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創作家としてのSNSとの付き合い方 | 20世紀生まれの青春百景 #33

 何度か辞めようかとも思ったものの、もはやインフラの域に突入していたがために辞められなかったSNSという存在。わたしもあと一年くらいすると、この海に舟を浮かべてから十年の歳月が流れる。

 今朝、長年考えてはいたものの、踏み出せなかったものに踏み出してみることにした。要するに、SNSとの使い方を変えようと決めた。

 精神的にも、身体的にも、わたしはこれまでSNSに多くの部分を委ねてきた。得られたものがあれば、失ったものもある。その中で、五年前にあるフォロワーがアカウントを削除する間際に言っていたことが未だに引っ掛かっている。

 普段の発信はともかく、作品はとても好きでした。

 高校三年生くらいかな。自分自身が前へ進んでいくことが怖くなり、周囲にいろいろな問題が起こり始めた。ほとんどはわたしにはどうしようもならないことばかりで、日々起こっていた変化に戸惑うしかなかった。

 当時から普段のつぶやきにどんどん自我が登場するようになり、作品よりも暮らしや感情と向き合うものが多くなり始めた。そこからSNSでも保守的な発信が中心となって、新しい出来事や制作を行うことが目に見えて減っていった。わたし自身の趣向が内向きになっていったのはあるが、多少とはいえ、多くの方に支えていただいていた活動がどんどん萎んでいく感覚をずっと抱いていたのだ。

 これらの変化を特に実感したのが大学三年生の頃。これまでは情熱と発信でなんとかしてきた企画が上手く立ち上がらなくなり、自分の力ではどうしようもなくなった。興行的にも成功しなかったし、メンバーともギクシャクした。それからは企画をやらなくなった。

 時は流れ、就職活動が始まり、やっとの思いであり着いた企業とも二ヶ月で離れる。数ヶ月の療養の後、今の会社で働き始めたものの、現在は再び分岐点に立っている。自主レーベルの立ち上げ、会社設立の構想をはじめ、これまででもっとも大きな企画を動かそうとしている。皮肉なことに、すべてを失った今なら、あの頃よりもさらに良い形で、素直に企画に打ち込めそうだと思った。それがわたしの手を動かしてくれたのだと思う。

 大好きな人がたくさん傍でくれて、周囲にはあたたかい環境がある。時には踏み出さなければならないし、それが今なのかもしれないけれども、立ち止まることも許せるようになった。「今がそうじゃない」とわかったら、そこから先へは進まない決断が出来るようになった。

 正直、仕事でデザインやSNS関係のマーケティングを担ってきた身としては、かなり未熟なものだった。感情はそのまま吐き散らかしていたし、率直に生きすぎた部分はある。だが、これから大人になっていくにあたって、きちんと線切りをつけようと決めた。

 ときどきは自分の話をするだろうけれども、感情のみに基づいたものではなく、ある程度咀嚼した状態で発するようにする。

 淋しいと思う人もいるかもしれない。しかしながら、フォロワーさんやクライアントを不安にさせてはいけないし、作品以外の部分でもうがっかりさせたくないんだ。ここからは個人屋号『G.Slope & Hill's』で商業的な活動も始めていくし、お仕事として創作に限らず、さまざまな活動を行なっていく。あらゆる人と向き合う時、どんな人なら信頼を持ってもらえるのか。そして、惹きつけられるのか。わたしなりに考えた。

 今こそ、感情の季節を卒業する時。わたしは第二章を歩き始める。

 2024.5.1
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!