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【モダン】ディミーアコントロール・ガイド

 こんにちは。

 つい先日行われたチャンピオンズカッププレミアム予選で、ディミーアコントロールを使用して権利を獲得しました。

 リストが少し特徴的なこともあり、メングッチさんが配信で回してくれたり、海外プレイヤーの間でも少し話題になっているみたいで嬉しい限りです。

 というわけで…いつもならディミーアコントロールの解説にすぐ移るところなのですが、今回はなぜこのデッキを使用するに至ったのか、その経緯を話すにあたり、エスパーコントロールの話をする必要があります。

 そのため、まずはエスパーコントロールとの出会いの話からお付き合いください。

 ディミーアコントロールについてだけ読みたい方は、目次からどうぞ。


■始まりは大阪

 今シーズンの店舗予選を、シーズン始まった2日目に『機械兵団の進軍』シールドで突破していた俺は、エリア予選を抜ける気でいたので、プレミアム予選に出なかったり、そもそも予約できなかったりで、モダンをさほど真剣にプレイしていなかった。

 9月の後半、《アガサの魂の大釜》が入って強くなったらしい鱗親和を回しはじめ、そこでモダン熱が上昇。

 鱗親和自体は、有利不利がはっきりしている上に、有利な相手にサイドをたくさん取られていると死亡…といった具合であんまり感触はよくなかったが、モダン自体のやる気は上昇。

 そんな中、りゅうじがディスコードで「プレミアム予選抜けたエスパーコン強いかも」と発言。

予選を突破されたホリさんのリスト

 ↑ご本人のnoteはこちら

 その後、りゅうじがMOのリーグで勝ちまくり、野稲くんも店舗予選を突破したということで、とりあえず俺も吉祥寺の店舗予選に出てみることに。

▼吉祥寺晴れる屋店舗予選

〇ハンマータイム
〇カスケードクラッシュ
〇ヨーグモス
〇黒単コントロール
ID×2

 決勝は権利を持っているのでトス。

 リストはオリジナルのものとほとんど変更しておらず。

 《ウルザの物語》がとにかくネックになりそうだったので、サイドボードに《広がりゆく海》を投入。後は土地を少し増やしたぐらい。

 この時気になったのはマナベース。

 1ターン目に《ラフィーンの塔》をタップインし、2ターン目にフェッチランドを置き、相手の呪文を《対抗呪文》したいと思った時。フェッチランドで《神聖なる泉》か《湿った墓》しか持ってこれないと、手札の《力線の束縛》が3マナでしか使えなくなってしまう。もう1枚フェッチランドが必須になるのが個人的にはしっくりこなかった。

打てない…

 その後、家で少しMOをプレイし、いくつかの気になる点を解消して翌週のプレミアム予選に出場。

▼TCプレミアム予選


〇アミュレットタイタン
×ラクドススキャム
〇緑トロン
×グリクシスシャドウ

 ドロップしてそのまま75枚同じリストで店舗予選に。

▼TC店舗予選

〇イゼットウィザード
〇バーン
〇ラクドススキャム
×ラクドススキャム
〇カスケードクラッシュ
ID

 決勝は権利を持っているのでトス。

 終わってみれば、相性が良いと思っていたラクドススキャムに2回負け、グリクシスシャドウに負けという結果に。

■エスパーに感じたこと

 3回の大会で10勝2敗ではあったものの、気になる点は多く、全部を洗い出した。

1.タップインの多さ

 《ロリアンの発見》、2枚の3色ランドと合計6枚のタップインが入っているため、普通に4枚目の土地を引きたい場面でどれかをトップデッキする確率がそれなりにあった。

実質タップイン

 1ターン目に《ラフィーンの塔》からサーチするため、土地を探すための《定業》を1ターン目に打てないのは問題。《定業》を打とうとすると《力線の束縛》が3ターン目のカードになってしまう。

2.《力線の束縛》が重い

 1ターン目に《定業》を打ち、2ターン目に《力線の束縛》を使えない。そんなことってないよ…。1ターン目に《ラフィーンの塔》、2ターン目に《ケトリアのトライオーム》、もしくは《ケトリアのトライオーム》+《神聖なる泉》でやっと2ターン目に《力線の束縛》が使える。

