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The Dave Brubeck Quartet 「Bossa Nova U.S.A.」 (1963)

今日からゴールデン・ウィークですね。巣ごもりがすっかり慣れてしまったのか、私は全く行事もなく、まったりと音楽三昧となりそうです…。

最近ジャズをアップしていなかったので、この辺で1枚ご紹介しておきます。私が敬愛するジャズ・アーチストはビル・エバンスデイヴ・ブルーベック。たまたま2人ともピアニストですが、やっぱり攻撃的なプレイより、メロディアスなものが大好きです。そして本作はデイヴが当時流行していたボサノバにトライした好盤。

ボサノバの奔りと云えばアメリカではスタン・ゲッツが1961年に発表した「ジャズ・サンバ」がそれに当るでしょう。そしてゲッツは1963年に名作「ゲッツ/ジルベルト」を発表。ただゲッツの場合はアントニオ・カルロス・ジョビン等が書いた本場のボッサを収録していたのに対し、本作でのブルーベックはオリジナルに挑戦しています。さすが、ブルーベック。そういった姿勢に知的な香りを感じてしまいます。

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タイトルはズバリ「Bossa Nova U.S.A.」。このタイトルにブルーベックの自信が表れているような気がします。そして1曲目も①「Bossa Nova U.S.A.」。このスウィンギーなドラムのリズム、これは実はアルバム・エンディングに収録されている⑩「This Can't Be Love」のリズム・パターンのリプライズなんです。「This Can't Be Love」は別にボサノバ楽曲ではありません。1938年のミュージカル「The Boys From Syracuse」で発表されたポピュラーソングで、ナット・キング・コールやエラ・フィッツジェラルド等によってカバーされたようです。
この①と⑩、イントロが一緒なんですよ。ドラムが4小節リズムを刻むイントロですが、全く一緒。そして後に続くベースパターンまで。この辺の凝った演出がブルーベック節ですね。もちろん「Bossa Nova U.S.A.」はデイヴ・ブルーベック作。そしてこの曲のみならず、アルバム全体に云えることは、ドラムのジョー・モレロのリズムとポール・デズモンドのアルト・サックスが心地いいこと。素晴らしいです。

②「Vento Fresco(冷たい風)」、こちらもポール・デズモンドのクールなサックスとボッササウンドがぴったり合っていて、心地いいです。もちろんデイヴのリリカルなピアノもGood。
アップした音源は⑧「Cantiga Nova Swing」が続きます。この「Cantiga Nova Swing」は一転してアルバム中、もっともスピーディーなボッサソング。というかリズムが辛うじてサンバしているくらいで、強烈な4ビートジャズに聞こえます。これもいいですね。

こちらはオリジナルではありませんが、私のお気に入りの1曲、③「The Trolley Song」。ポールが伸び伸びメロディを奏でる一方で、デイヴがクールにピアノでリズムを叩いてます。バンドアンサンブルがいいですね。1953年にも収録している楽曲なので、敢えてボサノバのアルバムに収録することもなかった筈ですが、やはりアルバムの流れにぴったりということで収録されたのでしょう。
原曲は1944年のジュディ・ガーランド主演映画「Meet Me in St.Louis」の主題歌です。

こうしたボサノバ・アルバムって、インテリアミュージックと言いましょうか、単なるBGMとして扱われることもあるのですが、そうやって心地よさを伝えられる音楽ということでもあり、ある意味素晴らしい音楽なんですよね。

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