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結局2回目の機内食は食べられました。

飛行機の中で目が覚めた時、時計の針は4時半少し前をさしていた。

羽田からフランクフルトに向かう便は12時過ぎに離陸したはず。私はどういうわけか眠くて仕方がなく、搭乗後すぐに寝てしまった。離陸時にほんの一瞬目が覚めたが、またすぐに眠りの世界に呼び戻された。


保安検査場を通過後、飛行機に乗る前に搭乗ゲートとは反対側に位置するフードコートに向かった。どうしてもつけ麺が食べたくなったのだ。ドロっとした中にザラっとしたテクスチャのあるつけ汁ともちもちした麺の相性を考えついた人はきっと天才だ。

つけ麺と餃子を注文し、その量の多さに若干の後悔をしながら、私はここ最近ラーメンやつけ麺をあまり食べていなかったことに気づいた。前回フランスから帰ってきたのがちょうど2ヶ月前のこと。ここ2ヶ月、少なくともつけ麺は一度も口にしていないはず。ラーメンも1、2回ほどではないだろうか。

きっとそんなわけで私はつけ麺を無性に食べたくなったのだ。そして、大量の炭水化物と脂を摂取したことで、機内ではどうしようもなく眠くなったのだろう。


フライトは14時間ほどを予定していたはずなので、あと10時間は飛行機の中。先はまだまだ長い。

私は3人席の窓側にいて、1席空けて痩せて日焼けした中年フランス人男性がいる。寒い機内にも関わらず半袖のポロシャツ一枚だ。私は薄手のニットの上にジャケットを羽織っているのに。


起きてしばらくして、私は微妙な違和感に気がついた。窓の外がやたらと白いのだ。それは雲のふわふわした白さではなく、雪や氷が持つあの刺すような白さだった。羽田から4時間ということは、まだ海の上を飛んでいるはずではないか。搭乗時に、「このフライトは北極付近を通るのでWi-Fiがつながりにくくなる」というアナウンスが入ったが、4時間でそこまで北にはいけないだろう。それとも、ちょうどその時、ユーラシア大陸上の、どこか山がちな場所の上にいるということなのだろうか。

しばらくその違和感を放置していたが、いつもやっている「毎日脳トレ」というアプリの今日のノルマをこなそうと思いスマートフォンを取り出した際に、その違和感の原因に気づいた。

スマートフォンの時計は、夜8時45分を指していたのだ。

腕時計で時間を確認した時、寝ぼけていて夜8時を夕方4時と勘違いしていた、というのが事の真相だった。

つまり私は、8時間ぶっ通しで寝ていたことになる。その間ほとんど目を覚まさなかった。

私はそんなに疲れていたのだろうか。それとも全てつけ麺と餃子のせいなのだろうか。


しばらくしてCAさんが軽食を配膳し始めた。おにぎりかパウンドケーキか尋ねられ、私はおにぎりを選択した。私が寝ていた8時間の間に機内食の配膳があったのかは定かではないが、14時間のフライトならば通常2回は機内食が出るはず。残りの6時間しかないので、きっと私が眠りこけている周りでみんながモグモグしていた時間帯があった、ということになろう。

なんだか、とても不思議な気持ちになった。

起床後はやりたかった作業に取り組み、その後今このようにこのnoteを書いている。フランクフルトまであと3時間半のところまできた。少し眠くなってきた。でもここで寝てしまったら、また眠りこける私を尻目に周りがモグモグしている、あのシュールな絵面が出来上がってしまうのだろうか。それはなんだか解せない話だ。機内食を食べ逃すこと自体には何も思わないが、あの絵面の再現はなんとしてでも阻止しなければならない。

あと3時間半、頑張れるか、私…?

はたして、ユータの運命は…?


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