見出し画像

被害者のはずの母を憎む

 虐待サバイバーのゆうかです。

 私は父に虐待されていました。母も姉妹も一緒に虐待されていたのです。

 ある日、私が小学生の頃です、何かのきっかけで、父が私を激しく殴り始めました。私は頭を抱えて防御しましたが、父の怒りはとても激しく、おさまりまりませんでした。

 その時、母が私に覆いかぶさるようにかばってくれたのです。

 すると、父は母が覆いかぶさっている隙間から、さらに私を激しく殴り続けたのです。父は母を引き剥がすとか、母を殴るのではなく、逆にいっさい母には手を出さず、私だけを執拗に殴り続けたのです。

 この時に、母は絶望したのだと思います。母がかばえばかばうほど、父は子供への暴力を強めるのです。母一人では我が子を守れないと思ってしまったんだと思います。

 その後、母は私が殴られていてもかばってくれなくなりました。その方がまだマシだと思ったんだと思います。母は殴られてる私を泣きながら見てるだけでした。

 けれど、私にとっては、それは全然マシなことではありませんでした。私はどれだけひどく殴られたとしても、母にかばってほしいと思っていました。たとえ殺されても、母の腕の中なら、それでいいいと思っていたのです。

 私のその思いは、大人になるにつれ、母への恨みに変わったような気がします。

 母を恨んでいる、という言葉は少し違うような気がしていますが、私は今でも母に対して複雑な感情を持っています。

 大人になった今、母から「あの時は仕方なかったの、でも本当にごめんね」とでも言ってくれることを期待していますが、言ってもらったこともありませんし、ひょっとしたら、覚えてないのではないかと思います。

 もちろん、悪いのは父で、母は被害者で、しかも、私を守るためには仕方がなかったことだということはわかります。それでもただだ小さかった私が、悲鳴を上げたまま癒やされずにいるのです。辛くて怖かった時に、母に抱きしめてもらいたかっただけなのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?