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五月の風に吹かれて、わたしは次の道を進むことにした。

 「あー、どうして、いつもこうなるんだろう」と涙が止まらなくなった夜。昨日、猶予期間を設けはしたものの、会社にほぼ確定した今後の予定を伝えた。「余程のことがない限りは六月末で退職するつもりである」と。それと同時に、もう少しだけ、あと少しだけ、わたしなりに頑張ってみようとも決めた。

 連休後は基本的に会社とミーティングが行われるが、昨日は非常に厳しいものだった。正直、認識のズレはあまりにも大きく、憤慨する部分もあれば、「まあそうだよな」と時間が経つほどに納得する部分もあった。一種の専門家として入ったわりには結果が残せていないし、タイムパフォーマンスも良くない。会社側がわたしを評価しない理由もわかる。もちろん、こちらにも言い分がある。言い出すとキリがない。ただ、それをどう言おうが雇用主は変わらないので、とりあえず週末で今のプロジェクトでやるべきことを全部詰め込んでみることにした。

 わたしの弱点は「集中力が限定されていること」だ。特に、環境が騒がしかったり、相手を信頼できなかったりすると、仕事の能率はどんどん下がっていってしまうし、頭の中が混乱状態になる。結果、自分の意見すらも言えなくなり、納得できない状態で進めざるを得なくなる。落ち着いて仕事を進めていくためには静けさと信頼が第一で、他のことは何だっていい。余計な口を挟まないでほしいし、集中力が奪われるようなことをしないでほしい。新卒二年目に具申できる話ではないけれども。

 それと同じように、「中途半端に終わってしまうこと」も挙げられる。最初は非常に良いスタートを切るのだが、徐々に息切れして、最後はなんとか完成したものを青息吐息の状態で出す。リリースの段階ではかなり多くの人に届いたものが、プロダクトやクリエイティブの状態になるとよくわからない代物にすり替わってしまって、結果的には誰も幸せにならないことがある。ここ五年くらいはずっとこの問題と向き合っていて、身の丈に合った形でモノを作ろうとした結果、企画がどんどんコンサバティブに振り切っていくことにも悩んでいるのだ。

 このふたつは創作家という肩書きを持つにあたって、致命傷にもなり得る。だからこそ、今の会社にいるうちに何とかしたいし、実績をひとつでも積み重ねたい。わたしだって、ただ働かなければいけないという理由で仕事をするわけじゃない。そうなると最悪で、なんのために仕事をしているのかがわからなくなる。

 また今後の予定が正確に決まってから報告するけれども、とりあえず言い訳を一旦やめて、週末は今出来ることを全力で出し切ってみようと思う。精神的なストレスが限界を越えてしまったことも今回の決断の理由のひとつだが、そこが仕事の成果によって緩和された時、会社側がどのような対応をするのかを見たい。今がいちばんタフな時期だが、身の丈以上のものをやるしかないのだ。

 2024.5.11
 坂岡 優

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