使いづらぎる

 1ターン目に《ロリアンの発見》で土地を探すこのデッキでは、2ターン目に《力線の束縛》を打てないのは致命的。

 《致命的な一押し》を打った場合、確実に《力線の束縛》をプレイできない。

 こうなってくると、《力線の束縛》の価値に疑問が出てきた。

3.《一つの指輪》に依存している

 《緻密》と《否定の力》で打ち漏らしを防いで《一つの指輪》でリソースを回復して勝つ。非常に理解できるコンセプト。だがそれに依存している。

強すぎるがゆえに依存してしまう

 4枚入っているカードを毎ゲーム引けるわけではないし、相手にも対処されてしまう。そうなった時にこのデッキはどう戦うのか。

 イゼットと対峙した時を想像するとわかりやすい。相手は《表現の反復》で手札を増やし、こちらは《一つの指輪》を置けないのでターンが段々と続く。除去とクリーチャーの交換が行われていき、最終的に《一つの指輪》が消されてリソースが足りなくて敗北。

 また、《一つの指輪》を引かないゲームはそもそも手札のピッチスペルを使い切ったらリソース不足に陥ってしまう。《定業》で探しにいって見つけられないと即敗北。そうなると《ロリアンの発見》頼りになるのだが、5ターン目にタップアウトして3枚引く瞬間の隙が大きい。

 あくまで《ロリアンの発見》はサブのドロー手段であるべき。《一つの指輪》が引けない時の二番手であってはならない。

4.ラクドススキャムに思ったより強くない

 実は《緻密》はラクドススキャムにさほど強いカードではない。あくまで相手の先手《悲嘆》《まだ死んでいない》を止められるだけだ。《緻密》キープして相手が《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ダウスィーの虚空歩き》《鏡割りの寓話》だった時に《緻密》はほとんど何もしない。

 ゆえに《緻密》はラクドススキャム相手にはストロングポイントにはならない。それならばこのデッキのどこがラクドススキャムに対して強いのか。

 《一つの指輪》+除去デッキである点は、ラクドススキャムに良いと言えるだろう。この軸はしっかり強い。だが他の要素ではあまり優れているとは言えない。

 《力線の束縛》はラクドスに強いものの、前述のように出しづらいことも多く、またリスクも大きかった。とにかく《血染めの月》にハマる。《力線の束縛》を構えていれば《血染めの月》が大丈夫ではない。そんな余裕のあるゲームをさせてくれない。

 また、《一つの指輪》は確かに強いが、ライフが減っている状態で出さざるを得なくなり、満足に起動できないまま負けてしまう場合がある。《力線の束縛》のために土地からダメージを受けるからだ。最序盤から相手が動いてくるので、悠長にタップインで済ませられず、結果的に土地ダメージがかさむ。

 たとえば《湿った墓》から《致命的な一押し》→《神聖なる泉》から《対抗呪文》→《ケトリアのトライオーム》タップイン、これだけで少なくとも5点は喰らう。

 もちろんエスパーの良い点もきちんとあった。

 《オークの弓使い》と《一つの指輪》という、今モダンで最高のカードを2枚使えるデッキの中で、一番強力だと感じた。《定業》が相手によって必要なカードを探したり、《一つの指輪》を見つける手段として優れ、相手の《一つの指輪》や《大いなる創造者、カーン》に《対抗呪文》が触ることができ、《否定の力》と《緻密》によって行動回数を増やして攻め手をさばいて《一つの指輪》を置く時間を作ってくれる。

 …これ、ディミーアコントロールで再現できるのでは?

■ディミーアコントロールへ

 というわけで、プレミアム予選が終わった翌日からディミーアコントロールについて妄想を始めることに。とりあえず直近で勝ってるリストは…ほとんどないが、いくつかのリストを眺めて、いくつか気になる点を見つける。
 
 個人的にエスパーであることの強みは最早《時を解す者、テフェリー》だけだったので、その点が問題なければディミーアの方が良いという確信があった。それを確かめたかったのだが、忙しすぎて1マッチもできなかったので、ぶっつけ本番で高田馬場のバトロコのプレミアム予選に。

 余談になるが、俺が事前にMOなどで本番デッキを回すときは、何を確認したいのか明確にしてからが多い。パイオニアの青白コントロールの練習をほとんどしなかったのは、事前に確認しておきたいことが特になかったからだ。

