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【パイオニア】イゼット異形化・プチガイド

いよいよエリア予選も佳境ですね。

チャンピオンズカップファイナルの切符を手に入れようと、自分の愛機を調整したり、新デッキを試していることでしょう。

そんな新デッキを探している方には、今回のデッキはぴったりかもしれません!

今日は先週からハマっていて使い込んでいる、パスカル・フィーレン作のイゼット異形化の紹介です。


■イゼット異形化とは?

その名の通り、《異形化》を使用したイゼットカラーのコンボ・コントロールです。

製作者のパスカル・フィーレンはこのデッキでアリーナ予選を14-1という驚異の成績で突破しました。

《不屈の独創力》に近いデッキで、デッキ内のクリーチャーを1種類にして、各種トークンを対象に《異形化》を唱え、巨大なクリーチャーを踏み倒して場に出すデッキです。

《異形化》は《不屈の独創力》と違い、1枚しかクリーチャーを場に出せないので、《偉大なる統一者、アトラクサ》が定番となっています。

《偉大なる統一者、アトラクサ》を高速召喚するデッキと言えばネオフォームが近いですが、イゼット異形化は先に紹介したようにコンボ・コントロール。

踏み倒すクリーチャーと《異形化》以外のカードを自由に入れられるので、除去やカウンターをふんだんに投入することができ、コンボへの依存度が低いことも特徴です。

ネオフォームは《偉大なる統一者、アトラクサ》をフィニッシャーとして据えていますが、イゼット異形化にとっての《偉大なる統一者、アトラクサ》はただのアドバンテージ獲得手段に過ぎません。

4マナで7/7が場に出てついでに手札が3~4枚増えるぐらいの感覚なのです。

イゼット異形化がコンボ・コントロールであることは、これから本記事を読んでいくにつれ、理解が深まっていくと思います。

■《不屈の独創力》と《異形化》の違い

いずれも巨大クリーチャーを踏み倒すイゼットカラーのデッキですが、いくつも異なる点があります。

・《不屈の独創力》の利点

まずは《不屈の独創力》の利点ですが、大きく2つあります。

1.1枚で複数体のクリーチャーを場に出せる
これは《世界棘のワーム》+《歓楽の神、ゼナゴス》型では必須事項であり、《奔流の機械巨人》+《マグマ・オパス》型も複数体を並べることがよくあります。

独創力型の魅力

1回の踏み倒しで勝つ力は、間違いなく《不屈の独創力》の方が上です。

2.除去を構えている相手に強い
《不屈の独創力》はクリーチャーを対象にする必要がありません。宝物や手がかりに対して打ち込むことで、除去を構えている相手にも安全に巨大なクリーチャーを出せます。

宝物には打てません

異形化はクリーチャーにしか使用できないため、相手が《致命的な一押し》を構えているだけで《偉大なる統一者、アトラクサ》を場に出せません。この点は非常に大きい。

・《異形化》の利点

除去に対して弱いのは、《異形化》はコンボデッキとして致命的では?そう思っていた時期が僕にもありました。《異形化》にも数え切れないメリットがあります。

1.《勢団の銀行破り》を採用できる
手札破壊を行ってくるラクドスに対して最も強いカード、《勢団の銀行破り》。この便利すぎるカードはアーティファクトであるため、《不屈の独創力》で《勢団の銀行破り》を使うことはできません。(《勢団の銀行破り》が《不屈の独創力》でめくれてしまうため)

禁止カードの風格

しかし、《異形化》であれば問題なく《勢団の銀行破り》を採用できます。

打ち消しを構えるデッキの《勢団の銀行破り》の強さは、スタンダードのグリクシスを使ったことがあるプレイヤーならお分かりでしょう。

2.マナベースへの負担の少なさ
《不屈の独創力》は(赤)(赤)(赤)を要求するため、必然的にマナベースが厳しくなります。青赤の2色土地をたくさん採用しなければなりませんし、何より無色土地を入れる余裕がありません。

《異形化》は赤のシングルシンボルで事足りるため、マナベースに非常に余裕があり、《ミレックス》をたくさん採用できます。

最強の土地

この《ミレックス》がイゼット異形化で最も強いカードと言っても過言ではありません。

これについては詳しくまた解説します。

3.《湧き出る源、ジェガンサ》を採用できる
地味に大きいのが相棒として《湧き出る源、ジェガンサ》を採用できる点です。

強力な相棒

《偉大なる統一者、アトラクサ》を出すデッキで最も起きてほしくないのは、手札に《偉大なる統一者、アトラクサ》が来ることです。特にイゼット異形化は緑、白、黒の3色が出せないため、《偉大なる統一者、アトラクサ》を手札から出すのは非常に困難…というかほぼ無理です。

