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20090331 環境問題と科学

二酸化炭素の増加によって地球温暖化が進んでいる$${^{*1}}$$ことを多くの科学者が合意している$${^{*2}}$$、と言う人が時々いる。更に「科学は多数決ではないが、多くの科学者が合意している内容はそれなりに考えるべきだ」と追い打ちを掛ける人もいる。真実はどうであれ「科学者の合意に基づいて温暖化対策するのが一番良い」と主張する人もいる。さも二酸化炭素が地球温暖化の要因であるかの様に話す。

 科学とはどういう学問なのかを考えた事もないような人が、こういうことを平然と言う。科学者が言っているから正しい、と臆面もなく言う。

 「二酸化炭素は温暖化の原因だから、排出量を減らしましょう」という活動に何ら問題はない。エネルギー資源はに限りがあるだろうから、その浪費の結果である二酸化炭素の排出量増加を食い止めるのは正しい$${^{*3}}$$。問題なのは「二酸化炭素は温暖化の原因」と言う説を「科学者の合意」と言う点で「真実」と認識することである。こう認識している人は全く考えていないのだ$${^{*4}}$$。大衆と言うものはこういうものだから仕方がないかもしれないが、大衆に対して発言力のある人などがこういった態度を取るのは非常に問題がある。

 科学で追究する真理は「合意」によるものではない。科学者が思っている事と自然現象そのものとを混同してはいけない。自然科学と言うのは自然現象を科学的な方法で理解して記述しようとする学問であり、科学者はそれを行う者であって、決して科学者が自然現象を決めたり全て言い表したりしているのではない。

 科学に於ける真理の追究は科学者の合意によるものではないが、現在の環境問題の解決はそれこそ利害関係者間の合意である。レジ袋を断る事はそれを断る人にとって一つの解決$${^{*5}}$$であり、北極のシロクマさんが絶滅するのは駄目だけどゴキブリが絶滅するのは問題なし$${^{*6}}$$というのも環境問題の考え方である。これと科学とを混同してもいけない。

*1 地球温暖化とは?温暖化の原因と仕組みを解説 |WWFジャパン
*2 地球温暖化問題懐疑論へのコメント
*3 20080206 二酸化炭素削減技術
*4 Abstract for Symposium at JPS meeting Sprin 06 (Ikeuchi)
*5 20090320 エコな私(2)
*6 20070701 環境問題の本質

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