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赤単アグロを選んだ経緯・調整と簡易ガイド

皆さん、こんにちは。ゆうやんです。

つい先週行われたチャンピオンズカップファイナル横浜で赤単アグロを使用し、10位に入賞。運よく5月にミネアポリスで行われるプロツアーの権利を獲得することができました。

今回は、赤単アグロを使用するに至った経緯や構築に触れつつ、最新のリストのサイドボーディングガイドをお届けしたいと思います。

公式サイトより引用

そしてご存知の方もいらっしゃると思いますが、この時に着ているパーカーは、東京都新宿区にお店を構える「MTG SALON」様のパーカーです。
先日よりスポンサードしていただいているお店で、僕もよく足を運びますので、良かったらご来店ください!

・MTG SALON
〒160-0023
東京都新宿区西新宿1丁目15−6 ゴールドビル 302

■スタンダード環境振り返り

『ファイレクシア:完全なる統一』が加入してからも、スタンダード最強を欲しいままにしていたデッキはグリクシス・ミッドレンジでした。

強すぎる

環境最強のカードである《鏡割りの寓話》、黒の除去、青の打ち消し、そして各種アドバンテージソースとによって勝利を目指すグリクシスは、昨年の世界選手権で優勝という形でデビューしてから、スタンダードを牽引する存在となっていました。

更に唯一の弱点とされていたマナベースも、『ファイレクシア:完全なる統一』で《黒割れの崖》と《闇滑りの岸》が加入したことで解消。

いよいよ敵なしという状態になっていました。

そんなグリクシスを倒すべく台頭してきたのが白単ミッドレンジ。グリクシスでは対処が困難な《婚礼の発表》から《セラの模範》、《聖域の番人》などに繋げる白単は、戦場に出すだけで何かしらのアドバンテージを生み出すものが多く、除去で1対1交換を取り続けるグリクシスに強いデッキでした。

その白単に強いのが、『ファイレクシア:完全なる統一』の出世頭、《偉大なる統一者、アトラクサ》デッキです。

その名は伊達じゃない

グリクシスミッドレンジに近い構成で、《ギックスの残虐》で《偉大なる統一者、アトラクサ》を吊り上げるパッケージだけが採用されており、この《偉大なる統一者、アトラクサ》を咎めることのできない白単に対しては、抜群の勝率を誇ります。

そしてそのアトラクサデッキに強いのがグリクシス。打ち消し呪文などのリアクションスペルを抜いてアトラクサをリアニメイトするパッケージを採用しているため、どうしても純粋なグリクシスには分が悪くなります。

このようにグリクシスに強い白単、白単に強いアトラクサ、アトラクサに強いグリクシスといった形で、ミッドレンジたちがしのぎを削っているのが現環境でした。

そうなると当然、個々のデッキリストに変化が生まれていきます。ミッドレンジしかいない環境で誰が《切り崩し》を使うでしょうか?《呪文貫き》や《強迫》を代わりに入れますよね。

あなた、抜きましたね?

その隙を突くのがビートダウン、今回ご紹介する赤単アグロとなります。

■赤単アグロの調整

「赤単アグロが良い」と最初に言ってくれたのは、日本選手権優勝経験もある古豪、廣澤さん。最近は大型大会で一緒に調整をすることが多く、いつも助かっています。

廣澤 遊太さん

店舗大会に参加する方法すら知らないので毎回チャンピオンズカップファイナルの権利を所持していないのですが、多くのプロプレイヤーからもその腕を信頼されている人物です。

最初にあがってきたリストはこれでした。今見るとほぼ完成されていますね。

グリクシスにそこそこの勝率、白単・ジャンド・兵士に有利と不利マッチがほとんどなく、好感触。

ちなみにこの時2月25日。プロツアーに行っていた加茂くん以外全員暇だったはずなのに、この日まで誰もスタンダードをプレイしていませんでした。

更に僕は赤単もほとんどプレイしていなかったので、《ロノムの発掘家、フェルドン》がブロックできないことを1回戦目に知ったのですが、それはまた別のお話。

閑話休題。

ここからまずは《山》を《ミレックス》に変更。このリストはリソースを稼ぐ手段が皆無で、マナフラッド=即死となるので、後半引いて意味のない土地をなるべく減らしています。

いぶし銀の活躍

《ミレックス》はグリクシスのような除去デッキに対して強く、実際の練習でも非常によく機能したので、《山》より強いという結論に至りました。かぶると終わるので1枚推奨です。

大きく変わったのはサイドボード。元リストが《鏡割りの寓話》と除去しか入っていなかったので、そもそも何がほしいかを確かめることとなりました。

そして真っ先に欲しいと感じたのはプレインズウォーカーでした。

アグロのサイドはやはりPW

グリクシスはサイド後に重いカードなどが除去に代わり、クリーチャーでダメージを通すことが困難になります。《鏡割りの寓話》はグリクシスに1対2交換を迫るとても強力なカードでしたが、《死体鑑定士》や《勢団の銀行破り》で相手もリソースを取るので、《鏡割りの寓話》だけで勝つことはできません。ここにもう一押しが必要でした。

