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【傑作】ハッピーエンド

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「ハッピーエンド」

そのタイトルに釣られ初デート映画に選んだ人はお気の毒様だが、逆に少しでもハネケの知識がある人にとっては、このタイトルからの逆釣り効果で、もう観る前から不安で胸がざわざわしていたに違いない。

映画の中で爺さんが孫娘のエヴァに年齢を尋ねたその理由を「好奇心」だと一言言った。この映画は、今じゃ爺さん世代ハネケが現代社会に浸透するSNSと、そのネット社会から派生したディスコミニケーションへの「好奇心」で撮ったような作品に思えた。

「ファニーゲーム(このタイトルもそうだ)」から比べると、ハネケの性格の悪さも丸くなったなと少し感じるが、それでも安定して嫌な気持ちにはさせてくれるので、ハネケファンは安心して欲しい。

そして本作のメインビジュアル写真。ここのシーンを切り取ったかとつい唸ってしまうほどのチョイスセンス。余談ではあるが、「ぐるりのこと」のポスターの金屏風の前に映るリリーフランキー夫婦の時も同様、そのポスターと本編の中のそのシーンが繋がった時、それだけで劇場で涙をしたことも思い出した。

僕はこの映画をコメディと言い切れるほどの映画猛者ではないが、ちびまる子と友蔵では絶対に描写されない爺さんと孫の関係にも、不思議とちびまる子ちゃん同様のほっこりとした救いを感じてしまった。ハッピーエンドの続きには、孫娘エヴァにとってその爺さんが友蔵であるように、互いの「唯一の理解者」となった関係を築いた先に、本当の意味でのハッピーエンドが待っていることを願うばかりだ。

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