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Nick DeCaro「Italian Graffiti」(1974)

AORの原点とも呼ばれている名盤

ニック・デカロはAORファン、というかソフトロックファンにはお馴染みの方かと思います。
60年代後半にはハーパーズ・ビザールロジャー・ニコルズといったソフトロックの名盤にアレンジャー等で参加。それ以降もドゥービー・ブラザーズライ・クーダーランディ・ニューマンジェイムズ・テイラーベン・シドラン等数多くのアーティストの作品に関わっています。また山下達郎さんも彼を信奉していることは有名で、後にニック自身が達郎さんのカバー曲集のアルバムも発表しましたね。

本作は盟友トミー・リピューマが立ち上げたブルー・サムから1974年に発表された、ニックのセカンド・ソロ。ちなみにニックのファーストアルバムは1969年に発表された「ハッピーハート」で、イージーリスニング的なアルバムです。

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本作は全作カバーソングで、ニックの絶妙な選曲・アレンジが堪能できます。プロデュースはニックとトミー・リピューマ。エンジニアはアル・シュミット。参加ミュージシャンはデヴィッド・T・ウォーカー(G)、ウィルトン・フェルダー(B)、ハーヴィー・メイソン(Ds)を中心としたメンバー。

①「Under the Jamaican Moon」は私の大好きなスティーヴン・ビショップの作品。このイントロのデヴィッド・T・ウォーカーのギターは名演と言われてますね。華麗なオーケストラとデヴィッドのジャージーなギター。贅沢です。夜のジャマイカという雰囲気がよく現れてます。

②「Happier Than the Morning Sun」も大好きなスティービー・ワンダーの作品。これは以前私のブログで紹介したB.J.トーマスもカバーしてます。ニックのヴァージョンは、よりAORに近いアレンジです。コーラスもいいですね。

⑤「Wailing Wall」はトッド・ラングレンのカバー。ピアノをバックに淡々と歌うニックもいいですね。素朴なアレンジであるが故に、美しいメロディが際立ちます。

⑥「Angie Girl」もスティービー・ワンダーの作品。美しいアレンジ・コーラス、控えめなギターバッキング、そして優雅なサックスのソロ。素晴らしい作品です。

⑧「While the City Sleeps」はランディ・ニューマンの作品。この二人は昔からの顔見知りですね。ゆったりとした曲です。ニックの厚いコーラスが映える1曲。

本作のプロデュースのトミーとニック、エンジニアのアルは、後にトミー(プロデューサー)、ニック(アレンジ)、アル(エンジニア)の3巨頭と呼ばれ、シティ・ミュージックをクリエイトしていきます。本作はその幕開けの重要な一枚ですね。

ニックは自身のソロは寡作ですが、多くのアーチストに関わってますが、残念ながら1992年3月4日に亡くなられてます。またトミーは2017年、一番年上だったアルもつい先月に亡くなられました。こうした偉大なるクリエイターが亡くなっていくのは残念なことですが、残していった作品でも素晴らしいものは、我々音楽マニアが後世に継承していきたいものですね。



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