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夜の光っていいよね

GWは風邪をひいて体調を崩したり、顎が急に痛くなって口を動かしづらくなったり、いろいろと不調が続いていました。
仕方がないので、家で本を読み漁り、永遠にYoutubeを見たり、散歩に出かけたりしたのですが、それでも時間が余ったので、実家に帰って数日ゆっくり過ごしました。
週明けに会社の人にGWは何してたの?と聞かれるのが今から怖いです。
火曜日はできるだけ同僚から離れた席に座ろうと思います。

帰省した時の写真です。

気分が沈みがちな時、よく村野四郎という人の詩集を読みます。
ちなみに詩については全く知らないですし、村野四郎の詩集も1つしか持っていません。
詩集の裏表紙には「人間をその根源において支えるものとして考える、という存在論的認識に貫かれてきた村野四郎の詩集は現代詩の一つの到達点を示すものといえよう」と書かれており、存在論的認識が何なのか全然分かりませんが難しい本を読んでいる感覚にさせてくれるので気に入っています。
なぜ買ったのかと言うと、大学院生の時に下鴨納涼古本まつりで古本を買うことに憧れがあり、なんかかっこいいからという理由で詩集をいくつか買いました。
ゲーテとか北原白秋とかの詩集も買ったのですが、村野四郎の詩集だけ何度も読み返しています。

この人の詩は夜や死、虚無などをテーマにしており、基本的にものすごく暗いです。
ただその中に描かれる光が、深海に差し込む光のように温かく、静かで、柔らかで好きです。
落ち込んでいる時にカーテンを勢いよく開けて直射日光を浴びせてくるのではなく、月の光や、夜の川に反射する街灯、暗闇の中のろうそくのような静かな光で少し体温を上げてくれるような感覚です。
とはいえかなりえぐみのある詩も多いですが…。

最後に個人的に好きな、短めの詩を載せておきます。

暗い鉄の塀が
どこまでも続いていたが
ひとところ狭い隙間が空いていた
そこから誰か
出て行ったやつがあるらしい
そのあたりに
たくさんの花がこぼれている

村野史郎 花を持った人

詩の中で光は明示されていませんが、読むとこぼれた花の上に塀の隙間から光が差している情景が浮かびます。
その後に、だれかが塀の中の暗闇から抜け出したんだという希望と、もうここにはいないという空虚が余韻としてじわっと広がってきます。

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