桜井弓月🌸Kindleで詩集発売中🌙

📕Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中📚️*詩、短歌、小説、歌詞*誰か、…

桜井弓月🌸Kindleで詩集発売中🌙

📕Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中📚️*詩、短歌、小説、歌詞*誰か、たった一人にでも届く言葉を*詩誌『ココア共和国』23年3月号以降、複数回掲載*キラキラポジティブではない脳性麻痺の車椅子ユーザー*シスヘテロ女性(she/her)*無神論者*

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【発売中】Kindleで詩集を出しました

このたびKindleで、初の詩集を出しました。 しかも、同時に二冊!! ★第一詩集『戯言―ざれごと―』 ★第二詩集『寓話』 です。 (Kindleのページへのリンクは、この記事の中ほどにあります。) 二冊の詩集どちらも ・kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です (kindle unlimitedは、初回30日間無料です) ・購入価格は、各500円です ・収録作品数は各48編です これまでnoteや詩誌『月刊 ココア共和国』で発表した詩の中から厳選

    • 【詩】青空

      青空は、いつだって美しいから この世は残酷だ その下を歩く者たちすべてに 青空はいつだって平等で どこへでも飛んで行けそうと見上げるけれど 足もとの歩道は、ひどく歪んでいるか 狭すぎるか、車道に向かって急に傾いていて どこへでも歩いて行くなんて、できやしない 青空は見上げるもので、飛ぶためのものではなく 歩くための歩道は、歩行者を選別する 歩けない歩道を横目に 車道を行くしかなくても 私のはるか頭上には 青空が美しく広がっている 今日も、この世は残酷だ   ★Kin

      • 【詩】灯火と太陽

        洞窟の奥深くで、彼らは暮らしていた みな、枷を填められ鎖で繋がれていたが 枷は体の一部のようであり、鎖は長さがあったので 彼らは、自分たちが自由の身であると信じ込んでいた はるか後方の灯火に照らされて 人々の背後を流れてゆくものどもの影が 洞窟の壁面に映し出される ときに揺らめく影たちは 彼らの目にはどれも美しかった 花も鳥も馬も、彼らの目には影でなく 花や鳥や馬そのものであった ある日、ひとりの若者の枷と鎖が偶然解かれ 若者は、洞窟の長い通路を出口に向かって歩いていった

        • 【詩】友よ

          ぼくは、君のセリヌンティウスになれるだろうか ぼくは、君のために喜んで命を賭けられるだろうか ぼくは、君のために喜んで死ぬ覚悟があるだろうか 君の友情と信念がどんなに強固であろうとも どうすることもできない不測の事態は起きてしまうから ぼくが君を信じるか信じないかの問題ではない これは、ぼくの愛の問題なのだ 君が戻ってこなかったとき ぼくは、変わらぬ愛を抱いたまま死んでゆけるだろうか 君を恨まず、君の幸福を願い続けて 澄んだ心で死んでゆけるだろうか 君が戻ってきたとき

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        • 詩集#4
          23本
        • #障害のある人生
          20本
        • 短歌集
          31本
        • #反出生主義
          25本
        • 詩集#3
          50本
        • 20字小説
          26本

        記事

          【詩】神事

          赤ん坊が泣いている お腹が空いたのだろうか おむつが濡れているのだろうか 眠いのだろうか どこかが何かが不快なのだろうか 赤ん坊が泣いている いや、泣いているのではない 泣かされているのだ 健康のためではなく 安全のためでもなく 幸福のためでもなく 大人たちの娯楽のために 泣かされている 赤ん坊が泣いている 不安だろうか 恐怖だろうか 驚きだろうか その子自身の安寧のためではなく ただ大人たちの娯楽のために わざと不快を引き起こされて 泣かされている 両親がニュース番