《湧き出る源、ジェガンサ》であればなんと僅か3つの土地を寝かせるだけで《偉大なる統一者、アトラクサ》をプレイできます。

《湧き出る源、ジェガンサ》を除去する手段はそう多くはありません。《ヴェールのリリアナ》に対しては《ミレックス》のトークンなどがいるので、ラクドスの2マナの確定除去しか当たらないのです。

《湧き出る源、ジェガンサ》から《偉大なる統一者、アトラクサ》をプレイする回数はそれなりに多く、この点も《異形化》を使う大きなメリットと言えるでしょう。

■デッキリストと一部カード紹介


《ミレックス》

このデッキ、イゼット・ミレックスかも

このデッキの影の立役者と言ってもいいカード。《ミレックス》と打ち消し呪文だけでゲームに勝つことも多いです。

このデッキは大量の打ち消しと除去と《ミレックス》と《異形化》で構成されたデッキです。相手は《異形化》をプレイされないために除去を構えます。除去+2マナ(呪文貫きやかき消しを支払うマナ)を構えるには《致命的な一押し》のような1マナ除去ですら3マナ必要となり、そうなるとまともにアクションできません。

《異形化》に対して除去を構えてきたら《ミレックス》でトークンを生み出して攻撃をし、相手が動いてきたら打ち消しや除去でいなしつつ、《異形化》を打つ。これがこのデッキの勝ち手段です。

《ミレックス》がなければ盤面のプレッシャーがないので、相手は構える行為に裏目が発生しません。この土地によって相手は動かざるを得なくなり、最終的には《異形化》が勝利をもたらすことになるのです。

そのまま打ち消しと《ミレックス》だけで勝つこともありますが。

《回路切り替え》

2つの仕事を1枚でやってのける

打ち消してついでにトークンを生み出して、そのトークンを対象に《異形化》…夢のようなカードです。

このカードにどうして今まで気づかなかったのか?そう思わされるほど強力なカードでした。

戦場にトークンがいなければ《異形化》を打つことができないため、通常であれば相手は更地の盤面にはフルタップでカードをプレイし続けます。《致命的な一押し》を構える必要はありません。
しかし、《回路切り替え》は打ち消しと同時にトークンを生み出すため、何もない場から《異形化》の準備を完了させてしまいます。

まさに《異形化》が最も必要としているカードなのです。

《鏡割りの寓話》不採用

強い。強いんだけど…

最初にこのデッキリストを見た時に、「《鏡割りの寓話》がなぜ入っていないのか?」と思いました。多くの方が同じ疑問を抱いたでしょう。
そして回していく内に、《鏡割りの寓話》が不要である理由が浮かび上がってきました。

このデッキは、打ち消しと《ミレックス》、《異形化》によって相手を縛っていくデッキです。そのためには盤面が均衡、もしくは少しこちらが有利でなければなりません。

先手3ターン目ならば《鏡割りの寓話》を出せるでしょうが、それ以外の状況では、出した結果こちらの盤面が不利になる場合が多く考えられます。打ち消しを構えておくことが最も安全なのです。

打ち消しが11枚入っているデッキの性質上、ソーサリータイミングのアクションは相性が悪く、「もし《鏡割りの寓話》が手札にあっても置かないだろう」とプレイ中によく考えていました。

イゼット異形化は相手の動きに合わせてプレイしていく後出しジャンケンデッキです。動いてきたら打ち消し、動かなかったら《ミレックス》、隙ができたら《異形化》。《鏡割りの寓話》はいうなればこちらから強力なグーを出す動きなのです。時にはパーすら跳ね返す強さを持つグーですが、そもそも後出しじゃんけんできるのであれば、わざわざ強力なグーに頼らなくても良いのです。

■デッキの回し方

イゼット異形化は、《異形化》を打って《偉大なる統一者、アトラクサ》を出して勝利するデッキではなく、打ち消しと除去で盤面をコントロールして《ミレックス》で攻撃するコンボ・コントロールです。

