渡辺豪
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対馬の遊廓地蔵/(2024/5/15)取材記/対馬市浅藻
対馬の南端、豆酘(つつ)の隣村である浅藻(あざも)を取材してきた。今は商店など一軒もない鄙びた漁村集落となっている。50戸ほどだろうか。空き家も目立つ。ここに明治の終わりから昭和初期まで料理屋と称する遊廓が8軒ほどあったことが、昭和25年に当地を訪れた宮本常一によって記されている。(宮本常一『宮本常一著作集28 (対馬漁業史)』)
当地は明治の初期から中期にかけて、周防大島の久賀と沖家室の漁民が
洲崎パラダイス楼主の子に生まれて、感じた嫌悪感。右翼団体元会長・山口申氏(86)に訊く。その時代に何を見て、何を感じるか/(2023/11)取材記/東京都洲崎遊廓
戦後は洲崎パラダイスと看板を掛け替えた洲崎遊廓跡は、そのまま現在の東陽1丁目にあたる。
今でこそ海が遠くなったが、明治期の地図で確かめれば一目瞭然、出島のように突き出ており、石川島監獄の囚人を使役して造成した埋め立て地である。
廓の入り口には洲崎橋が架けられ、戦後は橋の袂にあった一杯飲み屋を舞台にした短編集『洲崎パラダイス』を昭和30年、芝木好子が著した。これを原作とした川島雄三監督『洲崎パラ
大吉原展|芸も教養もない〝単なる娼婦〟はなぜ軽視されるのか? 瀧波ユカリ氏、福田和子氏の動画を観終えて
『大吉原展』の動向を受けて今月3月26日に会期が迫る美術展『大吉原展』(以下、本展)の論争が続いている、と書きたいところだが、少なくともSNS上ではすっかり沈静化の兆しを見せている。
2月9日、私はアートメディア『Tokyo Art Beat』へ寄稿した。本展会期前であることから、まずは従来の公共施設が遊廓をはじめとする性売買の歴史や文化をどのように展示してきたのかについて、近年の動向を中心に紹
「串茶屋・遊女墓チャリティ」のお知らせとお願い
※2024年2月1日追記:チャリティの募集は1月31日をもって終了いたしました。集計のご報告は別途行います。皆様のご協力誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
令和6年能登半島地震で被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
本稿では、石川県小松市に残る遊女墓を保存している同町内会に送るご寄付を募ります。後述するように全額寄付します。
尊い人命や財産が失われ、今なお救
『男はつらいよ』が〝キモい〟で語られること
Twitterでフォローしている元島根県民の青いトリ( ・∋・)さん(以下、トリさん)が、松竹映画『男はつらいよ』について言及する(おそらく)若い世代について、取り上げておられた。
トリさんは極めて理性的に受け止められておられたが、私はモヤモヤが残ってしまった。本稿ではこのモヤモヤについて考えてみたい。
まず、確認するまでもないが、映画『男はつらいよ』(昭和44年)第1作が公開当時、すでに寅さ