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凪状態

今ちょうど気分的に大海原にイカダでポツンと漂っているような感じなんだけれど、見事に凪状態で一進一退どころか全く動けないでいる。突然、ざばぁと水面下からモンスターが現れるわけでも、悪天候に見舞われてイカダに雷が直撃してバラバラに壊れるわけでもなく。ただただじっとそこにいる。どちらに進めばいいのかわからないし、陸地らしきものすら全く見えない。

ここまで凪状態が続くのも珍しいというか、こんなことはおそらくベルリンに来てから初めてなんじゃないだろうか。2024年の前半はこのまま何も起こらずに終わりそうな気配すらある。一度だけ似たような状況に陥ったことがあるが、そのときは凪状態というより、暗い穴の中に落ちていくような状態だった。モスクワでのインターンやそれに伴う生活が波乱万丈すぎたのである。ベルリンに戻った途端にその反動で、確か半年くらいどこにいて何をすればいいのかわからなくなった。2001年の夏以降のことだ。

なんでベルリンにいるんだ?ベルリンにいる意味とは??

30歳手前の話である。あの半年間は本当に辛かった。モスクワでは一歩外に踏み出せば何かしらハプニングがあるのだが、ベルリンという街は自分から積極的に動かないと何も起こらないようなところがある。

日頃からエネルギーの匙加減が上手くないせいか、ここにきて体調もよろしくないときた。更年期なのか持病のせいなのか、トレーニングのしすぎなのかよくわからないが常に眠いしなんだかだるい、というのがデフォルトになりつつある。人間、ノンストップで走り続けることはできないんだなぁ、と改めて思ったりもする。今、凪状態なのはそういう意味では辻褄があっている。

端的にいうと、日々戦闘モードな生活はもうそろそろごめんかな、と思う瞬間が増えた。全体的に省エネモードなので、フロントに立ってグイグイ攻める気がしないし、後ろで控えてディフェンスに徹しながら様子を伺っている。煩わしいことからはさっさと距離を置き、やたらめったら腹も立たない。怒りにもエネルギーが必要だからだ。

公園を走ったり、家トレをしたり、ジムに行って体を動かしたりはしているのでそこまで引きこもっているわけでもない。誘われればカフェに行ったりもしてはいる。ただ道をあるいているときにふと「ベルリンかぁ…」と心の中で呟いている自分に気づくのである。

またいい風が来て波が起これば、それに乗ることができるように準備だけはしておこう。まずは体調を整えるのが最優先かな。





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