これを念頭に置いてプレイしましょう。

《異形化》は勝つカードではなく、場に7/7を置きながら手札を3~4枚補充するカードです。ちょっと強いソーサリーの《記憶の氾濫》みたいなものだと思ってください。

なぜその意識を持つ必要があるかというと、プレイが大幅に変わるからです。《異形化》で《偉大なる統一者、アトラクサ》を出すことを第一目標にしてしまうと、《ミレックス》でトークンを出すべきところで《衝動》を打って《異形化》を探しにいってしまいますからね。

このデッキで最も優先すべきプレイはエンド前の《ミレックス》起動です。これに対して相手が動いてきたら打ち消しで対応。そしてまた《ミレックス》です。

《サメ台風》と《ミレックス》だけで勝とうと思っても良いぐらいです。

《異形化》は絶対に安全な状況でのみ打ちましょう。確実に《偉大なる統一者、アトラクサ》が出せる(除去に対して打ち消しも備えているような)状況以外では《異形化》に手を伸ばす必要はありません。

サイド後は《勢団の銀行破り》が入るマッチが多いので、更に《異形化》に手を伸ばす必要はなくなります。というかサイド後はほとんど《勢団の銀行破り》と《ミレックス》だけで勝ちます。

とにかく《ミレックス》の起動を最優先にプレイを心がけてみてください。

■サイドボーディングガイド

VSラクドスミッドレンジ&サクリファイス

+4《勢団の銀行破り》
+2《方程式の改変》
-2《異形化》
-2《消えゆく希望》
-2《焦熱の衝動》

《異形化》、解決しません!

《致命的な一押し》で《異形化》コンボを防がれるので、盤面でしっかり攻めることを意識しましょう。ライフレースをひっくり返してくるのは《黙示録、シェオルドレッド》だけですが、4マナと非常に重く《異形化》が怖いので、そうは出てきませんし、まず通りません。

《湧き出る源、ジェガンサ》が除去られにくいので、《偉大なる統一者、アトラクサ》素出しはかなり現実的です。《偉大なる統一者、アトラクサ》を引いたら《火山の悪意》で戻すべきかしっかり考えましょう。

サイド後は《勢団の銀行破り》で更にプレッシャーを与えていきます。ラクドスには《勢団の銀行破り》を引くとかなり楽に勝てます。

VS緑単信心

+2《方程式の改変》
+1《真髄の針》
-3《サメ台風》

いつでも通ります

基本は打ち消しでお手玉に取れて、《異形化》に全く触れないので有利です。相手に1ターン1アクションを強いていけば勝利。マナクリはしっかり焼きましょう。

VS奇怪な具現

+2《方程式の改変》
+1《サメ台風》
+4《勢団の銀行破り》
-4《焦熱の衝動》
-2《消えゆく希望》
-1《火山の悪意》

カウンターをたくさん引きましょう

打ち消しと盤面の圧力だけで勝つマッチ。《偉大なる統一者、アトラクサ》は《力線の束縛》されるので、カードを補充するためだけと割り切りましょう。

《ミレックス》、《勢団の銀行破り》、《サメ台風》と後は打ち消し呪文だけで速やかに勝利を目指します。

VSスピリット

+4《勢団の銀行破り》
+1《サメ台風》
+4《引き裂く流弾》
-4《異形化》
-3《呪文貫き》
-2《回路切り替え》

いりません!

不要な《異形化》をすべて抜いてイゼットコントロールとして立ち回りましょう。

メイン戦は《異形化》が残っているので仕方なくプレイしますが…除去がないデッキなので、逆に思い切って4ターン目にプレイしていきましょう。通らなかったとしてもカウンターと1対1交換なので怖くありません。

《呪文捕らえ》されれば今度はその《呪文捕らえ》さえ除去すれば《異形化》が通るので悪くありません。見え見えの《呪文捕らえ》に突っ込んでOKです。

サイド後は《勢団の銀行破り》でカードを引きながら除去を連打して《サメ台風》だけで勝ちましょう。

VSアゾリウスコントロール

+4《勢団の銀行破り》
+1《サメ台風》
+1《真髄の針》
-4《焦熱の衝動》
-1《異形化》
-1《火山の悪意》

エンドに起動だけでOK

《ミレックス》で無双できるマッチです。打ち消しを構えて《ミレックス》起動だけで勝ててしまうこともしばしば。《異形化》に手を伸ばさないようにしましょう。

サイド後は更に《異形化》は通りづらくなるので、《勢団の銀行破り》モードに切り替えます。《消えゆく希望》は自分の《勢団の銀行破り》を相手の《放浪皇》から守るのに便利です。《勢団の銀行破り》をしゃぶりつくして勝ちましょう。

