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146【ゾンビ企業かも知れない!?】元銀行員・地方在住・財務コンサルタントの思索

皆さんこんにちは。元銀行員で融資・財務コンサルタントの中村と申します。岡山県倉敷市にて独立系融資・財務コンサルタントとして活動しています。都市銀行に中小企業向け融資の担当者として5年半勤務したのち、外資系生命保険会社の営業マンを経て保険代理店として独立し、2022年まで経営していました。そして、約5年間(2015年~2020年迄)で廃業しましたが、焼肉のエリアチェーン店を作り、5店舗経営していました。経営者としてトータル約7億円借入した経験があります。

コンサルテーションの主な対象は年商10億円規模までの中小零細企業のオーナー経営者と後継者様です。顧問先の経営者の年齢は30歳~50歳くらいと割と若いです。

主な仕事内容は、
①インタビュー・対話形式での銀行からの評価が高まる経営計画策定支援
②銀行借入の再編による資金繰りの改善

となっています。
お問い合わせはメールもしくはfacebookへのDMでお気軽に。
直近3期分のご決算書類と借入返済予定表を無料で分析後、
45分無料経営相談承ります。

nori.nakamuraconsul@gmail.com

https://www.facebook.com/norihide.nakamura.18

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【本編】

はじめに


「ゾンビ企業って何なんだ?」
そう思った方は多いのではないのでしょうか?

言葉の受け取り方は人それぞれです。しかし、多くの企業にとって事実上の延命措置となったコロナ融資の元金返済はスタートしており、ここから更に10年間で仕切り直す、いわゆる信用保証協会の借換保証制度の申し込み期限も3月末までと近づいており、いよいよアフターコロナの時代へ本格的に突入したと言えるのではないでしょうか?

今回は、巷にあふれる「ゾンビ企業」を財務コンサルタント的な視点からきちんと定義することを試みます。

先に言いたいことを述べるとするならば、「ゾンビ企業の財務的な定義を知ることで正しく自社の健康状態を捉えるきっかけになって欲しい。」ということです。自社の財務が大丈夫なのか?という疑いの目を持っていただきたいのが本音です。

今回は、
1.貸借対照表の基準(B/S)
2.損益計算書の基準(P/L)
3.資金繰り表(CF・キャッシュフロー)
という3つの観点で理解していただきたいと考えております。

もし良ければ最後までお読みください。

1.貸借対照表の基準

そもそも論になりますが、中小零細企業の金融分野におけるメインは銀行取引です。その銀行・信用金庫などの金融機関が企業の経営実態を把握する上で、最も重視するのは貸借対照表です。

実は本質はシンプルで、この3つのポイントをイメージすることが肝要です。
①純資産額
②預金量
③銀行借入額

前提として財務的に健康な状態は純資産額が当然プラス、預金量が潤沢にあり、銀行借入が少ないという状態です。この方向性と言いますか、文脈をまずは覚えておいて欲しいところです。

当然、貸借対照表の基準におけるゾンビ状態はその逆の方向性になります。

純資産額➡2年以上連続で債務超過・実質債務超過解消まで10年を要する
預金量➡手元流動性が月商の1か月以内
銀行借入額➡運転資金の借入が月商の6か月を超えている

日本財務力支援協会研修会にて

これら基準に全て合致していれば、かなりマズイ状態です。脅かすわけではありませんが、万が一この状態でも「なんとかなるさ!」と楽観的に考えていても抜本的な改革抜きに事態が好転していくことは非常に稀でしょう。痛みを感じない、まさにゾンビ状態に経営者の感覚が陥らないで欲しいと考えております。

2.損益計算書の基準

貸借対照表の基準の次に考えねばならないのは、その企業の1年間の経営成績の結果である損益計算書の基準です。

・営業利益が3年以上連続して赤字
・経常利益が3年以上連続して赤字
・債務償還年数が15年以上
※債務償還年数計算式={(短期借入金+長期借入金)―(売掛債権+棚卸資産―買掛債務)}÷(経常利益+減価償却費―法人税等)

