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特別支援学級の子どもたちがマラウイとのオンライン交流で教えてくれたこと。

こんにちは、Colorbathの吉川です。
世界とつながる教育事業をしたり、途上国に雇用を創るソーシャルビジネスをしています。

昨日は、オンライン国際交流プログラムDOTSというプログラムに参加してくださった佐藤雅哉先生に登壇頂き、DOTSセミナーという毎月実施しているオンラインイベントを行いました。

雅哉先生は、特別支援学校の先生です。
特別支援の子どもたちにも、世界とつながる体験をさせてあげたい、自分も何か新しいことに挑戦したい、という熱い想いから、マラウイとつないだオンライン国際交流を実施することになりました。

昨日は、その実践を共有、報告していただける場で、全国の他の支援学校で働かれている先生にもご参加頂きました。
さらになんと、雅哉先生のクラスでこの国際交流に参加していた生徒さん(中学校2年生)とそのお母さんも参加してくれました。

先生のみならず、生徒さんや保護者の方まで、こういったイベントに参加いただいて、直接声を聴けるのはとっても貴重な機会で、改めて、自分たちは何を大切にして、何のためにやっていくのか、これをとっても考え実感させてもらえたので、今日はこれを書きたいと思います。

その子にとっての挑戦と成長

ぼくは、特別支援学級の実際の様子とか、子どもたちの過ごし方、先生方の指導の仕方、難しさやそのリアルについて、詳しく知っているわけではありません。じっくり見学をしたこともありません。
「なんとなく、こういう子どもがいるのかな、こういうことをしているのかな」というイメージはありますが、あくまでイメージで、きっとただの偏見のことも多いと思います。

今回雅哉先生から、「マラウイとつなぐDOTSをやって本当によかった。これに尽きます」ということを冒頭に伝えられました。

「特に、なにがそう思わせたんですか?」と聞くと、

「子どもたちが、DOTSが終わったあとも、
ちきゅう
こっき
まらうい
がいこく
SGDs
といった言葉を、なんども言うようになったんですよね。それが驚きでした。そういう言葉を言うと思っていなかったので。自分のほうが子どもたちを決めつけていたなと。彼らは、もっと可能性があるんです」

佐藤先生と子どもたちが一緒に作ったポスター

こういうことを、まっすぐに伝えてくれました。

子どもたちの様子を知らないぼくは、最初は、「ちきゅう」とか「こっき」という言葉を発するということが、「本当にほんとうに、ただの小さな変化」のような感覚が心の中にあったんです。うまく表現できないんですが、頭では、「きっとその変化も大きなことなんだろう」と思うことはできたんですが、感覚的に、「それがどこまで大きなことなんだろうか」とも感じていたんです、最初。

でもその後に、実際にオンライン交流に参加していた生徒さんのお母さんが、次のように話してくれました。

「マラウイとの交流をしてから、なんだか少し変わったんです。
その中の1つで、この子は前におじいちゃんから、地球儀をプレゼントでもらったんです。2年くらい前に。もう2年も前なので、最近は全く興味もなく使っていなかったんですが、DOTSのあとからは、家でそれを使っていろいろ見たり遊んだりし出したんです。
まさか、またこういうことに興味を持ってくれるとは思っていなくて。視野が広がったような感じで、私もとても嬉しかったんです。
正直私は、特別支援学校だから、海外とか国際交流とは無縁だよなと、心のなかではある意味諦めていました。でもこうして先生が準備して子どもたちのために機会を作ってくださったことが、本当に嬉しくて感謝しています。」

人にはそれぞれの状態があって、それぞれの成長の階段、ステップがあるんだと感じました。そして、それに対して無知、無関心でいたくない、そう感じました。その子、その人なりの関心があるし、それぞれの挑戦を、きっと一生懸命しているんだろうなと。特に子どもたちにとっては。大人からしたら小さな挑戦でも、その子にとっては、人生で初めての大きな挑戦。そこに寄り添える人でありたいと、そう思いました。

全ての子どもたちに可能性がある

改めて、全ての子どもたちに、そして全ての人に可能性があるということを、改めて強く信じたい、信じれる気持ちになりました。自分が勝手に期待したゴールを到達できるかなんかではなく、その人にとってはその人の可能性をただただ、ひろげていけるかどうか。自分にできることは、そのきっかけを創ることなんだと思います。

特別支援の先生方に、次のようなことを質問してみました。

「授業では、”今日のめあて”ということで、それぞれの授業で目的やゴールを設定していると思うんです。でも、ある意味無理やりそこに全員を到達させようとすると、生徒が学ぶ自由度が減ったり、興味関心が限定的になったりしませんか?」

と。

先生たちからは、

「この授業で何を獲得してほしいのか、という意味で、目当ては設定しますが、それは”到達しないといけないもの”という感じではありません。ある種の方向性で、それに向かって、子どもたち一人ひとりが自分なりの成長をしてほしいし、それをサポートしています」

と話してくれました。

これは何も特別支援に限ったことではないですよね。子どもだって、大人だって、それぞれの経験と歴史と背景があって、それぞれにとっての次なる一歩を積み重ねていく。それが大事だよなと改めて思いました。

人を、決めつけない。限界を決めない

きっとこうなるだろう。
この子にはこれはできないだろう/できるだろう。
どうせ〜〜だから、〜〜しておこう。

ある意味、よかれと思って、何を人のことを決めつけて判断することって、無意識的にもあるのかなと思います。そして、時にはそれが良いこともきっとたくさんあって、経験者がゆえに、効率的にできることもあるんだと思います。