▼高田馬場バトロコプレミアム予選

〇イゼット
〇鱗親和
〇ディミーアミラー
〇黒単コントロール
×カスケードクラッシュ
×バントコントロール
〇エスパーコントロール

 4連勝から2連敗してトップ8に残れず。

 この日の結果を踏まえて。

1.《時を解す者、テフェリー》不要

 最も確かめたかった部分については結論が出た。
 《時を解す者、テフェリー》は《一つの指輪》を戻せる時間稼ぎという役割が大きかったが、この日《一つの指輪》の処理で困った回数は一度しかなく、それも窮地に陥るほど困ったわけではなかった。思ったよりディミーアは指輪の処理に困らない。

 この《時を解す者、テフェリー》のスロットにそのまま入っていたのは《大魔導師の魔除け》だったが、久しぶりに使うと強くて驚いた。《一つの指輪》がある時は打ち消しで使えて、必要な場面で2ドロー。2ターン目と3ターン目をそれぞれ平和にやり過ごして《一つの指輪》を置きたく、《一つの指輪》がない時はリソースがカツカツになるので、どちらにも使えるこのカードは想像より強かった。2枚だったが3枚に増やすことに決定。

 ゲーム中、《大魔導師の魔除け》が《時を解す者、テフェリー》だったら?と考えていたが、あまり良いとは思えなかった。

 鱗親和相手が特に顕著だが、3ターン目に《時を解す者、テフェリー》を出して何かをバウンスして、返しのターンで負ける可能性がある。《緻密》か《否定の力》がないと怖くて唱えられない。ヨーグモスも同様。《アガサの魂の大釜》に対処できるように見えて、出し直されるだけで意味がない。

 イゼットのように構えあう相手にも《時を解す者、テフェリー》は強くない。一見通せば勝ちに見えるが、そもそも通らない。後半に消耗しあった後にトップデックして《濁浪の執政》をバウンスする瞬間だけ強い。構えあう序盤では《大魔導師の魔除け》に軍配が上がる。

 もちろん、カスケード相手に《時を解す者、テフェリー》があった方が良いのは間違いない。相手のメインでの続唱を打ち消して、こちらのターンで《時を解す者、テフェリー》+《対抗呪文》構えは勝ちパターン。しかし、青いソーサリーアクションであることは、それだけで続唱相手にリスクでもある。

 オムナス系のデッキには《時を解す者、テフェリー》の価値は更に落ちる。確定カウンターである《大魔導師の魔除け》が特に強いマッチだ。

 結論として、《時を解す者、テフェリー》は不要になり、ディミーアを調整していくことに決めた。

2.マナベース改善の結果

 いくつかの青黒を見たが、共通して土地20枚にロリアン3枚、更に《窪み渓谷》2枚、《沈んだ廃墟》と入っていて、1ターン目に出る黒マナが《湿った墓》3枚、《沼》1枚、フェッチランド6枚ほどの計10枚しかなかった。

 これでは相手の先手1ターン目の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対処できない。


 そう思って1ターン目の黒マナを14枚まで増やしたが、しっかりと相手の1ターン目のクリーチャーを3回ほど除去できた。

3.《ヴィダルケンの枷》

 マナベースの改善でフェッチランドを大幅に増やしたため、デッキにほとんど基本地形しか入らなくなった。1枚の《沼》を除けば全部《島》…《ヴィダルケンの枷》とれるじゃん!

 というわけでテンション上がって2枚購入。

 元々、《オークの弓使い》ミラーにおいては、相手より《オークの弓使い》を多く出す手段が欲しく、前回のエスパーコントロールはサイドに《コラガンの命令》を入れていたし、《眼識の収集》も試した。