日本財務力支援協会研修会にて

コロナ禍だから仕方がない、という考え方もできるとは思いますが、おそらく国はコロナ融資において異次元の資金投下を実行し、既に苦境にあった中小零細企業も含めての延命措置をしたと捉えることができます。ある意味、企業としての身の振り方を経営者にじっくり考えて欲しいという思惑もあったのではないでしょうか。今回示す基準は廃業や事業売却を検討していく上での一つの尺度と思っていただきたいです。

3.資金繰り表(CF・キャッシュフロー)

上場企業や・中堅企業においてはキャッシュフロー計算書の作成は経理部門が的確に常に作成していることと思います。しかしながら、経営資源が極端に限定される中小零細企業においては、キャッシュフロー計算書というよりも過去12カ月の実績資金繰り表と12カ月分の資金繰り予定表を常に作成するという考え方が重要になります。資金の枯渇=事業の停止=企業倒産という図式になるわけですから、企業の永続を考えるならば、とにかく現預金の推移は神経質にウォッチしておかねばなりません。ある意味、企業活動=現預金量の推移という考え方でも良いと思います。

この資金繰り表におけるゾンビ状態の定義は明確です。

翌月の現預金の繰り越しが読めない状態

日本財務力支援協会研修会にて

まとめ


今回示した基準が絶対的な尺度というわけでは決してありません。しかしながら、自社の今後の経営を続けるのか否かという究極の判断における一つの指標にはなるはずです。
今回の基準を示した理由はいくつかあります。まず、最低でも12か月毎の決算期には必ず経営者は、自社の実態財務を見て欲しいのですが、市場の弱者であって財務にシビアに向き合わなければならない中小零細企業の経営者ほど怠ってしまう傾向があることです。その実態的な財務は簿価と時価が混じっている貸借対照表を時価に直し、在庫や設備もシビアに価値を算定すれば、誰でも簡易的に実態の純資産額は算定できるはずです。これをルーティン化することで、今後の経営戦略・戦術の精度が高まり、財務的な危機を回避することにも繋がるかも知れないと言えます。また、中小零細企業を中心とした日本経済の現状を見るにつけ、経営者の財務的な尺度が弱いがゆえに、ゾンビ企業が増えてしまい、惰性で経営が続いてしまっている状態は不健康極まりなく今後未来を担っていく世代への問題のなすりつけになってしまうことを危惧しています。日本経済も一つの身体と捉えるなら、患部や弱っている部分は改善して行かねば死を迎えてしまうので、残すべき企業は全力で残し、残念ながらそうでない企業の新陳代謝は加速すべきだと日々考えています。
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【融資・財務コンサルタントの仕事をかみ砕いて言うと…】

岡山倉敷市という地方都市で、独立系の融資・財務コンサルタントというニッチな業態を生業としています。

得意な分野はやはり「融資」です。貸すと借りるの両方を経験し、その道のコンサルタントとして活動している人はまだまだ少ないと思います。

実務としては、インタビュー・対話形式をメインで、銀行などの金融機関の評価が高まる、改善施策を行動計画にまで落とし込んだ「経営計画」を作るお手伝いとなります。実はこの「経営計画」を作っていく中で、自社の情報を体系的に整理するというメリットを得られます。そして、銀行から自社の財務状況がどう評価されているのか?(財務格付と言います)を算定するノウハウが弊社にはあります。この財務状況がどういう状態なのかをコンサルテーションの中で、分かり易く説明させていただきます。少しだけ踏み込んで言えば、この財務格付の算定プロセスの中に、自社の改善ポイントを見つけることができます。

「経営計画」以外には、銀行借入の再編プランを作り、金融機関への説明資料を経営者と一緒に作成し、場合によっては銀行の許可を得た上で、交渉の場に立ち会わせていただくことも頻繁にあります。銀行融資の再編だけでびっくりするくらいの資金繰り改善に繋がることが多くあります。

色々と書きましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者には、頼りになる右腕的幹部社員もいなかったりするケースが一般的です。つまり、私(弊社)は外注幹部社員としての役割を担うことになります。

融資・財務改善を軸としたコンサルタントは多いようで実は少ないと考えられます。このnoteを読まれたことも何かの縁ですので、自社の財務面や戦略面でモヤッとしていることがあればお気兼ねなく、質問などお問い合わせください。メールとfacebookへのDMでどうぞお気軽に。

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