メキシコペソ 12月2週目 年末に今年最大の衝撃

本当にビックリしました。ロスカットにあった人もたくさん出たことと思います。日銀植田総裁の「チャレンジング」発言を手始めに1日で5円以上円高、年末決算時期なので大きく相場を動かすことは忌避されると思い込んでいたのでやられました。ニュース、ネットでは円安ドル高の終了とかいう声が大きいですが、今回は単に突発的なだけの気がしています。トレンド転換はもう少し様子見だと思います。

来年日本が政策金利を上げたとしても-0.1%からせいぜい0.5%でYCCが2%、アメリカが金利を下げるにしても来年6月頃で5.00%と考えれば、それでも3%以上の金利差。また、日本企業の決算がいいにもかかわらずドル売り円買い需要が上がらないのは、日本企業が円決済の比率を下げ続けていた結果なのかと想像。そう考えれば、来年よほどの外交的圧力がない限りドル円135円以下に下がらないかもと思ってしまいます。

最低賃金は20%アップ

今週、2024年の最低賃金が日給207ペソから20%アップの日給249ペソ、月額7508ペソと決まりました。当初は12.8%アップの234ペソと言われていたので予想以上でした。最低賃金は下表の推移で、AMLO就任後に2.5倍ほど上がっています。(個人的には日給では、1日は何時間なのか、月の労働日数は何日なのかわからないので、この統計は辞めて欲しいです。)

また、雇用はメキシコ社会保障研究所(IMSS)に登録されている正規雇用者数は2200万件で過去最高を更新しており、年間で増加率が高いのは建設業で8.8%、運輸・通信業が6%、商業が4%になるそうです。個人消費も労働市場、送金、信用に支えられて年末にはさらに力強さが増すと予測されています。

アメリカの最低時給が15ドル(平均は30ドル以上)で最低日給120ドルとすれば、メキシコの249ペソ=14.6ドル(1ドル=17ペソ換算)と8倍差があるので隣接する国と考えれば低すぎるとも思いますし、AMLOの目指している貧困、格差解消の一翼を担うと考えれば良いことなのですが、サービス価格の上昇でインフレ退治はどうなるのか、ちょっと考えさせられます。

海外直接投資

財務省によると、2023年1~11月の海外直接投資は発表ベースで363件、1064億ドルとなり2022年のメキシコGDPの6.4%に相当すると発表しました。これ自体はUSMCAでイケイケ状態なので特に違和感なかったのですが、42%ほどが自動車関連投資にもかかわらず、トップ10に日本がないことに驚きました。日産、トヨタの累計投資額はかなり大きいはずですが、今年発表しなかっただけなのか、統計方法なのか、それとも何か違う理由があるのか気になります。

イエレン財務長官訪メキシコ

今週イエレン財務長官がメキシコを訪問したのですが、フェンタニル探知機の国境配備要請、麻薬との戦いが主要なテーマだったようです。財務長官としては、中国からの麻薬密売のヤミ金融、マネーロンダリングの監視強化をメキシコ財務省と合意しました。

個人的にはインフレとか利下げ時期、ニアショアリングを期待していたので違ったみたいですが、「2000年以来、薬物の過剰摂取で100万人以上が死亡している。フェンタニルのような合成オピオイドを含むオピオイドは最も致死性が高く、週に1,500人以上が死亡し、さらに多くの人が被害を受けている」とのイエレン財務長官の話を聞くと納得です。
また、機密技術の中国流失を阻止するための圧力もあるようです。

トピック

通貨:
先週17.19から週末は17.35
米国雇用安定で結局ドル高
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測

メキシコ株:
週末株価は54.0から54.2
カルソグループをはじめ鉱物関係が軒並み下落

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は12月14日
年末目標金利は11.25%
11月9日の政策金利会合は利上げなし
セハ総裁、ヒース副総裁ともに12月の政策金利据置、利下げを議論する可能性を表明
利下げ開始は希望的観測では2024年2月、8月ぐらいが順当
外貨準備高が2056億ドルで1995年来の最高水準
メキシコ財務省、中銀は来年の成長率を2.1%から3%へ上方修正

メキシコ年末経済成長率予想
3.6%・・・JPモルガン
3.5%・・・ムーディーズ、パリバ、メキシコ財務省
3.4%・・・XP、シティ、ゴールドマンサックス
3.3%・・・OECD、メキシコ中銀
3.2%・・・バークレイズ、BoA、BBVA、IMF
3.1%・・・フィッチ

金融:
10月までの銀行利益が2280億ペソ、前年同期17.4%増加で過去最高を更新中
銀行は高金利で記録的な利益を継続

消費者物価指数:
10月の年間インフレ率は4.26%、前月4.45%より0.19改善
10月の年間コアインフレ率は5.50%、前月5.74%より0.24改善
11月中間の年間インフレ率は4.32%
11月中間の年間コアインフレ率は5.31%
アナリストは冬季燃料高とペソ安が物価を圧迫する可能性有りと指摘
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 10月:-2.5億ドル、9月:-14.8億ドル、8月:-13.8億ドル
輸入額 10月:519.7億ドル、9月:511億ドル、8月:537億ドル 
輸出額 10月:522.3億ドル、9月:497億ドル、8月:524億ドル
資本財の輸入は20%、資本金流入も20%増加

10月送金額は52.9億ドル 送金額累計は528.9億ドルで前年同時期より9.4%増加

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの10月までの累計売上は1兆2110億ペソ、10月単月の売上高は既存店で1.4%減少
INEGI:9月の小売り売上は年率3.7%増加
Banco Base:今年の個人消費は4.3%成長と予測
11月の消費者信頼感指数は47.3、前月1.1%増加

雇用・失業率:
INEGI:10月失業率は2.7%、前月と同じで依然として雇用は好調
10月の経済活動人口は前月より15万人増加で6099万人
前月と比べ非正規率が54.3%から55.1%へ上昇
2024年の最低賃金は現在の207ペソから20%増の249ペソで決定

製造業・自動車:
11月自動車生産台数は32.9万台、前月より4.9万台減少
11月までの累計生産台数は356.3万台で前年同期比16%増加

11月の景況感は前年同月比56.0%で好況を維持
9月総固定投資は年次23.5%、前月比1.5%減少、減少は2022年7月以来
財務省:2023年1~11月の申請ベースの海外直接投資額は1064億ドルを予想

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは73.59から64.86
サウジとロシアが更に減産もOPECの全面合意ならず
需要減少から原油は続落
ブラジルがOPEC+正式加入

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカの対メキシコ貿易比率は年累計で15.8%で首位

USMCA以外:
アルゼンチン大統領の政策に全南米が関心

観光業:
1~10月までの空路旅行客は1700万人で前年同時期比6.2%増加


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