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「生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真」展へ

先日、兵庫県立美術館で開催されている
安井仲治の写真展を見に行った。

安井仲治は、1903年に大阪で生まれ、
激動の時代を生き、38歳の若さで病気で
この世を去った。
私は写真技術については詳しくないけれど、
デジタル写真ではない、ヴィンテージプリントや
モダンプリントという昔の写真を見ることが
できた良い機会であった。

私は特に初期の頃1920年代の詩情が漂う
写真が気に入った。

人が道を歩いている、ありふれた日常の光景を
こんなふうに残せるなんて、そして時を経て
今見ることができる奇跡を思った。
今を生きる私たちもいつかはノスタルジーの
中の人になるのだろう。
ただ道を歩いているだけのことが
貴重なことのように思える。


このような窓からの風景は好み。


動物に向けられたまなざしも真っすぐだと
感じられる。


建物にチェスボードのような模様が。
フェルメールの絵にも、床がこのような
模様になっている絵があり、絵画との
共通点をみつけられて嬉しい。建物の中の
ぼーっとひかる小さな明かりに、
視線が向かってしまう、好きな写真。


大阪の中心地である梅田もこんな風だったとは。
おなじみの街で、タイムスリップした気分。


鉄柱と重なる白い雲が印象的だが、文明の利器の
これからの発展を思わせる写真。


なぜかターナーの絵を思い出した。


四角い建物のそばに子供が二人。
この時、写真家は悲しい気持ちだったという。
友人に召集がかかったのだ。


植物の写真もいい。


艶やかな陶器の表面。


写真家は変化しつづけた。
複数の写真の一部を組み合わせてプリントした
モンタージュという手法の写真。
強い眼差しの顔。


シュルレアリスムの作風もあった。


月の写真には絵画のような趣がある。


神戸に逃れてきたユダヤ人。
神戸には今もシナゴーグ(ユダヤ教会)がある。


写真は現実を写しているようで、
現実そのものとはまた違う。
撮る人が決める構図や視線により
一枚の絵が現れ、現実の向こうにある
世界というか、その現実から作り出された
別世界のようにも感じられる。けれども
やはり現実の何らかは確かに息づいている。
そのような写真の性質に惹かれる。


実は、写真家の安井仲治を知ったのはほんの
2か月ぐらい前のことで、SNSである画家さんが
この展示会のことを紹介されていたからである。
私はその画家さんの絵を持っていて、
その絵の世界に、さらにもう一歩踏み込めた
気がする。


兵庫県立美術館は、安藤忠雄氏設計の建築。
私は中世などの古い建築が好きなわりに
このような近未来的な様式にも惹かれる。
懐かしくさえ思うのはなぜだろう。


海はすぐ近く。

青いリンゴも安藤忠雄氏がデザインしたオブジェ。


他にもたくさん良い写真がありました。
展示会は2月12日まで、詳細はこちらです。

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