 《ヴィダルケンの枷》も《オークの弓使い》を奪えるため、試してみたいと思っていたが、この日ほとんどのマッチで強くて感動した。

 引かないと意味がないので2枚入れて試したが、枚数を減らすのがもったいなく、結局2枚のままになった。

▼吉祥寺晴れる屋プレミアム予選

×ラクドススキャム
〇ジャンドサーガ
〇黒単コントロール
〇ラクドススキャム
〇カスケードクラッシュ
〇ティムールラガバン
〇鱗親和

〇オムナスカスケード
〇青トロン

 最後はほぼ勝ちの状況でマナ計算ミスって、《一つの指輪》の3ドローで《緻密》を引かなければ負けになるも…《緻密》を引いて勝ち。本当にラッキー。

 鱗親和相手に《広がりゆく海》だけでキープして、相手が《ウルザの物語》引きまくってハマるってことが2連続で起きたから、ツいていたのは間違いない。

 色々なデッキに当たったけど、明確にきついと感じたマッチはなく、逆に楽勝な相手が多く感じ、このディミーアコントロールは今良い位置にいるのではないだろうか。

 ここからはディミーアコントロールの詳細なガイドとなる。

■ディミーアコントロールの強み


 まず、極端に不利なマッチがほとんどない一方、非常に有利なマッチがいくつかあるのが強みだ。

 モダンはサイドボードのカードが強く、それゆえにメイン戦で強いデッキもサイド後は意識されやすい。リビングエンドや鱗親和がそれにあたる。

 一方、ディミーアコントロールは打ち消しと除去、ドローのみで構成されているため、クリティカルなサイドボードは存在しない。

 また、コントロールが抱える問題である「たくさんの土地がないとデッキが機能しない」という問題点も、ディミーアコントロールはクリアしている。

 リソース源である《一つの指輪》は4マナ、除去は1マナ、打ち消しは0マナと2マナと3マナ。4マナあれば《一つの指輪》が置けたり、カウンターと除去を同時に構えられる。《記憶の氾濫》を撃ちながらもう1アクションをする必要はない。《一つの指輪》は一度置けば次のターンからマナがかからない。だからたくさんの土地を必要としない。

 デッキの安定感も高い。《ロリアンの発見》は後半引けば5マナ3ドローだし、《定業》は欲しいカードを掘り進められる。このカードのおかげで青いコントロールデッキは一段階強くなった。余計に土地を入れることなく、安定して4マナまで伸ばすことができ、マナフラッドもしない。ゲーム中盤に引いたら《一つの指輪》を探しに行くだけなのだ。

 この《定業》をきちんと1ターン目から打って安定した動きを続けるには、やはり2色デッキしかない。前述のようにエスパーコントロールはタップインが多すぎるし、《力線の束縛》を考慮して1ターン目に《定業》を打てずに、結局2ターン目に打って土地をやっと見つけて《対抗呪文》を構えられなかったら、ストレスで死んでしまいそうになる。

 《一つの指輪》《オークの弓使い》という今のモダンで最も強い2枚のカードを上手く使いつつ、《定業》とデッキ構成により安定性も高く、明確な有利マッチがいくつかあるが不利マッチはほとんどない。

 これらがディミーアコントロールの強みだ。

■メインボード

 アップデートしたリストを元に、カード選択や枚数についてを解説する。一般的なディミーアに入っているが、不採用としているカードも後述。

4《オークの弓使い》

 今更このカードの説明が必要なのか?おそらく不要であろう。
 強すぎる。この一言に尽きる。追加ドローを封じる能力が効かない相手にも瞬速で1点を打ちつつ、1/1が2体並ぶのは破格。
 プレインズウォーカーに対処しづらいデッキだが、このカードのおかげでプレッシャーもかけられる。
 当然だが、4枚以外ありえない。

3《緻密》

 《一つの指輪》を置いたターンの隙を埋めてくれる素晴らしいピッチカード。《否定の力》を4枚にしても良いが、《黙示録、シェオルドレッド》が通りやすくなるのと、アミュレットに対して《緻密》の枚数が大事なので、個人的には3枚を推奨している。

 青い相手のサイド後は4ターン目に素出しすることも多く、そういった意味でも3枚の方が良いと思っている。《否定の力》も強いが。
 
 なお、ピッチスペルの枚数は合計で6枚程度を推奨する。《緻密》も《否定の力》も通常キャストするには、モダンでは少し重い。手札に複数枚のピッチスペルが来ると、仕方なく手札を消耗して0マナで使い続けるしかなくなってしまい、そうなると《一つの指輪》頼みになってしまう。