《轟く雷獣》はグリクシスに対して強力と言えません。4マナで出して《削剥》、《喉首狙い》を食らうだけで、そのテンポ損がゲームの敗北に直結します。

メインは強いけど…

そこで求められるのは、除去で対処できない勝ち手段、プレインズウォーカーだったのです。

■最強のプレインズウォーカーを探せ

まず真っ先に試したのは《焦熱の交渉人、ヤヤ》。実は僕、《焦熱の交渉人、ヤヤ》にはとても注目していて、『団結のドミナリア』発売日に4枚購入したほどでした。

悪くはない

使用した感想としては、決して悪くありませんでした。忠誠度を増やしながらトークンを生み出す動きは強力で、そのトークンも結構強い。リソースも稼げますし、除去も一応可能です。

《轟く雷獣》を4枚抜く関係で、4マナ域に後2枚ぐらい入れられます。

とはいえ、《焦熱の交渉人、ヤヤ》の場持ちが良いこともあり、3枚以上入れると手札で2枚目が腐るケースが頻発。

そこで次に試したのが《レジスタンスの火、コス》でした。

加茂くん絶賛

この《レジスタンスの火、コス》を絶賛していたのが加茂くん。《焦熱の交渉人、ヤヤ》は戦場にいる状態で2枚目を引いても何もしませんが、《レジスタンスの火、コス》は除去として使い捨てながら2枚目を出すのに便利。1枚目が《山》を供給するので、2枚目を出した時には、《レジスタンスの火、コス》が《黙示録、シェオルドレッド》を焼ける時もしばしば。

天敵も大丈夫

そしてなんと言っても大マイナスまでのスピードの速さです。2回プラスをしただけで、ほぼ勝ちといっていって紋章を手に入れられます。

最初は《焦熱の交渉人、ヤヤ》と《レジスタンスの火、コス》を2枚ずつで試し、何枚引いても便利な《レジスタンスの火、コス》の枚数だけが増えていき…やがて《焦熱の交渉人、ヤヤ》はその姿を消すことになりました。

《レジスタンスの火、コス》、お前がナンバーワンだ。

■《怪しげな統治者、スクイー》と《鏡割りの寓話》

よく質問を受けるのが《怪しげな統治者、スクイー》です。このカードの強さに疑問を感じる人が、《鏡割りの寓話》をメインボードに入れても良いのでは?と聞いてきます。

僕はメインボードでは絶対に《怪しげな統治者、スクイー》を推します。

なぜなら、メイン戦において最重要となるのは、最速でビートダウンを完遂することだからです。

環境から除去が減ってカウンターなどが増えている話は先ほどしましたね。ミッドレンジたちが同型を見越して後半に強いカードや打ち消しを採用しています。

だからこそ、赤単はメイン戦で高い勝率を誇ります。《僧院の速槍》や《ロノムの発掘家、フェルドン》に除去を打たせると、手札には打ち消しやドローしか余らず、《怪しげな統治者、スクイー》が場に残り続けることも多い。

これが《鏡割りの寓話》だとどうでしょうか?宝物のブーストは赤単にはさほど大事ではありません。2章の手札入れ替えこそ強力ですが、ゲームスピードを遅くしてしまいます。

ミッドレンジの土俵にこちらから上がってしまうようなものです。サイド後は相手も除去を増やしてアドバンテージ手段や打ち消しをサイドアウトするので、《怪しげな統治者、スクイー》より《鏡割りの寓話》の方が機能します。

「ライフを削って最速で勝つ」メイン戦と、「《鏡割りの寓話》と《レジスタンスの火、コス》で勝つ」サイド戦。これをしっかりと意識しましょう。

■最新のデッキリスト

もし今週トーナメントに出るとしたら、このリストにするでしょう。

《勝負服纏い、チャンドラ》を抜き、《血の裏切り》を入れています。

元々このカードは《偉大なる統一者、アトラクサ》用にサイドに入れていたのですが、そもそも《偉大なる統一者、アトラクサ》デッキがいない想定でした。

《偉大なる統一者、アトラクサ》はグリクシスがきつかったので、あまりいないという予想だったためです。

しかし、実際にはトップ8に入賞した原根くんをはじめ、多くのプレイヤーがアトラクサデッキを選択していました。今なら《血の裏切り》を入れるべきかなと思います。

■サイドボーディングガイド

VSグリクシス

+4《レジスタンスの火、コス》
+4《鏡割りの寓話》
+3《引き裂く炎》

-4《怪しげな統治者、スクイー》
-4《轟く雷獣》
-3《火遊び》

・ゲームプラン
メインは早く、サイド後は遅く。

相手の除去枚数が少ないメインボードでは、とにかくクリーチャーを連打し続けるのが重要です。1マナクリーチャーからゲームをスタートすると、大体《怪しげな統治者、スクイー》か《轟く雷獣》が残ってそのまま勝利します。

