連載小説|明日はくるので、|⑥
中に入るよう促されて、俺は素直にそうした。他の住居人のものだと思われる靴が並べられていて、俺は自分の靴を空いた隅の方に揃えた。オーナーさんはわざわざスリッパを用意してくれていた。デザインは灰色一色で、中はふわふわしている温かそうなやつだ。今は暖房を点けていないから、床は冷たいんだと、オーナーさんは苦笑いしながら奥へと先に進んだ。なるほど。俺はお礼を言ってから、ありがたくスリッパに足を滑らせた。
灰色、好きなのかな?
オーナーさん、もとい、荒井さんは共通スペースを一通