チャリ、サドル、漢の過ち…それはきっと、いつの時代も……


嫁の小力とレンタルDVDを借りるべくTSUTAYAへと向かっていた。

俺はカッコつけながら車を運転し、嫁の小力はボケーッと外を見ている。

すると急に小力が、

「まってぇ!!!誰か倒れてるぅ!!」

俺は後方確認し、車を止めた。そして小力の向いている方を見てみる。

高校生くらいの少年が道端にうずくまって倒れている。チャリも横に倒れている。

その横で少年の友人が



「大丈夫か!?いけるか!?大丈夫か!?」

と叫んでいる。

俺はただ事ではないと思い、車から降りた。
嫁の小力も降りた。

俺「どうした?大丈夫か?」

小力「どうしたの!?自転車でこけたの?」

二人で尋ねた。

すると倒れている少年が答える。

少年「だ、大丈夫です…本当に……大丈夫です……」

俺「おい、大丈夫じゃねーだろ?救急車呼ぼうか?家まで送ってもいいぞ?」

少年「本当に……大丈夫で……ぐばぁぁぁ!!」

俺「ぐばぁぁって言ってんじゃねーか!何があった??」

するとその少年の友だちが口を開いた。

友人「そいつ…ちゃりのサドルにta」

少年「言うなぁ!!!!!」

友人「ビクッ!!………………」


俺「………サドルの上に立ったのか?」

少年「…………………。」

俺「カッコつけようとして走行中のサドルに立ったんだろ?」

少年「…………………。」

俺「女子がいた。だから、気を引こうとして、サドルの上に立った。そうだろ?」

少年「…………コクリ。」

俺「そして落下し金玉をチャリのフレームで強打した。そうだろ?」

少年「…………はい…」

俺「俺のいきつけの泌尿器科を教えてやる。恥ずかしいかもしれないが行ってこい。腕の良いドクターだ。キンタマに何かあったら取り返しがつかねぇーことになる。」

少年「はい……」

俺「車で送るぞ?」

少年「ありがとうございます……でも大丈夫です。立ちこぎで行けそうです…」

俺「わかった。かならず今から教える泌尿器科にいけ。必ずだ。ちゃんとキンタマを見てもらえ。親にもちゃんと言えよ。」

少年「はい……。」

俺「おい、お前。こいつをちゃんと◯◯泌尿器科まで送れ。お前もはやし立てたんだろ?お前も責任を持て。ちゃんとこいつの受診に付き合ってやれ。」

友人「はい、すいませんでした。」

少年「ありがとうございます。」

俺「ほら、とりあえず治療代だ。くれてやる。保険証持っていけよ。」

少年「ありがとうございます、本当にありがとうございます。」

そう言って少年二人はふらふらしながらチャリで去っていった。

小力「タロの助、よく転けた状況とか分かったね!すごいね!!」

俺は空を見上げる。

そして遠い昔を思い出しながら微笑んだ。

俺「なーに、漢は皆、同じような経験をするものさ……」



今日も青い空が広がっている。

いつの時代も

漢は女に、カッコつけようと必死なのさ。


終わり

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