 《一つの指輪》がしばらくなくてもゲームできるようにするために、ピッチスペルの枚数は6枚程度が良い。サイドボードに7枚目を採用しないのもそのため。

2《黙示録、シェオルドレッド》

 《一つの指輪》を置いてからの勝ち手段。手札がパンパンになってから出して、相手の除去を《否定の力》して勝つことが多い。

 基本的に相手の手札には除去が余ってるため、《黙示録、シェオルドレッド》から行くのはオススメしない。《力線の束縛》を食らってくれるなら最高だが、《孤独》などで除去されるのはよろしくない。最終的に《一つの指輪》で10点ぐらい回復したいので、指輪のダメージが痛くなってきた時に出すのを推奨。《孤独》などはできれば《オークの弓使い》に吐かせよう。

 初手に持っていても4ターン目に出すことはほとんどないため、プレイは気を付けよう。ラクドス相手には結構出すが(負けそうな時が多い)

 枚数については、なんだかんだ2枚で落ち着いた。ディミーアコントロールは《一つの指輪》と《黙示録、シェオルドレッド》で4マナが合計6枚入っており、手札に複数枚来るとスタンダードのデッキみたいな動きになってしまう。モダンはきびきび動く、これが鉄則。というわけで7枚目は取れない。

 抜きたいマッチは一部あるが、抜いてしまうと指輪死が起きるので、どのマッチでも2枚残そう。

4《定業》

 《ロリアンの発見》をあわせても23枚の土地しか入っていないのにデッキが回るのは、間違いなく《定業》のおかげ。《定業》がなければ土地24+《ロリアンの発見》2などになり、土地を引きすぎたり、逆に事故るケースが多発していただろう。特に後半のマナフラッドが起きづらくなっているのは大きすぎる。

 コントロールを使うなら必ず《定業》を入れよう。

4《対抗呪文》

 説明不要の最強の打ち消し。

 このデッキは色々なカードをサイドアウトすることがあるけれど、《定業》と《対抗呪文》と《一つの指輪》と《黙示録、シェオルドレッド》だけは1枚も抜かない。

4《致命的な一押し》

 エスパーの時は《虹色の終焉》と散らしたりしていたが、青黒なら消去法で4枚になる。とはいえ一切不満はない。

 1マナで《スランの医師、ヨーグモス》と《黙示録、シェオルドレッド》を倒せるのは素晴らしく、《オークの弓使い》に対してもインスタントが良いから、今《致命的な一押し》はかなり強いカード。

 相対的に《タルモゴイフ》の価値が少し落ちている。

4《一つの指輪》

 こんな強いカードがこの世に存在していいのだろうか?《記憶の氾濫》をモダンで打っていたのがアホらしくなった。

 このデッキのゴールは4ターン目に《一つの指輪》を置いて返しのターンに死なずに、次のターンに《一つの指輪》の2回目の起動を行うこと。それができればまず勝利。

 エスパーに比べて《時を解す者、テフェリー》がないことで、《一つの指輪》を対処する手段が少ないが、土地からのダメージを受けないのが大きく、指輪を痛いと感じるのが大体1ターン遅い。つまり1ターン分多く指輪を起動できているため、あまり《時を解す者、テフェリー》不在のせいで指輪死しそうな案件はなかった。
 
 指輪死については、《黙示録、シェオルドレッド》と《一つの指輪》、《天上都市、大田原》で防ぐことができるが、基本は《一つの指輪》の2枚目でなんとかしよう。《黙示録、シェオルドレッド》は手札に溜まってる除去を吐き出されて、そこでカウンター合戦をしなければならなくなり、結果返しで致命的なスペルが通ることがある。

 事前に《オークの弓使い》を連打して除去を使わせておこう。

 また、《黙示録、シェオルドレッド》を出して指輪を起動するのは絶対に相手ターンにすること。《否定の力》をピッチで使えるだけでも全く違うし、逆に相手の《否定の力》も受けない。これは徹底しよう。

3《大魔導師の魔除け》

 使ってみたら意外と味がしたカード。懐かしい。学生の頃に行っていた定食屋に久しぶりに行ったらちゃんと美味しかった、みたいな感じ。

 《一つの指輪》以外にきちんとリソースを稼ぐ手段が欲しかったが、ただドローするだけのカードをたくさん入れると、《一つの指輪》を引いた時に邪魔になるため、《大魔導師の魔除け》はぴったり。

