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相談のソフィア | 20世紀生まれの青春百景 #39

 疲れている時のサインって色々あるけれども、わたしはこの平日の三連休をほぼ寝て過ごしたことに危機感を抱いている。「やってしまったな……」という直感と、「これはまずいぞ」という感覚。ベッドから出ようとすら思えず、やるべきことすらも後回しにしている。まだ予定には余裕があるものの、早く進めるに越したことはない。締切ギリギリになると不測の事態に対応できないし、結果的に後悔する部分が生まれてしまう。

 ゴールデンウィークはほぼ仕事だった。一日だけ休みがあったが、ただの公休。あまり暦に関係のない職種だから仕方ないし、むしろ土日の方が仕事をする分には気が楽だ。電車も混まないうえに、少しお客さんの表情に余裕が表れている。仕事前や仕事帰りはやはり多少緊張感もあるが、休日の余暇として通う分には気張る必要もないのだろう。羨ましさというよりも、生活に対しての考え方の相違だ。

 とはいえ、仕事をしているとお客さんと向き合うばかりでなく、スタッフや上司がそれぞれに持つ考えと向き合う必要も……

 これが非常に難しいし、時には明らかに自分の考えと異なる方針を伝えなければいけない時もあり、自分なりに咀嚼しながら業務を遂行したはいいものの、心の中にそう軽くはない痼が残る。そんな夜は、とりあえず酒で心を洗い流すようにしている。言い換えれば、ビールか日本酒を浴びるのだ。そうしたら、翌朝には忘れられる。

 仕事にモチベーションは直接関係しないが、モチベーションの高い状態で仕事に取り組めるのなら、より良い仕事が出来る。少なくとも、わたしはそう考えているのだ。

 だからこそ、わたしのいる環境は誰にとっても良い環境であってほしいし、そうしていかなければならない。もし阻害するものがあるとして、その相手が上司や最高責任者だとしたら、可能な限り、闘わなければいけないと思う。会社の社員ではなく、いち労働者として。環境に重きを置いているがゆえに、そこに雨を降らせるような行為をする人が許せない。陰口は聞こえているし、必然性のない指示は無用な混乱を招く。そんな上司は社員の側から切り捨てていく必要がある。今はそういった世の中だし、誰にだって例外はない。もちろん、仮にわたしに問題があるのなら、切り捨てられる覚悟もできている。

 こういった考えや将来への不安を明かせる友人は少ない。だからこそ、ついついSNSに書き込みたくもなる。ゴールデンウィークの後半は正直、精神的に非常に荒れていた。缶やペットボトルを潰す時は全力を込めていたし、帰り道でぶつぶつと不満を吐き出したり、バックヤードで叫んだりもした。今読み返すと、三連休の初日に書いたエッセイはその流れを汲んでいる。なんだか、あらゆる出来事が不安定にさせていたし、そうせざるを得ないくらいに疲れ果てていた。

 ただ、「助けてくれ」「話を聞いてくれ」と求めたくなる気持ちは一旦しまい込んだ方がいい。アドバイスを聞き入れる余裕がなくなっていることがほとんどだし、無用な口喧嘩に発展する。

 こういった時は勝手な思い込みが強いことが多いので、SNSやスマートフォンの画面を閉じて、美味しいご飯やあたたかいお風呂、たっぷりの睡眠に全力を注ぎ込んだ方がより有意義だ。それよりも、ある程度のことが決まった段階で、周囲の信頼できる人に相談した方がお互いにとって「より健全だ」と気付いた。ずっと、ずーっと、ぐしゃぐしゃな時に相談しては、相手を困らせてしまっていたから。SNSでも混乱した状態でつぶやいては、大切な人を失望させてしまったから。もう同じ過ちは繰り返したくはない。

 あと少しで、決まりそうな感じ。どうなりたいか、何をしたいかは明確なので、ここからはわたしなりに走り抜くのみ。明日から仕事を頑張ろう。まずはお互いの現在地と未来図を確認することから始めていく。

 2024.5.9
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!