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経済白書で読む戦後日本経済

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「経済白書で読む戦後日本経済」の書籍をもとに、1945〜1999年までの日本経済を5年ごとに解説しています。 この頃に作られた社会システムは現在に通ずるものも多く、「今の日本は何… もっと読む
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【今でしょ!note#10】 1946-50年 廃墟からの再建 (経済白書から現代史を学ぶ その1)

【今でしょ!note#10】 1946-50年 廃墟からの再建 (経済白書から現代史を学ぶ その1)

おはようございます。林でございます。

近年、円安・物価高・欧米諸国のインフレ&金利引き上げなど、経済面で色々な変化があります。

このような世の中を少しでもドラマチックに、まるで大河ドラマの中に生きているかのような実感を、ということで、現代史、つまり第二次世界大戦以降の日本について、経済白書をもとに解説された良書があるのでご紹介します。

きっかけは、2年前に木下斉さんがこの本を分かりやすく解説

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【今でしょ!note#11】 1951-55年 復興から自立へ (経済白書から現代史を学ぶ その2)

【今でしょ!note#11】 1951-55年 復興から自立へ (経済白書から現代史を学ぶ その2)

おはようございます。林でございます。

前回は、第二次世界大戦直後の日本経済について、戦後の物資不足、財政難、企業会計赤字、ハイパーインフレ・・・という中で、新円切替政策・預金封鎖というパワープレー、アメリカによるトルーマン・ドクトリンと呼ばれる共産主義封じ込め政策とドッジラインによるインフレ抑制、1ドル360円の固定為替、朝鮮戦争特需により、荒廃していた日本経済が飛躍的に回復した流れをご紹介しま

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【今でしょ!note#12】 1956-60年 高度成長の開始 (経済白書から現代史を学ぶ その3)

【今でしょ!note#12】 1956-60年 高度成長の開始 (経済白書から現代史を学ぶ その3)

おはようございます。林でございます。

今週から連続で配信中の「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズの続きです。

これまでを簡単に振り返ると、1945~50年では、戦後の経済ボロボロ・財政めちゃくちゃ・国際収支大赤字・国内ハイパーインフレ状態から、新円切替・預金封鎖・ドッジライン・1ドル360円の固定為替、朝鮮特需により一定の回復をしました。
その後の1950年代前半では、高度成長に入って

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【今でしょ!note#13】 1961-65年 高度成長の踊り場 (経済白書から現代史を学ぶ その4)

【今でしょ!note#13】 1961-65年 高度成長の踊り場 (経済白書から現代史を学ぶ その4)

おはようございます。林でございます。

今週から連続で配信中の「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその4です。
戦後10年間は、アメリカから戦争能力解体のための様々な制約を受けたものの西側諸国の重要地点としての経済回復支援を受け、朝鮮戦争特需などにより一定の回復をし、さらには特需依存でない企業の投資による成長への転換を図りました。

1956年から、いよいよ高度成長期が始まり、それまでの回

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【今でしょ!note#14】 1966-70年 高度成長の持続と動揺 (経済白書から現代史を学ぶ その5)

【今でしょ!note#14】 1966-70年 高度成長の持続と動揺 (経済白書から現代史を学ぶ その5)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその5です。

1955年ごろから開始した高度経済成長では、戦後10年間のアメリカからの支援や特需における回復を基調とした成長ではなく、企業の技術革新・設備投資を基調とした近代化による成長フェーズに入りました。

1960年の「国民所得倍増計画」では、設備投資の増大により供給能力を伸ばす、民間の旺盛な設備投資欲を後

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【今でしょ!note#15】 1971-75年 円レート上昇と石油危機の大変動 (経済白書から現代史を学ぶ その6)

【今でしょ!note#15】 1971-75年 円レート上昇と石油危機の大変動 (経済白書から現代史を学ぶ その6)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその6です。

1955年ごろから開始した高度経済成長では、その後1973年までの20年弱の間、途中「昭和40年不況」などもあり、必ずしも常に上昇気流に乗り続けていたという訳ではありませんが、年平均10%を上回る成長を遂げ、1968年にはGNP世界第二位の国になりました。

この経済成長の背景には、企業の旺盛な設備

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【今でしょ!note#16】 1976-80年 世界経済変動への適応力発揮 (経済白書から現代史を学ぶ その7)

【今でしょ!note#16】 1976-80年 世界経済変動への適応力発揮 (経済白書から現代史を学ぶ その7)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその7です。

1945年戦後回復期の10年間、投資が投資を呼び、近代化による成長フェーズへと転換した高度成長期の20年間弱を乗り越え、1970年代前半から国際経済の唸りの影響を受けた新たなフェーズに入っていきます。
本日は、1976年〜80年を取り上げ、第一次石油危機とは異なる迎え方をした第二次石油危機、円高傾向

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【今でしょ!note#17】 1981-85年 輸出主導の経済構造の定着(経済白書から現代史を学ぶ その8)

【今でしょ!note#17】 1981-85年 輸出主導の経済構造の定着(経済白書から現代史を学ぶ その8)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその8です。

1955〜73年と20年近く続いた高度経済成長期から次のフェーズに入った1970年代は、二度にわたるオイルショック、円レート上昇、世界経済のインフレ、各国の輸入制限など、国内経済が国際情勢に大きく影響を受ける時代となってきました。
国内においては、高度経済成長の恩恵が、国民生活レベルの向上に還元され

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【今でしょ!note#18】 1986-90年 バブルの発生と高成長の実現(経済白書から現代史を学ぶ その9)

【今でしょ!note#18】 1986-90年 バブルの発生と高成長の実現(経済白書から現代史を学ぶ その9)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその9です。

1970年代以降、オイルショック・円レート大変動・世界経済のインフレ・貿易摩擦の激化など、日本経済が国際情勢に大きく影響を受けるようになってきました。

国内財政では、建設国債発行等の公的部門拡大や年金医療保険費の増大による財政の国債依存度が高まります。また、80年代に入り、GDP比の社会保障費が1

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【今でしょ!note#19】 1991-95年 バブル崩壊後の低迷(経済白書から現代史を学ぶ その10)

【今でしょ!note#19】 1991-95年 バブル崩壊後の低迷(経済白書から現代史を学ぶ その10)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその10です。

前回ご紹介した1980年代後半は、力強い民間消費・民間設備投資といった国内需要に主導された経済成長で、先進諸国きっての労働生産性の高さを誇る弱点のないものと思われました。

しかし実態は、たった2年で対ドルでの円の価値が2倍になるといった異常な円高の進行による大幅な実質所得の増加に伴い、単に高いも

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【今でしょ!note#20】 1996-99年 危機と不安の時代(経済白書から現代史を学ぶ その11)

【今でしょ!note#20】 1996-99年 危機と不安の時代(経済白書から現代史を学ぶ その11)

おはようございます。林でございます。

「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」シリーズその11(最終回)です。

まだ2000年代以降を残すのに一旦最終回としている理由は、ここまで11回にわたりお届けしてきた経済白書シリーズの参考図書「経済白書で読む戦後日本経済の歩み」が発行されたのが2001年で、それ以前の年代について触れられているためです。

ただ、2000年以降についても自分で各年の経済白書を

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