          【詩】解離

          着たい服を着て、小洒落た食事に出掛け 目の前の愛する友に、やわらかく微笑みかけながら 頭の中では死の算段をするような たとえば、そんな夜がありましたか 磨き抜かれたナイフとフォークで サラダからフィレ肉まで舌鼓を打ちながら 必要なロープの強度や橋の高さを考えるような たとえば、そんな夜がありましたか デザートの美味に感嘆し 最後の一口を惜しむように掬いながら ラズベリーソースに、己が流す血の色を見るような たとえば、そんな夜がありましたか それは虚飾の夜ではなく、覚悟の

          【短歌二首】GWの悲哀

          厚紙の鎧兜を着せられてカーネル翁「これも仕事さ」 ハブ駅のエレベーターに海外の客がずらりと ああ円安よ   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【短歌四首】明日は立夏

          深春の夏日をゆけば脳喚く 麦茶麦茶、アイスティー、麦茶 冷房の効きすぎたカフェ真冬日のカイロみたいなホットコーヒー 立ち漕ぎで光る若葉を走り抜く少年の背のマリノスブルー 惜しみなく光よ降れよ花よ咲け若葉よ萌えよ明日は立夏   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【短歌】新緑

            風は止みただ一面に静止画の死にたくなるような新緑   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【短歌】午前0時の鐘が鳴る

            鐘聞くやガラスの靴を叩き割りただの女と男で走れ   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【短歌】午前0時の鐘が鳴る

          【短歌二首】うぐいす

          鶯の伸びしろ聞こゆホッケキョがホーホケキョまでいたる過程の 着実に日々さえずりの進歩する鶯に我遠く及ばず   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【詩】薔薇の花束

          かつて、私の肺には薔薇が咲いていた 赤いのも、白いのも、黄色いのも咲いていた 世界の美を吸い込むことで、薔薇は美しく咲き、高貴で甘やかな香りを放った 肺に色とりどりの薔薇が咲いたから、世界の美に目を見開いていられた しかし、薔薇の花が咲くならば、その陰で棘も育つのだ 世界の醜悪を吸い込むことで、棘は太く伸びてゆき、夥しい数に増えていった 肺に無数の棘が咲いたから、世界の醜悪に呼応せずにはいられない どんなに肺を膨らませても、日に日に大きくなる棘からは逃げられない 薔薇の花

          【短歌四首】風が吹いたら

          春光の遊歩道に風ひとつ車椅子の膝に桜しべ 川を越え鳥たちとゆけ花筏にまだならないで桜吹雪よ 片隅に迷い込んでる花びらをそっと手に乗せ開け放つ窓 週末のクローゼットに春色の戦闘服は並べられたり   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)

          【短歌四首】風が吹いたら

          【詩】トロッコ問題

          線路を走るトロッコ一台 制御不能のトロッコ一台 トロッコの行く手に母親ひとり 分岐の先には少女がひとり 母も娘も金縛り 身動き取れず金縛り 迫り来るトロッコ一台 分岐の前までトロッコ一台 白い翼の使者が舞い降り 黄金の笏を一振りすれば トロッコは止まれど 母と娘は金縛りのまま あの娘はお前の子どもか そうです、私の娘です あの娘はお前が作った子か そうです、私と良人の愛の証です あの娘はお前が生んだ子か そうです、お腹を痛めて生んだ子です あの娘をお前は愛しているか そ

          【詩】耳栓

          「最近は、乾杯のときにビールを強制しちゃいけないらしいよ」 「めんどくさい世の中になったなあ」 君の声だけ、聞こえればいいのに どんな音も声も、防ぐことはできない 耳を塞いでも、薄汚れた音は漏れ聞こえてしまう 君の声だけ、聞こえればいいのに 体ごとやわらかく包み込むタオルケットのような声 みずみずしく輝く花の香りのような声 南国の、とろりとした甘いフルーツのような声 小さな光の粒を束にしたような声 愛の言葉じゃなくていい 希望の言葉じゃなくていい むしろ、そうじゃないほ

          【短歌】春ひとひら

            早朝のトイレの窓にひとひらの春舞い降りており花嵐   ★Kindleで詩集『戯言―ざれごと―』『寓話』発売中★ (kindle unlimitedご加入の方は無料で読み放題です)