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オフコース「秋ゆく街で ⁄ オフコース・ライヴ・イン・コンサート」(1974)

早いもので2021年も終わろうとしております。
今年はいつになくミュージシャンの訃報を聞いたような気がします。フィル・スペクター、チック・コリア、ジム・スタインマン、アル・シュミット、チャーリー・ワッツ、デヴィッド・ラズレー、私が敬愛していたマイク・ネスミス…。日本でも和泉宏隆、数原晋…、そして忘れてならない村上”ポンタ”秀一…。特にポンタさんはパワー溢れるドラムプレイが強烈に印象に残っていたので、ご病気で亡くなられたという事実がすぐには理解出来ませんでした。

ということで今年最後の投稿は、ポンタさんを追悼する意味を兼ね、オフコースのライブアルバムをご紹介致します。実は前からこのアルバムはご紹介しようと思っていたのですが、いい音源がなく、しばらくそのままにしておりました。

初期のオフコースにポンタさんが参加していたことは周知の事実ですね。

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当時のオフコースは知名度が低く、セカンドアルバム発表後に行われたコンサートも、日本青年館を800人程度埋められた程度だったようです。不本意な仕事をやらされている彼等を奮起させる意味もあり、当時のマネージャーが、よりキャパの大きい中野サンプラザでのコンサートを提案。オフコースの二人も最初は反対したようですが、結局セカンドアルバムのレコ―ディングメンバーと弦を入れることを条件に決断。このアルバムは、当時の音源を東芝EMIにレコード化させることで、東芝EMIに一部資金を出してもらうような形にした結果であり、ある意味、コレは貴重な音源として我々は恩恵を被っているのです。

この時のバックミュージシャンは大村憲司(G)、村上秀一(Ds)、羽田健太郎(Key)、川原直美(Per)、森理(B)、他に新室内楽協会の12名の方々。森さんは元ヴィレッジj・シンガーズの方。当時のポンタさんは大村さんと行動を共にすることが多かったですね。

このコンサートですが、彼等の持ち歌が少なったこともありますが、洋楽カバーが満載で秀逸。そもそも当時のオフコースはフォーキーなデュオだった筈なのに、オープニングナンバーがマーヴィン・ゲイの①「What' Goin' On」ですからね(笑)。ひょっとしたら観客が「何が起こっているのか?」って思わせるダブルミーニングだったのかも…なんて邪推もしてしまいます。で、この「What' Goin' On」ですが、ソウルマニアの鈴木さんの選曲と思いますが、何といってもそのグルーヴ感が凄いのです。これはもちろんポンタさんのドラミング(特にハイハットワーク)によるところが大きいのですが。是非、音源を聴いてみて下さい(間奏には小田さんの初々しいMCも)。

そしてまだまだ驚愕な演奏、なんと2曲目は②「Medley」、洋楽メドレーです!
珠玉の11曲が6分弱の中に纏められてます。一応その11曲を記載しておきます。

①Your Song ②Where Is The Love ③You Make Me Feel Brand New ④You Are Everything ⑤I Won't Last a Day Without You ⑥Holidays
⑦Alone Again ⑧Ticket To Ride ⑨Something ⑩All You Need Is Love ⑪What the World Needs Now Is Love

なかなかな選曲だとおもいませんか。ポップス系は小田さん、フィリーソウル系は鈴木さんの好みでしょうかね。②⑤⑦⑨辺りが好みです。

作詞作曲は小田さんですが、リードヴォーカルは鈴木さんの⑧「水曜日の午後」。
初期のフォーキーなオフコースが堪能出来る1曲。メロディは小田さんらしい味わい深いもの。ここでは殆ど2人の弾き語りでしょうか。

オフコースの初期の名作の⑩「のがすなチャンスを」。
鈴木さんの作詞作曲。ニューソウル感覚溢れるイントロ。初めて聞く人はこのイントロに驚かされるのではないでしょうか。この曲のポンタさんのプレイが結構好きだったりします。

このライブアルバムのハイライトがエンディングの⑭「でももう花はいらない」。
こちらは鈴木さんの作品。2分52秒辺りから曲が「What' Goin' On」に…。つまりオープニング曲に戻るわけです。この「What' Goin' On」に続いてメンバー紹介。各ミュージシャンのソロが展開されますが、ポンタさんは「らしい」ハイハットワークを聞かせてくれます。小田さん、鈴木さんにしたら、このバックミュージシャンには感謝感謝だったでしょうね。ちなみに7分41秒から⑮に繋がるMCが聞けます。

アンコールは私の大好きな⑮「僕の贈りもの」。
歌詞もメロディも素晴らしい初期オフコースを代表する1曲。2番目で小田さんが歌詞を間違ってしまう箇所もしっかり収録されてます。

まだ初々しいオフコースと、それを支えるバックミュージシャン。そのリズムの要は小田さん、鈴木さんの3つ年下のポンタさんでした…。ポンタさん、有難う!

ということで今年も年代もジャンルも全くバラバラな素敵なアルバムを紹介していきました。まだまだ素敵なアルバム、素敵な音楽はいっぱいありますので、引き続き来年も宜しくお願い申し上げます。皆さん、よいお年をお迎えください。

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