プログラムのようなプロンプトではなく、「雑談プロンプティング」という技法で生成AIを使うと、楽に使えるし、たのしい。
先日、AIコンサルタントの中山高史さんと、生成AIのユースケースと技術について、ディスカッションをしました。
非常に面白い意見交換ができたのですが、その中でも特に面白いテーマの一つだと思ったのが、「プロンプティングについての考え方」でした。
プロンプティングは「AIへの命令文を記述する」ことですが、往々にして、その目的が「一発で目的の成果を得る」ことにおかれています。
すると、どうしても「コンピューターを制御する」ようなプロンプティング、つまりプログラミング言語のようにプロンプトを打つことになりがちです。
例えばペルソナを与えて、その人物のように振る舞わせることを意図する場合、下のようなプロンプトになります。
単純に言えば、「命令」「条件」「インプット」「アウトプット」の4つの情報を与えて、AIを通常のソフトウェアのように扱うことがプロンプトの王道です。
このやり方のメリットは
「結果を得るまでが早い」
「再現性が高い」
「明解」
ですが、一方で、デメリットとしては「プログラムを組むようにプロンプトを組まないといけないので、面倒」という側面があります。
そもそも「精緻なプロンプト」というのは、プログラマーや生成AIを組み込むソフトウェアの技術者がやればいい話であり、一般の人にとっては煩わしいことなのです。
端的に言えば生成AIの欠点は、「文章打つの、面倒くさくね?」です。
このわずらわしさが、「導入したは良いけど、広くは利用されない」という、生成AIの現状を生み出しているとも言えます。
「うん、まー、人と話したほうが早いし。」
っていうことですね。
雑談プロンプトという考え方
ここにおいて、プロンプティングは二つの考え方に分かれます。
一つは、従来の「精緻なプロンプティング」による方法。
これは、キーボードで「できるだけプロンプトを打ちたくない」という方針の下での考え方です。
これはある意味では「自然言語でプログラムをする方法を学ぶこと」とも言えます。
そしてもう一つが、中山さんの推奨する「雑談プロンプティング」です。
雑談プロンプティングとは何か。
読んで字のごとくなのですが、「雑談をする中で、生成AIに指示を出そう」という考え方です。
精緻にプロンプト書く場合は、上に挙げた例のように、プログラムのように書きますが、雑談プロンプトの場合は、「ChatGPTに話しかける」ところから入ります。
このときに、あたかも「人と話すように」書く、もしくは音声入力を使うのがいいでしょう。
なお、音声入力は「Voice control for ChatGPT」という、Chromeの拡張機能などを使うことで、簡単に導入できます。
なお、中山さんは「人と話すように」について、次のように言っています。
では、このアドバイスに従って、AIとお題にしたがって雑談してみましょう。
雑談プロンプトのセットアップ
このときに注意するのは、ChatGPTの口調です。
まず、箇条書きをやめさせること。雑談で箇条書きをする人はいませんし、箇条書きをされると、そこで話が中断しがちです。
また会話のレベル感の調整も必要です。ChatGPTはデフォルトでは丁寧すぎるくらいの口調ですが、「分かりやすく」というと必要以上に対象年齢を下げてくるので、このあたりは少しずつ調整してください。
後もう一つ「ユーザーに迎合するな」と指示をすると、会話のレベルが上がります。
なお「壁打ちと同じでは?」と思う方がいるかも知れませんが、少し異なるとわたしは考えています。
ちょうどいいので、ChatGPTに答えてもらいましょう。
Q.雑談プロンプトと壁打ちは違うのか?
A.違う。
なかなか良い知見を出してきました。雑談は発散の場として、壁打ちは収束の場として活用可能だというChatGPTの意見です。
雑談プロンプトはどんなシーンで使えるか
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