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連載小説|明日はくるので、

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実家から旅立つ青年の平和な上京話。 のんびりゆったりとお楽しみください。
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記事一覧

連載小説|明日はくるので、|旅立ち

 親父と御袋とおばあちゃんに見守られながら、俺は靴紐を結んでいた。  上から降り注がれる…

連載小説|明日はくるので、|①

 夜の街は騒がしいというが、本当にその通りだった。  大きな紺色のキャリーバッグを片手に…

連載小説|明日はくるので、|②

 アラームの音に目覚めた。  時間は朝の六時。  カーテンを開けると、朝日が登っていた。 …

連載小説|明日はくるので、|③

 徒歩十分のところを、約半分の六分にして、一番近い駅に着いた。使い方に少し慣れない切符売…

連載小説|明日はくるので、|④

 突然、上半身ががくりと横にずれた。  脈打つたびに、頭がズキズキと痛む。  和らいだかと…

連載小説|明日はくるので、|⑤

 今度はバスに揺られて数分。電車でよく寝たから、今回はうとうとしなかった。  揺れ具合は…

連載小説|明日はくるので、|⑥

 中に入るよう促されて、俺は素直にそうした。他の住居人のものだと思われる靴が並べられていて、俺は自分の靴を空いた隅の方に揃えた。オーナーさんはわざわざスリッパを用意してくれていた。デザインは灰色一色で、中はふわふわしている温かそうなやつだ。今は暖房を点けていないから、床は冷たいんだと、オーナーさんは苦笑いしながら奥へと先に進んだ。なるほど。俺はお礼を言ってから、ありがたくスリッパに足を滑らせた。  灰色、好きなのかな?  オーナーさん、もとい、荒井さんは共通スペースを一通

連載小説|明日はくるので、|⑦

 白い壁に、濃い茶色の床と、至ってシンプルな模様の部屋だ。すでにある程度、家具が揃ってい…

連載小説|明日はくるので、|⑧

 目が覚めると、首がひどく痛かった。  やっと落ち着いたかと思ったらこれだ。油断大敵とは…

連載小説|明日はくるので、|新天地

 優しい電子音が、耳へと流れる。   頭も目もスッキリしていて、身体もなんだか軽く感じる…