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オー・シャンゼリゼのあれこれ(1971)

奇妙礼太郎の「オー・シャンゼリゼ」が大好きです。この曲、2013年にスズキのショコラって車のCMに使われたので、ご記憶ある方も多いかもしれませんね。

このコロナ禍、こんな曲が心を癒してくれます。今は解散しちゃいましたが、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の圧倒的なライヴ…、こんなライヴ、楽しいだろうなあ(歌い直しているのは「苗場」って歌いたかったからですね)。早くこんなライヴがまた行える日が来ますように。

でも恐らく50代以上の方にとっては「オー・シャンゼリゼ」といえば、ダニエル・ビダルなんでしょうね。当時は彼女のこと、「歌うフランス人形」と呼んでいたらしい。リアルタイムに当時のことを知らない私にとっては、もちろん彼女の可愛らしい容姿にも驚きなんですが、それ以上にこの洒落た演奏・アレンジに驚きを覚えます。もう50年近く前の音源とは思えないですね。

更にいえばこのオリジナル楽曲はジョー・ダッサンという米国人シンガーソングライターが1969年に発表した「Les Champs Elysees(オーシャンゼリゼ)」。彼は当時フランスに在住しており、もちろんこの曲もフランス語で歌われております。ですから「オーシャンゼリゼ」はフレンチポップスの代名詞みたいなイメージを持たれてしまうのでしょうね。ちなみにダニエル・ビダルのバージョンはジョーの楽曲アレンジを真似したものを思われ、むしろジョーのアレンジセンスを褒めるべきかもしれません。

でも更に言えば、本当のオリジナルは、なんと英国のサイケデリック・バンドが演奏していたもの、という事実をご存知でしょうか。当時のことを全く知らない私なんかは、「オー・シャンゼリゼ」はフレンチポップスの代名詞みたいな間違ったイメージを持っていました(苦笑)。
ホントのオリジナルはJason Crestという英国バンドの「Waterloo Road」って曲です。そもそも曲名も違ったんですね。

どうですか・・・。全くサイケじゃないですよね(笑)。実は彼等、サイケをやっていたのですが、商業的には全くヒットせず、業を煮やしたプロデューサーのフリッツ・フライヤーが職業作家陣(マイク・ウィルシュとマイク・ディーガン)の曲「Waterloo Road」を彼らに歌わせた・・・ということなんです。
でも結局「Waterloo Road」は全くヒットせず・・・。でも奇遇にもジョー・ダッサンが、たまたま英国に居たときにこの曲を耳にし、フランチポップスに仕立ててカバーしたという経緯なんですね。
恐らくJason Crestからしてみれば、自分達のやりたいサイケ音楽もやれずに、ポップスをやらされ、しかもそれは見事に失敗・・・、そして解散。一方それを尻目にカバー曲がヒットしてしまった現状を嘆いたことでしょう。でも職業作家陣からしたら、驚きのヒット、しかも日本でもカバーが大ヒットしたという逆の驚きだったと思われます。
一応サイケなJason Crestの曲をアップしておきますが、まあ私なんかはこのテの曲は苦手ですし、誰も興味ないでしょうね(苦笑)。そしてなぜ彼らが駄目だったのかも、分かるような気がします・・・。


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