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ジムに通う理由

今日は5月1日でベルリンは祝日。夏日で最高気温は27度の予報が出ている。空気が乾燥しているせいか、夜間に咳が出てなかなか眠れなかった。朝は9時半過ぎにやっと起き上がった。

今日も暑そうだなぁ。どうしようかな。

コーヒーを飲んでパンを齧りながら、ティアキンを始めた息子を眺める。私とは違い、やり込まないタイプなのでブレワイをクリアしたら興味がなくなったらしい。追加コンテンツもハードルが高いせいか途中でやめてしまった。意外である。とはいえ、私もまだ剣の試練極位には手をつけていない。

友人はジムに行くのかなと思い、連絡を入れてみたらすでに準備を整えて向かうということだった。それなら行こうか、と準備をして向かうことにした。休日にもジムでトレーニングとはまるで部活である。中高とバスケットボール部だったが、まさかベルリンでもここまで定期的に運動をすることになるとは思ってもみなかった。

今日も30分走って、30分筋トレ、10分ダッシュといういつものメニューである。このいつものメニューだが限界ギリギリというか、かなりきつい。特に最後の10分ダッシュのあとはふらふらになる。いい天気だったのでテラスに出て水をゴクゴク飲みながらサンドウィッチを頬張った。風が最高に気持ちいい。

珍しいことに同じようにテラスで横になっていた人がむくりと起き上がり話しかけてきた。首には首を固定するためのバンドのようなものが巻かれている。あの状態でジムにきて運動するとしたらウォーキングかクロストレーナー、自転車くらいかな、そんなことを思ったりもする。

どうやら家にいると首の痛みが耐え難くて鬱々とするんだとか。ヘルニアもやったことがあり、医者や病院にも行ったが首の痛みについては診断が下りないらしい。「こんなに痛いと痛み止めも効かなくって。もうどうすればいいのかわからない。」話しかけてきた女性はそんなことを言った。年齢も同じくらいの女性である。話を聞いてくれる人も周りにはいないのか、ツラツラと自分の痛みについて語り出した。

ジムに通い出して2ヶ月。たまにこんなふうにジムに運動というよりは別の目的で来ている人がいることに気付き始めた。ある人はシャワーが目的。ある人は話し相手を探しに。ある人は理由まではよくわからないが、更衣室でも運動するスペースでもかかってきた電話に怒鳴り散らしていた。

うーん。

偶然、そういうどちらかといえばあまりいないタイプの利用者を目撃しただけなのかもしれないが、みんなそれぞれ抱えているものがあるのだろう。その女性には気の利いたことを言うことはできなかったが、少なくとも彼女の気の済むくらいには話に付き合ってみた。おそらく彼女とはタイプが違うのである。自分の抱えている悩みを第三者にわざわざ伝えようとは思わない。伝えるとすれば本当に気の置けない信頼している限られた友人だけだし、そもそもあまり積極的にそういった話をしようとも思わない。最近、ようやく以前よりは話せるようになってきたくらいである。

何はともあれ、世の中にはいろんな人がいるもんだよなぁ。彼女の首の痛みが少しはマシになりますように。そして私は今日もサウナで昇天していた。


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