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精神病を辞める時

精神病で居続けたい人って、本当にいる。精神薬を辞めたいと言いながら、何年経っても飲み続けている人。口では、治したいと言いながら何も行動を変えない人。

私は心の中で、
「この人は自分でも分かってないけど、心の奥の奥では病気のままでまだいたいんだな」
と、勝手に想像してしまう。

確かに精神科に行くと病名がすぐ付いてしまう世の中で、一度つけられた病名を自分で捨てるのは難しい。病気でいる事で守られた自分だけの聖域みたいな場所がある人も、結構いると思うから。

私も病名を与えられた事で、初めて堂々と休む事が出来た。家族にも優しくしてもらえた。精神閉鎖病棟では、友達が出来た。
でも、いつかは精神病にさよならを言わなくちゃいけないと思っている。精神薬を飲み続けると、本当に精神が崩壊してしまう。本当の自分から、切り離されてしまう。自分ではなくなってしまう。

私は精神閉鎖病棟の中で、10年以上も入院している人を沢山見た。それは何年も精神薬を飲み続けても、医者が病気を治せていないと言う事実なのだと思う。
入院している人達は、私は本当は元々は病気なんかじゃなかったと思っている。薬付けにされて皆んなおかしくなっている様にしか、私には見えなかった。

私は20年、精神閉鎖病棟に入院しているM子ちゃんに聞いた。
「いつも部屋で何やっとるん?」
M子ちゃんは言った。
「いつか退院出来る様に祈ってる」

私は、家族に見放されたM子ちゃんが、退院出来る日はもしかしたら、もう一生来ないかもしれないと思った。
でも、M子ちゃんの為に私が出来る事なんて、何も無い。何も無いけど、こんな人が沢山、精神閉鎖病棟に入院している。その事実を、伝えなくてはいけないと思った。

だから、取り返しが付かなくなる前に、精神薬から一刻も早く離れて欲しい。
精神病は誰にも治して貰えない。自分で覚悟を決めて、病気と決別しないといけない。先ずは精神薬を辞める事で躓く人が多いけど、決して諦めてはいけない。
今まで一緒にいてくれてありがとう。そうやって病気と別れられたら、何者でもない自分に戻って、また人生をいつからでもやり直せば良い。

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