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Harpers Bizarre「Feelin' Groovy」(1967)

所謂バーバンク・サウンドの源流、ハーパーズ・ビザールのデビューアルバムです。

バーバンク・サウンドの要となったのがレニー・ワロンカー(ちなみにレニーとラス・タイトルマン、リッキー・リー・ジョーンズの3人は幼馴染です)。このレニーがハーパーズやモジョ・メン、ボー・ブラメルズを作り上げていきました。
ハーパーズにおいては楽曲ごとにプロジェクトチームを作り、あの独特のドリーミーな世界を作り上げていったのです。レニーがハーパーズに用意したのは、サイモン&ガーファンクルのヒット曲、「59th Street Bridge Song」でした。

もともとサイモン&ガーファンクルのヴァージョンはアコギをメインにフォーキーで小粋な楽曲に仕上がっていました。本作では5曲目に収録されている⑤「59th Street Bridge Song」ですが、ハーパーズはレオン・ラッセルの華やかなアレンジと美しいコーラスで、ドリーミーな世界観を作り上げました。以降のハーパーズの原曲ですね。どんな曲でもハーパーズ色に染めてしまっていたのは、主に彼等自身というよりは、レニーや楽曲ごとのアレンジャーによるところが大きいのですが・・・。
この曲、ため息が出てしまうほど美しいアカペラパートがあります。この曲の最大の聴きどころはこの部分なのです。

さて、このアルバムではレオン・ラッセルは4曲、ランディ・ニューマンが3曲、ペリー・ボトキンJrが2曲、ロン・エリオットが1曲、各々アレンジャーとして腕を振るってます。レオン・ラッセルは確かハーパーズへの参加はこのアルバムのみだったかと思います。
個人的にはこのアルバム、冒頭2曲が大好きで、その2曲ともアレンジはペリー・ボトキンJrです。

①「Come to the Sunshine」はヴァン・ダイク・パークスの作品で、冒頭の曲だけあって非常にスピーディーかつスリリングに展開されていきます。アレンジはまるで映画音楽のよう。決してライヴでは出来ませんね。古き良き音楽、40,50年代のドリーミーな音楽を連想させます。

そしてその流れはそのまま②「Happy Talk」へ引き継がれます。
出だしの ♪ Happy talk ~ ♪ を聴いただけで心が和んできますね。この曲、「南太平洋」というミュージカルで使われた曲だそうですが、他にどこかで聴いたことがあるような気がしますが思い出せません。クリスマスシーズンに聴くとハートウォームになること間違いなしです。

アルバム最後から2曲目という地味な位置に置かれてますが、⑨「I Can Hear the Darkness」も結構好きな1曲です。これはレオン・ラッセルの作品。

⑩「Simon Smith and the Amazing Dancing Bear」はランディ・ニューマン作。これはアラン・プライスやニルソン等もカバーしてますね。ジャグバンド風なアレンジで、ノスタルジックな気持ちにさせてくれます。

ハーパーズは4枚のアルバムを発表し、解散してしまいます(特にサードアルバム「Secret Life of Harpers Bizarre」は名盤)。
時代はサイケ的な音楽が流行り、ハーパーズのような音は求められていませんでした。でも後で振り返り、このサウンドがエバーグリーンなものであることが証明されました。このドリーミーな音楽は非常にオリジナリティに溢れ、今の時代にこそ聴いてほしい音楽のような気がします。


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