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レビュー / 映画『二重生活』他人の人生を覗き見るのが面白いのは、リスクを取らずに欲求を解消できるから?★3.8

哲学専攻の女子大学院生が、修士論文を書くために研究対象(隣人の既婚男性)を尾行するなかでいろいろ起きちゃう物語。

無限に沸き出るゴシップ記事や野次馬の存在が示すように、そもそも他人の人生ってめちゃめちゃ興味深くて面白いものなんだよね。それってなぜなんだろう、って考えると、「自分は経験しないで、痛い思いをしないで、勝手に想像を膨らませるんだろ」みたいな石坂の台詞がきっとそのまま理由なんだろうな。自分は痛い目見ずに、リスクを取らずに、特別な経験ができる(できたような気になれる)からなんだろう。

▼あらすじ

結構な自己開示なんですけど、私にもかつて、ホストに入れ込んでいる風俗嬢のTwitterを追いかけるというさもしい趣味を持っている時期がありました。人間の業の深さをまざまざと感じられて、それはそれは興味深かったし、自分が生きえない人生を追体験するのは、なんというかとても楽しかったんだな。私は男性に何千万も貢ぐ、なんてことは頭が自然と制御をかけてしまってとてもすることができないんだけど、本当はそれくらい自分の欲にどこまでも溺れてみたい、って思ってたのかもしれない。したくてもできないから、追体験することで満たしてたのかもしれない。私が映画を観るのにも、そういう側面が少なからずあるんだろうな。

でもやっぱり、それはあくまで自分じゃない誰かの人生に過ぎなくて、軸足は自分自身の人生に置くべきだ、というのが、結局この作品のメッセージなんじゃないかと思ったよ。卓也の存在が、たま自身の人生の尊さや愛おしさの象徴だったように思う。
無害な普通の男の子を演じる菅田将暉が新鮮でよかったな、あんな同棲生活、憧れますね〜

石坂の「そんなの自分で考えろ!」という台詞も、なんだか頭に残ってる。石坂はなぜしのぶと不倫したのか、教授はなぜ自殺したのか、作品中でそれが明示されていなくても、私たちが自分で考えるしかない。すぐに答えを求めるんじゃなくて自分なりに考察しようとする姿勢、もっていたいもんです。

西田尚美さん、顔が好みすぎてうっとりしてしまった。ああいう女性になりたいもんですね〜

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