ある種、それをときにチューニングして、解放するような、そんなこともきっと大切なんだと思います。

人に対して、限界を決めつけない。全ての人に可能性がある。

まずやってみる。体験させてみる。
そこから感じたことで、次に進んでみる。

このプロセスをじっくりと、長期的に、こういうスタンスを持っていたいです。限界を決めないことで、セカイはどんどんひろがっていくんだと思います。

エピソードの共有と、追体験

DOTSセミナーは、全国の先生方と座談会形式で、毎月行っています。先生方の問題意識や取り組みを共有し、人としてつながり、そしてまた再開し。1つの学校だけではつながりが限定的になりますが、全国には同じような志の先生がたくさんいます。つながることは力になります。

そしてそのときに、「〜〜を実践しました」という取り組みや工夫の共有も、”情報”としてはとても価値があると思います。

それに加えて今回特に感じたのが、「人の変化に関するエピソード」の共有が持つ価値です。今回でいうと、生徒さんの変化や、保護者の方の声。
そしてそれを受けた雅哉先生自身の心境の変化や学びについてです。

この、「人の変化」の瞬間にふれるとき、なんだほんとうに、とてもあたたかくて大きなエネルギーが空間の中に生まれた感じなんです。胸があったかくなり、人生で大切なことってこれだよなと、体感的につかみとれるような、そんな感覚です。

特に大きな力を持つのが、子どもたちの成長や変化です。それがとっても健気でかわいくて、あー未来はきっと明るいなと、そう思えるんです。子どもたちの成長が大人を笑顔で優しくしてくれる、そんな感覚です。

だからこそこれからも、DOTSを通したたくさんのきっかけを先生と一緒に作って、その後の子どもたちに関するエピソードを多くの方々と共有することで、人が持つ可能性に触れたり、勝手に限界を決めてしまっている自分自身をチューニングしたり、そういう機会をつくり続けていきたいと思います。

DOTSセミナーは、教育に関心のある方はご参加いただけますので、ぜひお気軽にご参加ください(参加無料)。

もっと繋がって、もっと可能性を広げる

今回のDOTSセミナーに栃木県から参加してくださった先生から、こんなことを言って頂きました。

「特別支援と海外をつなぐなんて、大胆というか無茶なことを考えるなーと、当初思っていたんです。でもこうして話をきくと、なんだかできそうかも、と思えました。いろんな先生の頑張りにもふれることができて、私も頑張ってみようと思います」

人って何かに頑張っているときって、なんだか孤独を感じるというか、自分だけが頑張っているような感覚になったりするものなんだと思うんです。不安や弱音を吐ける場所もすくなかったりして。

でもともに挑戦したり、その不安や痛みを共有、共感できる仲間や環境があると、またエネルギーをもらって、前に進めるようになる。

人と人とがつながる場っていうのは、とってもエネルギーが溢れて尊いことだなと改めて感じました。

7月には、学校に国際交流を提案する前の佐藤先生を招いて、「特別支援教育でのDOTS、実際どうする?」という作戦会議を実施していました。一緒に作り上げていく仲間がいたら助かる!という先生も、ぜひ。

全国の様々な先生が入り、日々の実践共有や、あれやこれやの相談をしているグループを作っています。ご興味ある方は、ぜひこちらもお気軽に参加申請いただければと思います。参加無料です。

そして、DOTSをまだまだやり続けないとなと改めて思いました。
もはやいまの時代、海外とつなぐことは大げさで大変なことではなくって、3クリックで簡単に誰でもどこでもつながれます。

「大変なこと」という認識を変えていくことで、きっとより多くの子どもたちに、世界とつながる原体験を届けていけると思いますし、そうしないといけない使命感も感じました。まだまだ、地道な活動ですが、今後も毎月続けていきたいと思います。

希望を持ち、感謝の気持ちを伝える

なんだかありきたりかもしれませんが、
明日に、未来に希望を持つことって、とっても大事なんだなと思いました。今回ご参加いただいたお母さんのお話を聞いていて、子どもの未来に対して、いろんな希望を持てることって、とってもエネルギーが出ることなんだなと。

一方で、不安とか、失敗するかもとか、きっとできないとか、大変そうとか。そういう希望ではない思考で頭も心も埋め尽くされたときには、どうしても後ろ向きになるし、エネルギーが出にくくなるんだと思います。

自分自身が、未来に対して希望を持つこと。
そしてそれを周りの人にも伝播させること。

Colorbathというチームとして、その”あり方”はもっともっと大切にしていきたいなと思いました。

社会に対しても、人に対しても、そして自分に対しても、希望を持って前を向いて、前に進むこと。

そのためには、「いまこの現状に”あること”」をしっかり見つめて、それは有り難いことなんだと実感すること。そうすると、感謝の気持ちが生まれて、希望につながる。

”ないこと””できないこと”に目を向けるのではなくて、自分自身の意志をもって、”あること”に目を向けることが、出発点なんだと思います。
そして、DOTSもきっとそれを体現するもので、dot(点)という出発点なんだと思います。

これからも、DOTSを続けていきます。
多くの先生方と一緒に、子どもたちのみえるセカイをひろげていきたいと思います。

Colorbathは、今後も活動を続けます。学校の先生のみならず、教育に関心のある方、社会をよりよくする活動に関心のある方と一緒に、活動を深めていきたいと思っています。

「Colorbathクルー」という形で、一緒により良い未来に向けて取り組んでいく同志、サポーターも募集しています。素敵な出会いがたくさんあると思うので、こちらもぜひご覧いただけたらと思います。


想いをカタチに、未来をつむぐ。

ぜひ、一緒に。

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