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20090417 イルカの能力

 コウモリ$${^{*1}}$$の様に自分の鳴き声で、周りの様子を察知する動物にイルカ$${^{*2}}$$がいる。イルカ$${^{*3}}$$は自分の鳴き声の反響で障害物があるかないかだけではなく、大きさや形までも解ると言う。この能力を使って捕食までしているらしい。本当だろうか。

 ガンジス川には「ガンジスカワイルカ$${^{*4}}$$」が棲息しているという。ガンジス川の濁った水の中で棲息しているため、目が殆ど見えなくなっているらしい。自分の鳴き声の反響で周りの環境を把握して、捕食活動をしている$${^{*5}}$$と言うのだ。

 濁った水の中で音を頼りに生きているのだから、コウモリと一緒で耳がかなり発達しているのだろう。ガンジスカワイルカ$${^{*6}}$$に限らず、イルカの場合は耳の穴はなく、音の振動はあごの骨を伝わって中耳から内耳に入っていく$${^{*7}}$$ようだ。

 鳴き声の反響で障害物があるかないかが解ると言うのは、想像しやすい。しかし濁った水の中で泳いでいる魚の位置まで鳴き声の反響で解ってしまうと言うのは凄い。棒杭や浮き木と魚を間違えることはないのだろうか。仮に間違えて食べても吐き出せば済むことであるが、それ程イルカは目が見えないのか。何となくだが、ガンジスカワイルカは目に見える範囲の魚しか捕食できないのではないか。餌を見つけるまで川の中をうろつく。川の中には大きな石ころもあるだろうから、鳴き声を発しながらそれらを避けて泳ぐ。魚が目の前に現れたら、障害物を避けるために鳴きながら追いかける。

 海のイルカも同じではないか。海の方は視界がもっとありそうなので、視力はガンジスカワイルカよりもあるかもしれない。鳴き声の反響を使った捕食$${^{*8}}$$は必要ないのではないか。

 ところが水族館で飼育されているイルカは細かい形状の識別$${^{*9}}$$や材質の区別$${^{*10}}$$までも目隠しでできるらしい。これならば鳴き声の反響での捕食も簡単かも知れない。

 考えてみるとこれは飼育員が教えたからできる様になったのだろう。できるからといってその能力を使っているとは限らない。イルカやアザラシなど水族館で見せてくれる曲芸を自然界では一切やっていないに違いない。

*1 20090416 コウモリとドップラー効果
*2 イルカ
*3 蘇我入鹿首塚
*4 ガンジス川における世界初のガンジスカワイルカの音響観測の実施およびチリカ湖におけるリアルタイム音響観測基地の建設とカワゴンドウの観測
*5 第2回 ガンジスカワイルカの音響観測 | すすめ! KDDI 研究所 | KDDI株式会社
*6 精神のエクスペディシオン
*7 イルカの耳
*8 本稿は日本音響学会誌, 52(7), 523-528に掲載されたものです
*9 形や物を識別"万能"イルカ 新パフォーマンス公開
*10 イルカの思考を解明する 村山 司 氏


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