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共働きを誓った日

 虐待サバイバーのゆうかです。

 私は小学生の時に、将来、結婚したら共働きをすることを決心しました。

 母は、父に虐待されているときに、たびたび、私達4人を連れて家を出ていこうとしました。

 母は、私達に「ランドセルを背負いなさい」と言い、私達4人を車に乗せました。ところが、母はエンジンをかけたまま、なかなか動かないのです。

 少し経つと母は、私達を連れて家に戻るのです。

 私は、父が「逃げても地の果てまで追いかける!」とか、「逃げたら血の海にしてやる!」とか、言ってるから母は躊躇してるのかなと思っていたのです。

 ところが、ある時母が、運転席で顔を突っ伏して、泣きながらつぶやいたのです。「逃げる場所がない」と。

 母の実家は、おそらく父のことをあまり良く思ってなかったと思います。母と祖父母の話から、私は子供ながらに気づいていました。

 だから母は実家にも行きづらかったんだと思います。

 さらに、母は専業主婦でした。パートをしていた時もありましたが、父は働いてほしくなかったようで、何かと理由をつけて辞めさせていました。だから、母には経済力はなかったのです。

 当時、共働きは今ほど多くなく、お母さんは家にいるのが普通、という時代でもありました。母に経済力がなかったのは別に不思議ではなく、当たり前のことだったと思います。

 私は、この時、もし母に経済力があれば私達は逃げられらるんだ!と気づいたのです。私が小学生の頃でした、ランドセルを背負っていたので。

 将来、結婚したら、もし何かがあってもいいように、私は仕事を続けようと固く固く決意しました。

 結婚のときに、離婚など何かがあるかも、と考えるなんて…と思われるかもしれませんが、私は、父と母を見ていたので、結婚してからも何があるかはわからない、と思っていたのです。

 自分に経済力さえあれば、いざという時に、逃げられるし別れられる、そう思い、小学生の私は、将来の結婚生活での共働きを、固く決心したのでした。


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