 4枚目にするか、1枚を《サウロンの交換条件》にするかは要検討。

3《否定の力》

 《緻密》と合わせて合計6枚…という話は既にしたが、相手の《一つの指輪》をカウンターできるかできないかはかなり重要で、ここが4枚目の《否定の力》を取るか悩ましいポイント。

 先手4ターン目に《緻密》がある場合は《大いなる創造者、カーン》をケアできるため、打ち消しを持っていても《一つの指輪》を置くのだが、返しで《一つの指輪》を出されるのはつらい。

 こういった理由で《緻密》を2枚にするかはかなり悩んでいた。枚数を調整しようと考えている方は参考までに。

2《シェオルドレッドの勅令》

 可もなく不可もなく…程度に考えていたが、使ってみると想像より強かった。プレインズウォーカーを対処できるのが強力で、《大いなる創造者、カーン》と《時を解す者、テフェリー》に悩むことがたまにあったので、ちょうどよかった。

 このカードが想定より強かったおかげで、白への未練は完全に断ち切った。《アガサの魂の大釜》にさえ触ってくれたらいうことなかったが…。

2《ヴィダルケンの枷》

 想定の10倍ほど強くて感動したカード。とりあえず置いといて《オークの弓使い》をけん制するだけで十分な仕事を果たす。

 《ヴィダルケンの枷》は奪ったクリーチャーを相手が放置してくるため、以前は自分で生け贄にする手段が必要だった。しかし、今のクリーチャーは強すぎるので、絶対に相手が除去してくる。《敏捷なこそ泥、ラガバン》、《オークの弓使い》、《黙示録、シェオルドレッド》、《激情》などなど、相手は対処せざるを得ない。

 今の環境、純粋にパワーが大きいクリーチャーが速いターンに出てきづらいのもポイント。奪うのに困るカードは《濁浪の執政》ぐらいであろう。ゲーム後半ならその《濁浪の執政》も奪える。

 先手3ターン目に置いて相手のアクションがクリーチャーならスルーして返しのターンに奪って《対抗呪文》を構えられるし、それ以外なら《否定の力》で対処できる。初手にあった時は3ターン目によく出していた。

 ヨーグモスの不死クリーチャーや鱗親和の《搭載歩行機械》など、処理に困るクリーチャーを奪えるのも強み。

1《厳しい説教》

 ラクドススキャムに特に強い1枚で、先手なら相手のピッチ《悲嘆》に打てるし、《敏捷なこそ泥、ラガバン》、《ダウスィーの虚空歩き》と使いどころに困らないカード。最初はメインにたくさん入れていたが、腐るマッチが思いのほかあったので、メインは1枚程度という印象。

 強いマッチはかなりほしいので、合計3枚ぐらいあると良いカードなのだが、スロットを見つけられず。鱗親和・ヨーグモス・ラクドススキャム・ハンマーには何枚でも引きたいカード。

 地味に《孤独》が消せるのでオムナス相手に持っておくと《黙示録、シェオルドレッド》を守れたりする。

1《サウロンの交換条件》

 同じ3マナ域で、他の使い道がある《大魔導師の魔除け》の方が使い勝手が良いのは既に説明した通りだが、《一つの指輪》にアクセスしやすくするために、1枚はこちらに。この枠は自由ではあるが、何かしらドローできたり、《一つの指輪》を引かない時に活躍するカードである方が良いと思われる。つまり《否定の力》はダメ。

 《瞬唱の魔道士》あたりは面白いかもしれない。

■サイドボード

3《ファイレクシアの十字軍》

 オムナス系デッキがサイドに《ドビンの拒否権》や《約束された終末、エムラクール》を入れてアドバンテージ勝負の長期戦を挑む構成にしているため、逆にゲームを早くしたらどうだろうか?と考えて投入。

