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美術館にて 私は怪しい人に見られた!誰の絵か分かりますか?

この美術館はオスロの新しいムンクミュージアムです。すごいモダンな建物になっています。13階もある建物です。私が住んでいた時は、ムンクミュージアムと言えばオスロセンターから一駅行ったところにあり、古い年季が入った建物でした。

ムンクはノルウェーを代表する画家です。夫のお姉さんが住んでいる町の近くにムンクがあの「叫び」を描くアイデアを得たという橋があり見に行ったことがあります。

今日のお話はムンクミュージアムでなくオスロ国立博物館でのことです。この博物館はオスロ中央駅からまっすぐ王宮まで伸びているカールヨハン通りにあります。一番の繁華街の近くにあるのでツーリストには便利なところです。

何回も行ったことがあるのですが、ちょうどリレハメルオリンピックがあった時のこと、私は一人でノルウェーに里帰りをしていました。で、博物館へも近くのデパートで買い物をした後、立ち寄ったのです。その前回、そこへ出かけたのは妹と一緒だったのですが、土曜日でしたか、たまたま出かけたのが遅かったからでしたか、閉館時間が来てしまって、3階建ての建物のうち3階部分をじっくり見ることができなかったのです。

で、改めて博物館を訪れた時には、まずは3階部分から見ることにし、入館と同時にさっさと3階に足を運んでしまいました。それって普通じゃあない?後で分かったことですが、私の行動は大変異様だったようです。そして、わかったのは、彼らは入館者を逐一”監視”しているということでした。彼らはじっと私の行動を視ていたのです。

そりゃあ、たいていの人は下から見ていくのでしょうね。しかも有名なムンクの絵などがいっぱいあるのは2階部分、1階が先でないなら2階部分に先に行くのが普通でしょう。3回には線描とかその手のものばかりだったと思いますもの。

まず、3階まで上がったのは私だけでした。ゆっくり見ることができました。ちょうどオリンピックの開会式だったか閉会式だったかのパーフォーマンスで表現していたキッテルソン(そんな名前だったと思います)の絵もじっくり見ていたのでオリンピックではどういうことを演出しているのかよくわかりました。

やっと3階が見れたと2階に降りてきてムンクの絵を見よう、と椅子に腰を下ろしたところで中年の学芸員【?】に声をかけられました。私のカメラを見ながら「写真を撮ってあげましょうか?」親切な人!
願ったりかなったりで撮ってもらいました。そして、絵の説明もしてくれるなんて・・・。
で、次に投げかけられた質問はやっぱりと言うものでした。
「なぜ、一番最初に3回まであがったの?」

私は数年前にノルウェーに妹とやって来たとき時間切れで3階の展示を見ることができなかったことを告げました。納得してくれたとは思いますが、その質問を耳にした時、彼らにとって、私は本当に怪しい人物だったということを認識しました。
まさか、こんな優しそうなアジア人の女性が、なんてことは思ってくれなかったのでしょうか?

実は、その数年前、その博物館でロートレックの絵が盗まれた、と言うことがあったのです。彼らも様々なことを想定して用心していたのだと思います。ムンクミュージアムでもムンクの『叫び』や『マドンナ』も盗まれたことがあり、新しいミュージアムを建てたということでした。」

それから何年もたって、再びその博物館へ行ったときは、また、妹が一緒で、日本からのグループツアーで行っていたのですが、もう3階の展示はありませんでした。またもや、妹のために、入館と同時に3階へ駆け上がろうとしたのですが、もう3階部分は閉められて展示はない、と言われました。

それにしてもいい絵を見ることは心を揺さぶられますね。

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