーリズムの事例について

 私の調査した限りですが、現在のスリープツーリズム事例はあくまで睡眠に特化したホテル客室を作りましたよ!って事例が多いように思えます。
 とりあえず、まとめてみたので見ていきましょう。

ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)

東京タワーが目の前に広がる都市型ホテル

”快眠サポートステイ”というプランを提供。このプランは快眠セラピストが監修し、睡眠に良いパジャマを持ち帰れたり、枕やボディケア用のマッサージグッズ貸し出しなどで快適な眠りのためのアイテムが用意
出典)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000015916.html

ANAクラウンプラザホテル「スリープ・アドバンテージ」

快眠コンサルタント監修のアロマや快眠ポイント冊子

 ANAクラウンプラザホテルでは、快眠コンサルタントのアドバイスのもと、「就寝前のリラックス」、「夜と朝のメリハリ」、「良好な睡眠環境」の3点から睡眠をサポート。快眠のためのアメニティに力を入れているそう。
参考)https://www.anacrowneplaza-nagoya.jp/stay/sleep/

THE SCENE「快眠体質プラン」

鹿児島県にあるホテル

 THE SCENEでは、非日常的な環境で睡眠負債の解消に向けたプランを提供しているとのこと。特にヨガやアーシング、マッサージなどで心も身体もリフレッシュする体験を提供
参考)https://hotelthescene.com/plan/kaimin/

単なるリッチな寝具や睡眠環境ではスリープツーリズムとしてはいまいち?

 これは書いている私の所感なので怒らないでほしいですが、個人的な意見としては、単にいい寝具を使っていますとか、睡眠に関するアメニティを揃えていますでは少し物足りないのと体験としては弱い印象を持っています。実際にこれまでも多くの寝具メーカーとタイアップして素晴らしい寝室を作って特別プランで出していたホテルはいくつかありますが、結局そこまで流行らず終わっている印象です。
 その点、THE SCENEはヨガやアーシングなどを取り入れ、鹿児島の特性をある程度入れたプランになっており、体験価値としては高そうだなと思っています。


3.これから求められるのは複合的な価値?

 ここからはあくまで私の考えるスリープツーリズムのあり方(私が監修するならこうする)を述べさせていただきますね。※既にいくつか監修しはじめているので、オープンしたらシェアしますね。

寝る環境の整備だけでいい睡眠は作れない。

 睡眠は寝る前に良い行動をしただけでは、改善しないものです。いい睡眠のための行動は朝から始まっており、朝の日光と食事で体内時計のスイッチを入れる。そのスイッチが結果として夜の睡眠に大きく作用した結果、良い睡眠が訪れます。なので寝る前だけに注目だけでは足りないと考えています。

スリープツーリズムの作り方/地域の特性を活かした体験づくり

 例えば、森林が近い環境の地域であればツアーとして森林浴環境下でのウォーキングと朝食提供(森の中で飲むコーヒーってなんであんなに美味しいのか、、、)などや、薪割り体験などで朝から夕方までの覚醒量や時間を高める工夫を入れてみる。そうすれば夜に反動で睡眠欲が高まった状態になるので、その睡眠を邪魔しないよう工夫した設計(例えば夕食の時間や内容、入浴のタイミング、寝る前の環境)をすることで良い睡眠が訪れやすくなります。

しっかり日中楽しんで夜はしっかり眠る
夜だけでなく日中の体験設計が肝?

 このようにポイントとして、地域独自の魅力(環境や食事など)を活かしながら、朝から夕方までに正しく覚醒させる。そうすれば身体は勝手に眠気が高まるため、その眠気を阻害しない設計を宿側に入れてあげる。これがスリープツーリズムの体験価値になると考えています。
 このポイントを押さえれれば、地域ごとに提供する内容は様々ですし、提供される価値も差別化でき、より各地域の魅力が高まると思っています。

地域ごとにこの方程式で価値創造

初めての経験は脳に刺激を与え眠くなる?

 この内容の論文などを読んだわけではないですが、新しい刺激を脳に与えると脳が処理する時間や量が増えて、結果として夜の睡眠時により深い睡眠が出やすいのでは?って勝手に考えています。(軽く論文調べたけど出てこなかった)これはなので体感ですが、初めての体験をした日ってなぜかその夜ぐっすり眠れませんか?
 例えば、その地域の伝統を知る体験や祭りに参加するなどツアー参加者にとって未知の体験を提供することもいい睡眠につながるのでは?って思っています。(どこか研究していたら情報お待ちしています。)

良い睡眠に導く5感への刺激

 良い睡眠に導くポイントとして、5感に働きかけるリラックス動作や製品を導入するのがおすすめです。一例として、
・視覚:ブルーライト量の少ない暖色照明(Lxには注意)や1/fゆらぎの蝋燭の火など。
・聴覚:アンビエントミュージックや外からの自然音など
・嗅覚:アロマオイルなど
・触覚:スキンケアをじっくりする時間(手で肌を触る)や木に触れる、石に触れる導線や気持ち良いパジャマなど
・味覚:ハーブティなど温かくカフェインレスで落ち着く飲み物など

のように寝具だけでなく、様々な要素でリラックスタイムを作る設計が重要ですし、そこに地域ならではの魅力を入れ込んでいけるとベストだなと思っています。
 最近は機能性のパジャマや眠り専用のスキンケア商品なども増えてきています。ZAKONEにもたくさんいい企業があるので、興味ある方はぜひZAKONEに問い合わせください。

地方創生につながる可能性を秘めるスリープツーリズム

 スリープツーリズムは、各地域の魅力や体験と食事(覚醒)× 睡眠に最適な寝室環境や行動(睡眠)がワンセットであり、ストーリー化されることが最大の価値に繋がります。
 そして、このスリープツーリズムが地方創生や地域復興につながると考えている要素として、
長期滞在(1泊2日ではいい睡眠は作れない、最低でも2泊3日)が求められるツアーだからこそ、結果としてその地域への還元も大きくなりやすい。
地域産業や地域の魅力と掛け算しやすい。上記で述べたとおりその地域の魅力を掛け算して価値を作っていけるからこそ、各地域ごとにツアーは作りやすい&ホテルだけでなくちゃんと地域にも還元されやすい。
関係人口の増加につながりやすい。特別な体験はその地域を特別な存在にしていく。人生で一番いい睡眠が取れた体験は自ずとその人をその地域のファンにすることができる?


おわりに

 これからも注目されるスリープツーリズムについて、かなり個人的な意見も含め記載させていただきました。スリープツーリズムがもっと広がり、そういったツアーに参加したことで、日々の睡眠を見直すきっかけになっていくと嬉しいなと思っています。最後までご覧いただきありがとうございました。
 ぜひ、今夜も素晴らしい睡眠をお取りください。
 眠る前のリラックスタイムには、先月リリースしたZZZN EP Vol.1をお聴きください。Charaさんのウィスパーボイスが心地よい空間に、、、zzZ

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<ライター>
梅田 貴大(うめだ たかひろ)
経歴:
愛知県安城市生まれ。NTT東日本に入社後、有志メンバーでスリープテック事業を立ち上げ。スリーププランナーと睡眠健康指導士上級資格を取得し、現在は自社他社問わずスリープテック新ビジネスやサービスの監修や設計などを実施。睡眠データを用いた睡眠改善手法を独自に生み出し企業従業員や個人向けの講師としても活躍。

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 このnoteでは、ZAKONEを通して立ち上がった共創プロジェクトを紹介していく「ZAKONE PROJECT NOTES」をはじめ、今後様々なプロジェクトやサービス、プロダクト、活動の内容などを発信していきます。https://note.com/zakone/

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