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今年の稲刈り(1)

実家と自宅の二重生活を始めて三年半。
父の作るコメ作りの手伝いが年々大変になっていく。

今年の夏、父は軽い脳梗塞にやられた。先生から一週間入院が必要と言われたが田んぼの用があるから入院しちゃあおれんと言い、点滴を受け、薬をもらって帰ってきた。顔をみると右半分がダランと下がっている。二次発症も心配だ。これは大変なことになった。デイサービス?家政婦さんを雇う?母の脳梗塞を見てきたためか色んなことが頭をよぎる。病院から帰ってすぐ母のケアマネに相談してみた、「まずは介護申請の手続きを進めちゃったらええ、コロナで今は申請に時間がかかるから、今申請しても8月の終わりぐらいにしか来てもらえんかもしれんけど」という。「でもねえ、父にゆうてもそねえなん必要ないって、けんもほろろなんよ、一週間後に先生の意見を聞いてからまた考えます。」

一週間後、顔の表情が少し良くなっている。長袖シャツの袖のボタンも自分で留めることができている。少し良くなった?そう感じた。
母のケアマネが心配して電話をくれた。少し良くなってること、今でも父に介護申請する気がまったくないことを伝え、しばらく様子をみることにした。

介護は、安心安全と引き換えに自由が奪われる。父はそれがわかっていたから、介護申請を拒んでいるのだろう。どちらを選択するかは父の問題だ。たとえ再発して死んだとしても、文句を言うような人ではない。父に付き合おう。僕は腹をくくった。

稲刈りが終わるまでは自分が実家で父をサポートすることにした。福岡の妻と子供たちも理解してくれて、土日の空いてるときはなるべくこちらに来てくれることになった。

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