見出し画像

「キュビスム展 美の革命」へ

先日、京都市京セラ美術館で開催されている
「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展
美の革命」を見に行った。50年ぶりの
大キュビスム展ということである。
実は私はこの美術展への興味は薄かったが
山田五郎さんのYouTube動画「オトナの教養講座」で
紹介されているのを見て興味を持ち、
この機会を逃してはいけないと思った。
そういうわけで予習をしていたということもあり、
興味を持って鑑賞することができ、この美術展に
導かれてよかったと思う。

一部を除いて写真撮影が許可されていたので
いくつか紹介したいと思う。
キュビスムは20世紀初頭、パブロ・ピカソと
ジョルジュ・ブラックによって生み出された
とされているが、セザンヌの絵にはキュビスムの
兆しが既に見られて、キュビスムへ向かう多くの
画家に影響を与えた。
ということでポール・セザンヌの絵も展示されていた。

曲がった木 セザンヌ


こちらはジョルジュ・ブラックのレスタックの高架橋、
セザンヌの影響が窺える。

レスタックの高架橋 ブラック

私が気に入ったセザンヌの静物画。

ラム酒の瓶のある静物 セザンヌ


最初のセクションは、キュビズム以前とその源泉
ということで、他にルソーやゴーギャンの絵も
展示されていた。

ここから本格的なキュビスムの作品をいくつか
紹介することにしよう。

パブロ・ピカソのヴァイオリン。
私の理解では、やはり天才とだけはわかる。

ヴァイオリン ピカソ

ピカソの裸婦。
ここまでくると究極のキュビスムという
感じがする。

裸婦 ピカソ


ブラックの円卓。
円卓のテーブルの上に楽器などが見られる。
ブラックもやはり天才。

円卓 ブラック


ブラックの果物皿とトランプ。
塗装職人として働いた経験から
新しい技法が考案されたという。
ブラックの作品の中で一番気に入った絵。
何がどう良いかというのは説明が難しいけど、
構成や色彩、トランプのモチーフにも
目が留まった。

果物皿とトランプ ブラック


ピカソやブラック以外にも、楽器をモチーフに
描かれている絵がいくつも見られた。
画家はどのような音楽を思って描いたのだろう?

次の部屋へ向かう途中で。
この階段には上れないけど、思わず足を止める。


ロベール・ドローネーの大作、パリ市。
こんな巨大な絵だったのかと圧倒された。

ドローネー パリ市

また次の部屋へ移動中に撮影を。
ステンドグラスからの光が優しい。
この美術館の華美すぎないクラシックさが好き。


フランティシェク・クプカの色面の構成。
黄昏色と女性像、メランコリーな雰囲気が漂う。

色面の構成 クプカ


マルク・シャガールのキュビスムの風景。
よく知られているシャガールの絵とは違う作風。
よく見るとシャガールの名前が絵の中に
書かれていて、ロシアのキリル文字では
こう綴るのかとわかった。

キュビスムの風景 シャガール


シャガールの白い襟のベラ。
このように描かれた妻ベラは初めて見た。
憂いをたたえつつも神々しく思える。

白い襟のベラ シャガール


セルジュ・フェラの静物。
温かみのある色彩が使われている。

静物 フェラ


マリア・ブランシャールの輪を持つ子供。
女性らしい作品で柔らかさを感じる。

輪を持つ子供 ブランシャール


最後のセクションはキュビスム以降の作品の
展示だった。

フェルナン・レジェのタグボートの甲板
キュビスムの特徴も残しつつ
キュビスムとはまた違う作風に変化して
きたのがわかる。

タグボートの甲板 レジェ

ル・コルビュジェの静物。
直線と曲線の組み合わせが絶妙。

静物 ル・コルビュジェ


作品の紹介はここまでで、他に立体の作品もあり
紹介していない中にもいい絵があった。

古典絵画などは謎解きをしてみるのも面白いけれど、
キュビスムの作品は意味を探ろうとしもさっぱり
わからない。見て入ってくる印象をそのまま楽しむ
という鑑賞の仕方でいいのだろうと思う。
それにしても、キュビスムの絵は描くのが難しいと
思う。見たままに描くことは、下手でもなんとか
可能だけど、キュビスムで描こうとしても、
私なんかは出だしから無理だと思う。
やはり天才でないと描けないと思うし、天才で
あっても、作品は試行錯誤や探求の賜物の
はずであると思う。どちらかと言うと
理系の脳の持ち主ではと思う。

時代とともに絵画の様式も変化を続け
現代に近づくにつれて、簡略化や抽象化も
見られてくる。画家自身の個性や感性だけでなく
やはり時代背景や空気感も意識的に或いは
無意識的に取り入れられ、作品が生み出される。
絵画の歴史は、現実の歴史そのものと同じく
川の流れのようであり、作品は時代に翻弄されて
生きてきた人々の証のようなものだとも思う。
こう考えると、今を生きる私達も、
大きな流れのうねりの中を生きているのだ
とつくづく思えてくる。
普段はそこまで意識して過ごしていないけれど、
芸術に触れることは意識が深められる
手段の一つであり、この世に芸術があって
よかったと思う。

美術館の中の「光の広間 天の中庭」
古さと新しさが融合したような心地よい空間だった。

光の広間 天の中庭

美術館の外観。

京都市京セラ美術館


この美術館へは改装後はじめて行きましたが
クラシカルな美しさが残されていて
素晴らしく生まれ変わっていました。
休日にもかかわらず、キュビスム展は
混んでいなくて落ち着いて鑑賞することが
できました。他の美術展に比べて人気が
ないのかもですが、充分に見ごたえがあり
楽しめました。

数日前の連休中のある日、良いお天気で、
京都の街は多くの観光客で賑わっていました。

#オンライン展覧会


この記事が参加している募集

オンライン展覧会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?