VSアゾリウスロータス

+4《勢団の銀行破り》
+2《減衰球》
+1《サメ台風》
+1《真髄の針》
-4《焦熱の衝動》
-2《異形化》
-1《消えゆく希望》
-1《火山の悪意》

ラッキー勝ちも狙える

基本はアゾリウスコントロールと同じです。アゾリウスコントロールよりも打ち消しが薄めなので《異形化》プランを維持しても良いと思われるかもしれませんが、《ドビンの拒否権》を4枚入れてくる相手に《異形化》は現実的ではないので減らします。

《減衰球》が刺さってラッキー勝ちもあります。

VS白単人間

+4《引き裂く流弾》
-3《呪文貫き》
-1《サメ台風》

《偉大なる統一者、アトラクサ》には触られる

イゼットコントロールになります。インスタント除去はないので4ターン目《異形化》も全然OKですが、返しで《粗暴な聖戦士》で《偉大なる統一者、アトラクサ》がいなくなってもライフが持つかは計算しましょう。

VSアブザンパルヘリオン

+4《引き裂く流弾》
+3《勢団の銀行破り》
-4《焦熱の衝動》
-3《サメ台風》

除去を構えて後は《勢団の銀行破り》

イゼットコントロールとして動きながら、隙を見つけて《異形化》です。大ぶりなデッキなのでフルタップになることもしばしば。

相手のランドダメージが痛いので《ミレックス》と《勢団の銀行破り》で小突くとすぐ勝てます。

VSロータスコンボ

+2《減衰球》
+1《真髄の針》
+2《方程式の改変》
+1《サメ台風》
-4《焦熱の衝動》
-2《消えゆく希望》

勝つには必要

《砂時計の侍臣》と《旅するサテュロス》が入ってるので除去はある程度残します。

《減衰球》引きましょう。

VSボロス・ピア

+2《方程式の改変》
-2《消えゆく希望》

軽さこそ正義

相手のリソース源となる12枚をしっかりと打ち消しつつ、盤面を除去っていけば戦えます。

《呪文貫き》がキーとなるマッチ。

VS独創力&ミラーマッチ

+2《方程式の改変》
+4《勢団の銀行破り》
+1《サメ台風》
-4《焦熱の衝動》
-2《異形化》
-1《火山の悪意》

コンボは決まりません!

《サメ台風》と《勢団の銀行破り》をたくさん引くと勝ちます。お互いコンボは決まらないので大人しく《異形化》は減らしましょう。

《サメ台風》がゲームを決めるので《消えゆく希望》は残すことをオススメします。

VSイゼットフェニックス

+4《勢団の銀行破り》
+1《サメ台風》
+4《引き裂く流弾》
-2《消えゆく希望》
-4《焦熱の衝動》
-2《火山の悪意》
-1《異形化》

残したら負けます

相手が《氷の中の存在》か《帳簿裂き》、どっちかが入っていれば《引き裂く流弾》を入れましょう。どっちもないことはまずないと思いますが。

ゲームは青系コントロールとの戦いに近いです。構えながら《ミレックス》と《サメ台風》で小突いていきましょう。

VSグルール

+2《方程式の改変》
+1《勢団の銀行破り》
-3《サメ台風》

《偉大なる統一者、アトラクサ》をパクってくる

《砕骨の巨人》でしか《異形化》に触られないので、X=3の《サメ台風》を作れば《異形化》が通るようになります。それを目指して後はイゼットコントロールです。

《アクロス戦争》だけは注意が必要なので、最速で決めに行く場合は《呪文貫き》、中盤以降は4マナモードの《かき消し》や《回路切り替え》など、《アクロス戦争》対策をお忘れなく。

万が一奪われてしまった場合は、《ヴォルダーレンの興奮探し》で生け贄に捧げられないように注意してください。機体か《ヴォルダーレンの興奮探し》を打ち消せば《アクロス戦争》で奪われた《偉大なる統一者、アトラクサ》は帰ってきます。

おわりに

今回はここまで。

今週のエリア予選にぴったりなデッキだと思いますので、この手のコンボコントロールがお好きな方はぜひ手に取ってみてください。

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