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20050410 インターネット顕微鏡

 インターネット電子顕微鏡$${^{*1}}$$というのがあるのを知った。世界のどこからでも観察できる顕微鏡らしい。

 学校の実験室などにある顕微鏡は光を使って像を拡大$${^{*2}}$$するのに対して、電子顕微鏡$${^{*3}}$$は高速な電子の流れを使って拡大像を得る仕組み$${^{*4}}$$になっている。二種類$${^{*5}}$$あって、観察する対象に電子をぶつけた時にその対象から出てくる電子の量の変化を像にする方法と、観察するために極薄く切りとった対象に電子を当ててそれを通り抜ける時の電子の散らばり具合を像にする方法とがある。前者をSEM$${^{*6}}$$、後者をTEM$${^{*7}}$$と呼んでいる。

 普通の顕微鏡とは違って電子を使うので、真空中でないと電子が空気の分子に邪魔をされて像を上手く作ることができない。電子の流れを加速したりその流れを細かく動かしたりする仕組み$${^{*8}}$$や真空容器やポンプなどが必要なので、通常は普通のものよりもべらぼうに値段が高く、取り扱いも大変である。

 そこでインターネットを使って電子顕微鏡を研究所にある借りる$${^{*9}}$$。遠隔操作で自分の思った箇所を思った倍率で観察できる$${^{*10}}$$ようになっている。

 予め用意された観察試料$${^{*11}}$$やこちらから試料を送付してそれを観察したりするのだろう。電子顕微鏡を取り扱うには専門的な知識が必要なのでどうしても人手が要る。インターネットで遠隔操作ができると言っても、やはり電子顕微鏡には操作する人が付いているのだろう。そうなると自分のパソコンで電子顕微鏡が操作しなくても口頭で電子顕微鏡を操作する人に指示した方が速いような気がしてくる。

 高級な電子顕微鏡なら、段取りさえしてあれば電子の照射や観察試料の取り替えなどは全自動でできるだろう。もしかしたら付き添いがいなくてもいつでも観察できるようになっているのかもしれない。しかし段取りまではどうしても人手が必要だ。

 情報だけの配信$${^{*12}}$$であればインターネットは全て自動で済ますことができるが、電子顕微鏡のように「もの」が介在するとどうしても人手に頼らなければならない部分が出てくる。インターネット電子顕微鏡はインターネットという仕組みの恩恵をどれくらい受けることができるのだろうか。また最近は卓上の電子顕微鏡$${^{*13}}$$もあるので、ますますその意義が小さくなってくるような気がする。

*1 インターネット電子顕微鏡
*2 光学顕微鏡
*3 20000406 原子間力顕微鏡
*4 ItEM-電子顕微鏡の原理
*5 ItEM-電子顕微鏡について
*6 走査電子顕微鏡
*7 透過電子顕微鏡
*8 教育支援活動報告-2001年8月-1/2
*9 ItEM-インターネット電子顕微鏡について
*10 ItEM-インターネット電子顕微鏡の装置、画面の様子
*11 ItEM-画像データベース
*12 画像集一覧
*13 デジタルカメラ感覚で誰でも気軽に使えるコンパクトサイズの卓上顕微鏡“Miniscope TM-1000

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