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John Valenti「Anything You Want」(1976)

白いスティーヴィーと云われたAORの名盤

ジョン・ヴァレンティ、もともとはモータウンの白人バンド、パズルのドラマーであった人物。その声はスティーヴィー・ワンダーそっくりで、自身初のソロアルバムとなる本作では、そのソウルへの傾倒振りが窺い知れます。

2006年にようやくCD化が実現された幻の名盤。随所に最良なソウルポップが聴けます。またこのジャケットもいいですね~。

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なぜ本作がそれほどまでにCD化を熱望されていたのか? それは1曲目の「Anything You Want」をお聴き頂ければすぐご理解頂けるかと思います。私は試聴時に、この1曲目のフィリーソウル系AOR的イントロと、思わずスティーヴィー・ワンダー??と思ってしまうジョンのヴォーカルに完全にノックアウトされ、当時即買してしまいました。
ホーン・アレンジもいいですね~。
本作演奏メンバーはドラムにJim Gorden、Ed Greene、ベースにJim Hughart、ギターはDean Parks、Jay Graydon等。悪い筈がありません。

②「Was It Something I Said」でのシンコペーションの効いたドラムもいいですね~。
ジム・ゴードンか、エド・グリーンか? どちらにしてもドシッと来るパラディドルを効かせたドラムはこの曲のアクセントになってます。
この曲なんかフィリーですね~。このフィリーらしいホーン、そしてクラビネットも最高です。よく考えたらこの曲こそスティービー・ワンダーそのものですね。

そして個人的に大好きな③「I Wrote This Song For You」。
ラジオから流れてくるようなイントロのメロディ・・・、そしてちょっとキーを変えて曲は始まります。このドラムのスネアはAメロ部分では4拍目を打たない珍しいことをやってますね。
どこかパイロットを思わせるようなポップス。この曲は本作中、一番のポップスですね。

①と同様に人気の高い⑥「Why Don't We Fall In Love」も跳ねるリズムが気持ちいいAOR系ポップスです。

また⑧「Save Me」はジャクソン5が歌いそうな楽曲ですね。
ギターがワウワウをかけたようなカッティングでベースが跳ね回るようなソウル・ポップス。これも好きです。

本作はシカゴ出身のジョンらしいソウル色満載の楽しいアルバムです。アルバムにも「p.s. i Still love you chicago」とクレジットされてます。フィリーとはカテゴリーは違いますが、シカゴソウルが大好きだったのでしょう。
ちなみに本作、USブラックチャートで51位、①はシングルカットされ最高位37位を記録しております。個人的名盤が必ずしも商業的にはヒットしていない典型例ですね(特にAORの名盤はその傾向が顕著です)。

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