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Sagittarius「Present Tense」(1968)

いわゆるソフトロックの名盤ですね。ソフトロックの特集が組まれると必ず推挙されるアルバム。
コーラスの魔術師、カート・ベッチャーを中心としたバンド「ボールルーム」の音を聴き、時の名プロデューサーであるゲイリーアッシャー(ブライアン・ウィルソンとの共作者でも有名)がカートにラブコールを送り、2人が中心となって制作されたアルバムです。

レコーディングメンバーは直後に名作「Begin」を発表するミレニアムのメンバーに、ブルース・ジョンストン(後にビーチボーイズに加入する人物)、グレン・キャンベル、キース・オルセン、チャッド・スチュワート等、当時のソフトロックの重要人物が参加してます。

①「Another Time」のイントロ、とろけるようなハープ(のような)調べと甘~いヴォーカルで始まるこの曲。曲はフォークタッチだと思われますが、コーラスアレンジと楽器の使い方が絶妙で、完全にドリーミーな曲に仕立て上げてます。

これは②~④、全てに当てはまります。特に③「You Know I've Found A Way」が私のお気に入り。日本人好みのメロディライン、弦楽奏が寄り添うようにバックを彩り、後半真骨頂の甘いコーラスが素敵ですね。

⑨「I'm Not Living Here」は本作には珍しくアコギのカッティングでスタートする曲。
ここではフォークロック調で、コーラスがママス&パパスに似てます。気のせいか声も似ていますね。

⑨で意表を付かれたと思ったら⑩「Musty Dusty」はもろにフォーク。
①~④の世界とは違います。初期ピーター、ポール&マリーを彷彿させる曲です。後半はカートらしいコーラスが聴けます。こんな曲も収録されていたんですね。カートのコーラスの原点は、結構こうしたフォークにあるのかもしれません。

ゲイリーアッシャー唯一の曲⑪「The Truth Is Not Real」はサジタリアス流サイケかもしれません。
ちょっとエフェクター処理をかけた音がサイケチックですが、それほどサイケに聴こえないところが「らしい」。

本作を聴くたびに夢見心地になるんですよね。最近は入浴中によく聴きます。60年代ソフトロックの良心が垣間見れますね。
しかし本作の中心人物であるゲイリーもカートも故人なんですね。残念です。


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