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時間を忘れるくらい夢中になれること | 20世紀生まれの青春百景 #38

 効率化は良きものだが、他の側面においては本質を見失わせることもある。物事はそういった多面性で出来ていて、なんらかの確証を持って断言できる事象はそう多くはない。大人に近づけば近づくほど、真実や確証とは夢幻を追い求めることに近いのだと気付いた。

 人は明快さを求めるけれども、わたしは明快さを信じない。昨日のエッセイではひたすら影を吐き出したが、あれはあれで紛れもない本音。わたし自身の弱い部分も抱きしめながら、誰もいない荒野を突き進んでいく。自分を曲げるつもりなんかさらさらないし、誰かに揺れ動かされる人生を生きるくらいなら、今この瞬間に飛び去った方がマシだ。現実が厳しいことくらい知っているが、それを諦める理由にはしないしならない。

 子供時代から夢中になれるものには本当に強かった。その時の集中力は誰にも負けない自信がある。時間を忘れるくらいに夢中になることって、一生付き合えると思う。少なくとも、今まで好きになったものは全部そう。朝から晩まで同じ話をしても飽きないし、お酒なんかなくたって理論を語らえる。どうでもいい話もいつまでだって付き合える。上手か下手は知らないよ。なんてったって、好きだから。

 横文字にすればタイムパフォーマンス、日本語でいうと能率にすべてを支配されてしまうと、大切なものを失っていく。速くやろうとすればするほど、ただの作業へと変貌する上に、いつしか大切にしていた情熱がなくなっていることに気付いても、もはや元に戻す方法を忘れていることもある。わたしはギリギリだった。

 今、すごく感情的に生きている。冷淡ともいえるくらい、かなり冷め切った生き方をしていた時期もあったけれど、半分半分くらいの割合になるくらいには振り切ってみることにした。言葉を中心として、作品制作に生活の主軸を置きつつあるのもひとつ。まだ始まったばかりだからね。上手くいかないことがあって当たり前。かといって、一度や二度の停滞で立ち止まるようでは一生出来上がらないから、上手く舵を取っていきたい。

 そうだ。三ヶ月以上は悩み続けていたんだけど、転職活動に完全にシフトすることにした。条件はいくつかあるが、自身の活動にもある程度の軸を残しておきたい。非営利的な部分が大きくなるので、必ずしも商用化しようとは思わないし、そうあるべきとも考えない。だからこそ、仕事が大事。周囲の仲間たちのペースを見つめつつ、やりたいことを叶えられる場所にしていこうと。昨日は「助けてほしい」なんて書いたが、いざ見つめ直すとやることは決まっていた。そういうこともある。昨日はやけに沈み込んだ文章を書きたくなる日だった。

 誰がどう言おうが、わたしはわたしの人生を往く。いずれ落ち着くだろうし、落ち着かないかもしれないし、まあ、肩の力を抜いて、好きにやっていこう。

 2024.5.8
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!