 《力線の束縛》、《虹色の終焉》、《稲妻》、《時を解す者、テフェリー》、《孤独》、《激情》が効かないためほぼ無敵。《創造の座、オムナス》にも無論ブロックされない。

 《緻密》と《忍耐》はブロックできるが、先制攻撃で感染ダメージが入るため、《ファイレクシアの十字軍》も死なない。つまり、止める術はほとんどないと言っていい。

 Kanisterの豆の木オムナスには《残忍な切断》が入っているので、その点だけ注意。

3《広がりゆく海》

 《ウルザの物語》対策。このカードなしでどうやって《ウルザの物語》に勝てば良いのだろうか。このデッキが最もメイン戦で落とす相手は《ウルザの物語》デッキだ。

 《ウルザの物語》のトークンには《仕組まれた爆薬》があるものの、3章でサーチされる《真髄の針》で《一つの指輪》を止められるのが本当につらい。指輪デッキは《激しい叱責》ではなく《広がりゆく海》を使おう。

 黒単やトロンなど、土地コンボにも入れられる良カード。エスパーの頃からずっと感触が良い。

2《虚空の杯》

 続唱デッキにのみサイドイン。バーンやイゼットに入れて1で置くと自分も辛すぎるから注意。

 アーティファクトをほとんど使わないデッキなため、《虚空の杯》はかなり良いサイドカード。《活性の力》で《虚空の杯》とデッキのキーカードを破壊されるのが敗着につながるためだ。

 続唱にはサイドボードが少し足りないと感じているため、増えるようであれば《虚空の杯》に加えて《狼狽の嵐》を入れたいところ。

2《仕組まれた爆薬》

 カスケードクラッシュと鱗親和とヨーグモスとハンマータイムが主なサイドイン相手。

 相手のデッキが軽かったらとりあえず入れてみるか…となるため、汎用性の広いサイドカード。

2《呪われたトーテム像》


 鱗親和とヨーグモスに。置いたらかなり有利になる。

 ディミーアコントロールの弱点の1つが《アガサの魂の大釜》なため、サイドボードに最低4枚は対策できるカードを用意しておきたい。

1《厳しい説教》

 鱗親和・ヨーグモス・ラクドススキャム・ハンマーに追加。

1《眼識の収集》

 エスパーやミラーマッチを想定。消耗戦になるため、リソースを単純に増やしつつ、《オークの弓使い》を実質水増しできる《眼識の収集》はかなりオススメ。

 イゼットなど、ドローゴーが続く相手にも強い。

1《約束された終末、エムラクール》

 イゼット、エスパー、ミラー、オムナス系デッキ全般、その他ゲームが長引きそうなすべての相手にサイドインする。

 一撃でゲームを決めてくれるフィニッシャーで、《一つの指輪》対決も突然ぶっ壊してしまう。

 クリーチャー、インスタント、ソーサリー、土地以外は落ちづらいため、9マナなことが多いが、《一つの指輪》が打ち消されると8マナになる。結構大きい。

■採用しなかったカード

《濁浪の執政》

 《黙示録、シェオルドレッド》の項目で話した通り、このデッキに重いカードはこれ以上入らない。3ターン目までに可能な限り妨害を行い、4ターン目に《一つの指輪》を設置するのが勝ちパターンだからだ。

 後半のフィニッシャーになる《濁浪の執政》が欲しいと思ったことはなかった。初手にあればあるだけ邪魔だった。

 《一つの指輪》が動き出せばどうせゲームに勝つし、速やかに勝利する手段は不要に感じた。早く勝つことで指輪死を減らせると有識者に言われたが、実際指輪死は発生しなかったので、再びデッキに入れることはなかった。

《水辺の学舎、水面院》

 《一つの指輪》を起こすことがあまりにもなかったので解雇。4ターン目に出して5ターン目に起こした時だけ強いが、指輪の3ドロー目あたりではもう不要。

 それよりも《ヴィダルケンの枷》の《島》カウントにならない方が問題だった。

《概念泥棒》

 オムナス相手に《ファイレクシアの十字軍》と《約束された終末、エムラクール》しか入れるものがないことを危惧して、サイドに1枚入れていたが、なくても問題なかったので抜くことにした。

 エスパーやミラーなどには《オークの弓使い》の的になるので弱い。オムナス、とりわけ豆の木にはかなり強いカードなため、豆の木カスケードが多いならば1枚入れておくとよい。

 特に豆の木カスケードはKanister型を使う人も多く、《残忍な切断》が入っているせいで《ファイレクシアの十字軍》が機能しにくいため、《概念泥棒》があると便利。

■マリガン

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