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Billy Joel「52nd Street」(1978)

70年代後半のビリー・ジョエルはカッコ良かった。なんとなくニューヨークの香りがするようなロック、バラードもセンスあるし、「Glass Houses」あたりまでのアルバムはどれも素晴らしいですね(実はリアルタイムに聴いたビリーのアルバムは「The Nylon Curtain」からなんですが…)。

個人的にはこのビリー・ジョエルのサウンドを支えていたのがリバティ・デヴィートのドラムだと思ってます。
ご存じのようにビリー・ジョエルとビリー・ジョエル・バンドの関係は後に不仲となり、特にリバティとは金銭ドラブルから裁判沙汰にまで発展してしまいました。端的に申すと、ビリーは自分の音楽活動をソロ活動として考えていた一方で、リバティはバンド活動として捉えていた(つまりその分取り分をくれ!ということ)んですね。
個人的にはビリー・ジョエルが輝いていた時期とビリー・ジョエル・バンドがバックを務めていた時期は重なっていると感じているので、リバティの言うこともよく分かります(なお、この裁判は2010年4月に双方和解に至っております)。

本作は1978年発表のビリー・ジョエルが輝いていた時代の名盤、そしてリバティのドラム・プレイも光っております。

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ビリーがリバティやタグ・ステッグマイヤー(B)、リッチー・カナータ(Sax)を起用したのが1976年発表のビリー4枚目のアルバム「Turnstiles」から。そして「Stranger」、本作へと繋がっていきます。

日本ではCMにも使われたこともあり、あまりにも有名な曲となってしまった②「Honesty」。こんなメジャーな曲をここで今更ご紹介するのも気が引けるのですが、是非リバティのドラムに注目して頂きたい。
ビリーは自身の音楽活動をソロ活動だと認識していたようですが、このPVではしっかりメンバーが映っており、リバティもかなり目立ってます。そしてリバティのドラム、こんなバラードなのに、めっちゃハード・ヒッター(笑)。特に2番目のサビなんか、3拍目をスネアと同時に思いっきりクラッシュシンバル鳴らしてます。前からビリーってバラードでも力強く熱唱するなあと思っていたのですが、特にこの「Honesty」ではかなり熱唱気味。そしてそれを煽るようにリバティはドラムを叩いてますね。つまりビリーのヴォーカルとリバティのハード・ヒッター気味のドラムは相性ピッタリなんですよね。

③「My Life」は数多あるビリーの曲の中でも個人的に大好きな曲なんです。如何にもニューヨーカーのビリーらしいNYサウンド。
このオフィシャルPV、メンバーと和気藹々とスタジオに入るシーンなんかはバンドそのものですね。
このストレートなロックはビリーの真骨頂。そしてもちろんリバティのタイトなドラムがピッタリ。タグのベースラインも大好きです。ちなみにレコ―ディングでのバックコーラス(後追いコーラス)は何とシカゴのピーター・セテラドニー・ダカス。このコーラスもキャッチーで大好きですね~。

④「Zanzibar」もかなりユニークな楽曲。
ソリッドなロックですが、一筋縄ではいかないところがビリーらしい。間奏部分から突然4ビートジャズへ流れ込んでいきます。このフリューゲルホルンのソロはフレディ・ハバードです。カッコいいですね~。

B面1曲目の⑤「Stiletto」もなかなかの佳曲。邦題「恋の切れ味」。
タイトルは(先の細くとがった)小剣を意味するらしい。アップした映像はそんな歌詞の世界観を表した女性達が登場します。結構楽しめます。
もちろん映像も楽しんでほしいのですが、ここでもリバティのドラム・プレイがかなり凝ってます。Bメロへ展開するパートのスネア捌きなんか面白いですね。間奏のピアノといい、ビリーのメロディメーカー振りが存分に発揮された1曲。

曲調は全く違いますが、リズムが「Just The Way You Are」に似ている⑥「Rosalinda's Eyes」。
これもどなたが作ったのか分かりませんが、妙にPVっぽい映像。ビリーのフェンダーローズの調べが心地よい。
何度もすみません、ここでもリバティのドラムが妙にリズミカル。「Just The Way You Are」でのドラム・プレイと似ており、スティーヴ・ガッド風なスティック捌きですね~。もともとこの曲はイントロからちょっと不思議なメロディを持っており、それに合わせたようなドラム・プレイが曲を飽きさせない要素になっていると思います。

どうでしたか~、この頃のビリー・ジョエルにリバティ・デヴィートのドラムが如何に欠かせないものだったか、少しでもご理解頂けますと幸いです。
ちなみにリバティは1989年発表の「Storm Front」までフルで参加しております。

裁判が結審した後、2014年にリバティが中心となり、当時のビリー・ジョエル・バンドが復活(もちろんビリー抜きですが…)。バンド名をThe Lords of 52nd Streetとして現在も活動中です。
リバティをフォーカスした映像がありましたので、そちらを最後にアップしておきます。この「Angry Young Man」、リバティがハード・ヒッターであることがよくわかる強烈な演奏です。


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