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好きな子に対する態度

小学校を卒業したあとの春休み。
家に電話がかかってきた。

もうすぐ中学生、と
そわそわふわふわしていた時期に。

「Yuuu電話〜!石川くん(仮名)から。」
母からコードレスの電話を受け取る。

自分の部屋に入り、電話に出た。

「もしもし。。?」

石川くんは同級生。
はじめての電話。何事だろうか。
公立中学進学のわたしと違い、石川くんは中学受験をしていたはず。


「あ、Yuuuちゃん?オレ、石川。。
 あのさ、中学離れちゃうから言っておきたくて」

そう前置きした彼から続いたのは、告白の言葉だった。
付き合ってほしい、と。

「え!?っと。。ごめん」

秒で断るわたし。
彼からの予想もしていなかった言葉に面食らった。


その後何を話したのか覚えていないけれど
断った理由を聞かれ、
そんな風に見れない的な事を言い、
お互い中学がんばろうね、みたいなことを話したと記憶している。気まずく、よそよそしく。

電話の最中、わたしの頭の中はずっと?マークが浮かんでいた。電話を切るその瞬間まで。


これ、は本当に告白なのか?
電話の相手は本当に石川くんなのか?
何かの冗談?
ドッキリか何か?


その数日前に、
「卒アル見て電話しました〜!今度会えませんか〜?」とかいう訳のわからない電話もあったりしたので
イライラしていたという部分もある。
(当時、卒アルに家の電話番号が載っていた。個人情報ダダ漏れ時代。)


それにしても
なぜわたしがそんな思考回路に至ったのかというと
石川くんとの小学校生活を振り返ると分かる。

小学校生活の6年間の間、5,6年生が同じクラスだった。うろ覚え部分が多いけれど、何度か遊んだ記憶はある。

男女仲はわりと良かったクラスで
放課後、校庭でドッチボールをしたり
誰かの家で遊ぶことも多かった。

一番覚えているのは
石川くん、男の子の同級生、女の子の同級生、わたし、の4人で石川くんの家で遊んだこと。

その同級生の女の子はとても色が白くて、髪の毛も天然で茶色がかかったような子。

わたしはというと、ドッチボールクラブに入っていたり、夏休みは田舎のおばあちゃんちで外をウロウロしていたので、日焼けしていて真っ黒。
夏はポッキーのような足をしていた。
(いわゆる靴下焼けですね)


そんなわたしたち2人を見た石川くんは
「〇〇ちゃんは色白〜♫
 Yuuuちゃんは色黒〜♫
 まるでオセロ〜♫
 色黒のYuuuちゃん〜♫」(色黒しつこい)
のような替え歌でからかいはじめた。

わたしは色が黒いことがコンプレックスだったので
とてもとても嫌な気持ちだった。

それ以外でも学校で何かとからかわれることが多く、良い印象はない。
優しい部分もあったのかもしれないが、それを打ち消すほどの、嫌だった替え歌を一番覚えている。

しかし当時のわたしは誘われると断れない性格。
替え歌は嫌だったけれど、石川くん自身を拒絶するほど大嫌いとまでは思っていなかったし
遊ぶときは他のみんなもいたし
仕方なくだが、何度か一緒に遊んだはず。


そんな人からの電話。
小学生(卒業)のわたしが信じられるわけがない。
結果、返事を考える素振りもせず、秒で断ることになったのだ。
(断れない性格はどこいった。)


そしてすっかり忘れたまま20年近くが経過した頃、
Facebookが流行った。
ここで石川くんと、WEB上だが再会する。

友達の友達とか、何かのつながりで
石川くんからフォロー申請が届いた。
おおー!なつかしいー!と、申請許可。

すると、すぐにメッセージが来た。

「Yuuuちゃん!久しぶり!覚えてる?」

返信すると、またメッセージ。
たくさん質問してくれたので何度かやりとりをしていると、文面からもテンションが高く喜んでくれていることを感じた。
わたしはふと、あの電話のことを思い出した。

そういえば昔に電話もらってたな。
石川くんのこの反応。
もしかしてあのときの電話、本気だった。。?


約20年越しに、あの電話が本気だったのかもしれないと考える。

本当に好きでいてくれたのかもしれないな。
秒で断るのはちょっとひどかったかな。


でも。
よく“好きな子ほどいじわるしてしまう”と聞くけれど
からかわれたり嫌なことを言われたりして
好意を持ってもらえるわけがないと思う。
それは少女漫画だけの世界。

現実は普通に嫌われてしまうこともあるし
告白してくれたとしても、全く信じられない。

好きな子ほど、優しく接した方が良いのだ。


(ちょっといじられたりは楽しいので、言い方や加減にもよりますよねー!
外見いじりはコンプレックスがあったりするのでやめてほしいかな。
持論ですが、いじりつつも優しさを適度に混ぜると効果あるのでは。小学生には高レベルか?)


好きな子にいじわるしてしまうと
勇気を出して告白しても
信じてすらもらえないのだ。
わたしの場合、本当だったと気が付くのに20年近くかかっている。

恥ずかしさからくるものだと思うけれど
嫌われてしまうよりは、頑張ってちょっと優しくしてみる方が断然良いと思う。

Facebookで石川くんと再会したときはお互い結婚していて、石川くんはパパにもなっていた。
仕事もがんばっていて、順調そうだった。
誕生日にメッセージもくれた。

石川くんの中で悪い思い出にはなってなさそうで良かったかなと思う。

こんな再会ならFacebookも悪くないなと思ったあの日。(もう何年もログインしておりませんが)


これを教訓に、うちの息子たちにはよく言い聞かせておかねば。
好きな子には優しくしよう、と。


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