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Larry Carlton「Strikes Twice」(1980)

五輪真弓のバックで気持ちよくギターを弾いていたラリー・カールトンの姿を見ていたら、やっぱりラリー自身のアルバムもご紹介すべきであろうと思い、秋らしく心地よいアルバムということで、このソロ4枚目(ワーナー時代ではセカンド)をピックアップ致しました。

ラリーが五輪真弓のバックバンドとして来日したのが1977年11月。そしてワーナー時代のファースト、あの「Room 335」を収録したアルバム「Larry Carlton」を発表したのが翌年の1978年。
このファーストのリズム隊はジェフ・ポーカロエイブラハム・ラボリエル。私が敬愛するジェフですが、ここでは録音状態があまり良くないのか、ジェフ独特のタイトなドラミングがあまり堪能出来ないような気がします。

一方今回ご紹介する「Strikes Twice」ではリズム隊がジョン・フェラーロロバート・ポップウェルに替わり、何となくですが、こちらのリズム隊の方がラリーのカラーに合っているような気がしておりまして、個人的には超メジャーな「Larry Carlton」よりも、かなり地味は「Strikes Twice」を愛聴しております。

プロデュースは引き続きラリー自身が務めております。前述のようにリズム隊はジョン・フェラーロ(Ds)とロバート・ポップウェル(B)。グレッグ・マティソン(Key)とパウリーニョ・ダ・コスタ(Per)は前作からの参加。この後、ラリーと多くの仕事を共にすることになるテリー・トロッター(Key)も本作から参加しております。こんな布陣、気心知れた布陣で制作されているので、サウンドも非常にクラックスムード満載ですね。

「Larry Carlton」での象徴的な楽曲が「Room 335」だとすると、本作では①「Strikes Twice」がその役割を担っております。
イントロから瑠麗なラリーの速弾きギターソロが堪能できます。そしてメロディを奏でるラリーのギタートーンが素晴らしい。
スタジオライヴ映像をアップしますが、ここでの1分10秒過ぎからの伸びやかなギタートーン、実に心地いいです。メロディも素晴らしいし、途中からはスタジオ録音バージョンとは違うジャズアレンジに展開していきます。こうしたアレンジもラリーならではですね。

SSWのケリー・チェイターの1978年の作品のカバーの②「Ain't Nothin' for a Heartache」は実にラリーがのびのびと歌ってます。
オリジナルのケリーのバージョンはマイケル・オマーティアンがアレンジしております。マイケルとラリーは非常に親しい関係にあるので(マイケルのファーストソロにラリーは参加してます)、そういった流れからラリーはこの曲を知ったのかもしれません。ラリーのヴォーカルは凡庸で取り立てて上手い!って感じじゃないのですが、この曲には合っているような気がします。曲も当時流行っていたAOR風で、結構好みです。

本作ではラリーは3曲で歌っておりますが、その内の2曲(④⑦)はオリジナル作品です。④「The Magician」はロバート・ポップウェルのベースが結構自由に動いてます。こういう撥ねるリズムはグルーヴ感出すのが難しいんですよね。
アップした映像、歌うラリー・カールトン(笑)。珍しい映像ですね。「日立・サウンドブレイク」でしょうか。曲も結構いい曲。ラリーって曲作りも才能ありますよね。
ちなみに④⑦のラリーとの共作者がJohn Townsendって聞いて、ピンと来た方は相当マニアックです(笑)。以前このブログでもご紹介したSanford & Townsendの片割れですね。彼等の「Duo-Glide」ってアルバムはかなりいいですよ。

スリリングなナンバーの⑥「Springville」。
こちらも当時の来日公演の映像がありました~。これも東京12チャンネルで放送されていたものと思われます。こんな素晴らしい映像が当時テレビで見れたなんて、凄いですね。ラリーの熱いギターも素晴らしいですが、ロバートの唸り上げるベースも凄い!エンディングではラリーの短いインタビューまで…、凄い番組だ。

恐らくラリー・カールトンの全作品の中でも一番ハードロックしていると思しき⑦「In My Blood」。
こんなディストーンを掛けたラリーのギターって聴いたことないです。しかもこのハードロック的ナンバーに果敢にもラリーはヴォーカルにチャレンジしております。この曲、本来は声量のあるシャウト系の方が歌ったら、もっとカッコいいのに…と思ってしまいました。ラリーは間奏のギターソロの後ろで、裏声で頑張ってます(笑)。

この後、ラリーは1982年に「Sleepwalk」を発表しますが、そこにはラリーの歌声はありません。もう本作で凝りてしまったのか、全曲インストですね(以降のラリーのアルバムにもラリー自身が歌っている曲はあまりないかもしれません)。そういった意味ではここでのラリーのヴォーカルが聞ける3曲は貴重ですね。

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