メインは雷獣

サイド後は相手の無駄カードが除去になるので、クリーチャーの完走は難しくなります。なので《鏡割りの寓話》と《レジスタンスの火、コス》で持久戦に持ち込みます。

特に《レジスタンスの火、コス》は大マイナスが2ターンと早く強力なので、4ターン目に出してプラスをし、相手のクリーチャーを除去し続けるだけで勝利になります。

サイド後はコス

VS白単ミッドレンジ

+3《引き裂く炎》
+2《抹消する稲妻》

-3《火遊び》
-2《絞殺》

※相手が《鋼の熾天使》を入れているなら、《火遊び》4枚と《怪しげな統治者、スクイー》1枚をサイドアウト。

・ゲームプラン
速攻クリーチャーの連打です。
相手のデッキに入っている除去はすべてソーサリーなので、基本的に速攻クリーチャーが無限にダメージを稼ぎます。
《轟く雷獣》を引くと大体一瞬で勝ちます。

《セラの模範》ハマりが嫌なので除去を追加していますが、ゲームプランは大幅に変えません。

VSエスパーレジェンズ/兵士

+4《鏡割りの寓話》
+4《レジスタンスの火、コス》
+3《引き裂く炎》
+2《抹消する稲妻》

-4《怪しげな統治者、スクイー》
-4《轟く雷獣》
-3《ロノムの発掘家、フェルドン》
-2《僧院の速槍》

・ゲームプラン
コントロールモードです。相手のクリーチャーの質がとにかくよく、こちらのダメージが通りにくいので、打点を稼ぐ地上クリーチャーたちをサイドアウトしています。

どちらのデッキも除去が薄く、《鏡割りの寓話》が馬場に残りやすいのが特徴です。《血に飢えた敵対者》をコピーすれば大体勝ちなので覚えておきましょう。

VS青単テンポ

+3《引き裂く炎》
+2《抹消する稲妻》
+2《鏡割りの寓話》

-4《轟く雷獣》
-2《絞殺》
-1《怪しげな統治者、スクイー》

・ゲームプラン
重いカードでテンポを取られないことが最も重要です。とにかく軽く軽く動きましょう。

相性は悪くありませんが、意外と負けます。《トレイリアの恐怖》で地上が止まって《傲慢なジン》のパンチ2回で負けるケースが多い。

VSセレズニアポイズン

+3《引き裂く炎》
+2《抹消する稲妻》

-4《フェニックスの雛》
-1《怪しげな統治者、スクイー》

・ゲームプラン
《ふくれた汚染者》と《殺戮の歌い手》を最優先に倒しましょう。

赤単にとって一番きついカード

しかし、あくまでこちらがビートダウン側という意識は持つようにします。相手は《轟く雷獣》などを対処する手段が少ないので、ライフを減らしていると相手が殴りづらくなります。
クリーチャーと除去で迷ったらクリーチャーから行くべきです。

毒が3つ溜まると《スクレルヴの巣》と《種子中枢》が機能し始めるので注意。《種子中枢》は《顎骨の決闘者》が強化されると一気にクロックが跳ね上がるので注意。

VSアトラクサリアニメイト

+3《引き裂く炎》
+2《血の裏切り》

-3《火遊び》
-2《絞殺》

・ゲームプラン
グリクシスと異なり長期戦を仕掛けると《偉大なる統一者、アトラクサ》を釣られて負けるので、ある程度短期決戦で挑んだ方が良いです。そのため、《怪しげな統治者、スクイー》などもすべて残しています。

これはなぜかというと、相手のライフがたくさんあると、《血の裏切り》を引いた時に勝てなくなるためです。

アトラクサに

それなりに厳しい相手ですが、相手視点でも決して楽な相手ではないと思っているはずです。サイドボードに《血の裏切り》が2枚あると、相手はやりづらくなります。

VS赤単同型

+4《レジスタンスの火、コス》
+4《鏡割りの寓話》
+3《引き裂く炎》
+2《抹消する稲妻》

-4《フェニックスの雛》
-4《轟く雷獣》
-4《怪しげな統治者、スクイー》
-1《ロノムの発掘家、フェルドン》

・ゲームプラン
除去連打から《鏡割りの寓話》、《レジスタンスの火、コス》でリソース勝負です。

大量の除去が入っているのでクリーチャーはあまり残りません。なので除去と重いカードを入れてひたすら連打します。

《鏡割りの寓話》をたくさん引いた方が大体勝ちますね。

抜いてしまいましたが、同型は《勝負服纏い、チャンドラ》が強力です。

■終わりに

というわけで、今回はこの赤単で運よくミネアポリスの権利を獲得しました。

また勝利報告できることを願っています!

MTG SALONにもふらっと遊びに行きますので、良かったらお越しくださいね。

それでは。

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