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他者と学ぶ

 今回は、他者の存在が学び手の学習の促進に関わっているということを書きたいと思います。
 最後まで読んでいただけるとうれしいです!!

1 他者とは

 この記事では、他者を2つに分類します。
 1つは学び手よりも知識量が多い他者、もう1つは学び手と同程度の知識量の他者です。

図1 学び手の知識量と比べたとき、他者は2種類に分類できる

2 知識量が多い他者と学ぶ場合

 知識量が多い他者と学ぶ場合、学び手は適切な助言を受けることができます。
 最近では、ここでいう他者がAI(人工知能)の場合もありますね。ただし、AIが適切にコーチングしてくれても、学び手が能動的に学ぼうとする姿勢が大切です。それがなければ、学び手が深い理解に向かうことはないでしょう。

 また学び手は、ある程度知識が増えていくと、「こうしてみたらどうだろうか」という創造的な活動をしたり、より良い方法を探したりします。稲垣・波多野は、これを「適応的熟達」と呼んでおり、これはよく見られる現象のようです。

3 同程度の知識量の他者と学ぶ場合

 同程度の他者と学ぶ場合、他者との認知差があるため、対話の中で新たな視点に気づき、深い理解へ向かうことがあります。

図2 同程度の他者と対話することで、理解が深まる

 また三宅の研t究(※)によると、取り組んでいる課題について、よく知らないと自認している他者からの質問、批判が、理解の深まりの契機となる場合があったと報告されています。

 「教師」のような他者から質問や批判をされた場合、学び手は

  • 教師はすでに正答を分かっている。

  • 教師の考えている答えに速く到達することに力を注ぐ。

だろう。

図3 学び手は教師が知っている答えにたどり着こうとする

 こう考えると、同程度の知識量の他者と意見交流をしながら学ぶ方が良いと思います。

4 最後に

 現在の学習指導要領で身に付けさせる資質・能力の1つに「知識及び技能」があります。これは断片的な知識ではなく、構造化・一般化された知識や技能です。そのような知識や技能は、一方的な知識の伝達で身に付けるのは難しいでしょう。
 その資質・能力を身に付ける学び方として、「協働的な学び」があります。この記事で書いたように、他者(特に同程度の知識量の他者)との学びは知識の深まりが期待できます。

 このことを理解して、子どもたち授業したいですね。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

・参考文献

1 人はいかに学ぶか 稲垣佳代子・波多江誼余夫著 中公文庫

2 「理解におけるインターラクションとは何か」 三宅なほみ 1985

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