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候補者と企業で認識がズレる「カジュアル面談の目的」

カジュアル面談は今では多くの企業が行っている採用手法ですが、その目的は大きく2つに分かれると思います。

  1. 候補者に企業の理解を深めてもらうため

  2. 候補者と企業の相互理解を深めるため

ほとんど同じだと思われるかもしれませんが、この2つの違いは大きく、面談のアジェンダや時間配分などにも影響を与えます。

目的によるカジュアル面談の違い

アジェンダ

①の場合、面談のアジェンダは「会社説明」と「候補者からの質問」がメインです。候補者のことを知ることが目的に無いわけですから、「企業からの質問」は入る余地がありません。

逆に②の場合、企業が候補者のことを知るために「企業からの質問」が入ります。カジュアル面談は選考前なので、さすがに「志望動機」や「給与条件」などを聞く企業は少ないでしょうが、「これまでの経験」や「今後のキャリアプラン」などは聞いたりします。もう少し踏みこんで「仮に入社した場合のポジションや業務イメージ」なども話すかもしれません。

時間配分

①の場合、会社説明や質疑応答がてんこもりでない限り30分もあれば終わります。逆に②の場合、

  • 会社説明:10分

  • 候補者からの質問:10分

  • 企業からの質問:10分

だと時間ギリギリなので、無理に30分に収めると相互理解を深めきれずに終わる恐れがあります。②の面談は45〜60分など長めに調整すべきでしょう。

面談後の選考フロー

カジュアル面談を終えて候補者が選考を希望する場合、

  • 書類選考を挟むケース

  • 書類選考をスキップして面接を設定するケース

がありますが、①では書類選考を挟むほうが良いでしょう。企業が面談中に候補者のことを知ることができないため、面談がフィルターとして機能しないからです。逆に②では面談を通じてスキルや経験が要件を満たすかどうか判断できるので、直接面接で良いでしょう。

※候補者が有名人であったり、SNSやブログなど面談以外の場で優秀と確認できている場合は、①でも書類選考をスキップしても良いでしょう。

目的の認識齟齬によるトラブル

さて、カジュアル面談といえば「面談後にお祈り連絡が来た」「スカウトで面談したのに書類選考になった」などトラブルが多発しています。最近だと、「カジュアル面談で候補者が企業のことを何も調べていなかった」なんてポストがXで話題になっていました。こうしたトラブルの原因として、上記で説明した目的に対する認識齟齬が大きいのではないかと思います。

例えば、面談の目的を企業が②、候補者が①と認識していたとします。企業は相互理解の目的で「これまでの経験」や「今後のキャリアプラン」などを聞くのですが、候補者からすると「カジュアル面談のはずなのに面接みたいなことを聞かれた」と感じる可能性が高いでしょう。

また、①と認識した候補者が企業のことを詳しく調べていなかった場合、②の企業は「相互理解の場なのに、候補者からは理解の努力を怠っている」と感じるかもしれません。あくまで推測ですが、「カジュアル面談で候補者が企業のことを何も調べていなかった」と発言した方の真意はこれではないでしょうか。

逆に、面談の目的を企業が①、候補者が②と認識したとします。候補者としては面談を通じて相互理解したという認識なので、面談後に書類選考に入った場合、「なぜ今更書類選考が必要なのか?」と不審に感じるでしょう。「カジュアル面談後に書類選考するのはおかしい」と感じる候補者が発生する原因はこれです。

※あと、「スカウトを受けたのに書類選考落ちはおかしい」という意見もありますが、これは採用媒体でよく使われる「スカウト」という言葉に語弊がありすぎるからです。詳しくは別の記事で述べました。

企業が目的やアジェンダを明記すべき

こうしたトラブルを防ぐためには、企業側がカジュアル面談の目的、アジェンダ、面談後のフローなどを事前に提示すべきでしょう。候補者はそれを読んで、納得した上で面談を申し込めば良いのです。

「進め方をガチガチに決めるとカジュアルではない」という意見がありそうですが、それについては、エンジニア採用媒体のLAPRASの言葉が参考になります。企業はしっかり面談を準備しましょう。

カジュアル面談でカジュアルでいいのは候補者だけ
(略)
カジュアル面談を効果的に実施できないと、候補者の転職意欲を高めることができず選考に進んでもらうことができません。
(略)
いずれの失敗も、カジュアル面談のやり方を整えることで改善されます。

LAPRAS式カジュアル面談のやり方(前編)

私の採用の仕事については下記の記事をご覧ください。

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