文字式の深い理解をめざして ~タイル図を用いて~
1 中学校数学で学習する文字式の発展
中学校数学では、文字式を学習します。
まずは、学年が進むと、式の中に含まれる文字の種類が増えます。
次に、計算です。ここでは、文字式の乗法(掛け算)に注目してみます。
2 タイル図を用いて文字式の発展を直感的に理解する工夫
文字式の乗法は、文字の種類が増えても、既習の計算方法を適用すると正しい答えを出せます。
しかし、「なぜこの方法でよいのか」という理解をさせるためには、工夫が必要です。
私は、タイル図を用いて理解させてみました。
タイル図では、長方形の面積で、文字式の乗法を直感的に理解することができます。
また色分けすることで、文字の種類が増えるということは、タイルの面積が変動する箇所が増えることが分かります。
このように、図を並べると、式に含まれる文字が増えると、長方形の面積が変化することが見えてきます。自由度が増していると見ることもできます。
3 タイル図の限界と必要性
タイル図も限界はあります。
例えば、$${-3(a+b)}$$のような文字式の乗法は、表現できません。
また、$${(a+b)(c+d)(e+f)(g+h)}$$のような、4つの文字式の乗法は、4次元の絵が必要なため、2次元や3次元のタイル図で表現できません。
あくまでタイル図は文字式の乗法を直感的に理解する道具です。
規則性を理解できれば、抽象的に操作できるようにさせていく必要があります。要は、分配法則ですね。
でも、初めから分配法則だけを教えるというのは、正しい答えを出すという「技能」は身についても、なぜこれが正しいのかという「理解」はできていない生徒が多いのではないかと思います。
4 最後に
数学において、式を形式的に操作できる技能は大切です。
でも、教師がそればかりに気を取られてしまい、答えを出すことに重点を置いてしまうと、操作の正当性をチェックして、操作が妥当だと理解する(深い理解)はできないと思います。
生徒の「なぜ?」を大切にした授業をしていきたいものです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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